ブルガリ・ソロテンポ:ただのブランドものクオーツ時計かと思ったらその魅力にやられた話


今回レビューするのはブルガリのソロテンポ BVLGARI Solotempo ST 37 S。実は私の所有物ではなく、親戚の物。

現在ネット上で中古の物は8万から売られているが、新品としてこれが購入された時には40万円したと伝え聞く。こちらは型番が「ST37BSS」となっているが、新品で34万円となっているので40万円したというのもあながち大げさでは無いのかも:

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BVLGARI ST37BSSブルガリ腕時計ブルガリ ソロテンポ
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ムーブメントはクオーツ。最初はどうせブランド物だから高いだけでたいしたことないだろうと思っていたのだが、いやはやなかなか綺麗に作ってある。


もくじ

ブルガリ・ソロテンポ
ケース:シンプルながら細やかな美しさ(そして隠されたダブルロゴ!)
文字盤:ダブルロゴが印象的、実用性も品も兼ね備えた文字盤
ブレスレット:ユニーク、高級感あり、付け心地良し
まとめ


ブルガリ・ソロテンポ


ブルガリは1884年イタリアはローマ創業の高級ジュエリーブランド。ブルガリが腕時計を作り始めたのはTime And Watchesによれば実は1920年代から。1982年にはスイスにBulgari Time S.A.と時計製造専門社を設立して作っている。

Watchonistaによると、1975年にブルガリがお得意の顧客のために限定100本作った「BVLGARI ROMA」という金色のデジタルウォッチ。その自動巻き版として作られたのが、ジェラルド・ジェンタによる1977年の「ブルガリ・ブルガリ」。これは金色のケースに黒の文字盤で、ベゼルにダブルロゴを施し、文字盤は12と6はアラビア数字、他は3時の日付窓を除きバーインデックス、針は鉛筆型で時分の2針、というものだった。

今回のソロテンポは、ベゼルにこそダブルロゴはないが(文字盤ともう一箇所に隠れているのだ)、ある意味このジェンタによる「ブルガリ・ブルガリ」のスタイルを継承したものと言えるだろう。

なお文字盤にダブルロゴがくるブルガリの腕時計としては、WatchProSiteによれば1989年のAnfiteatroなどにも存在したし、1997年のソロテンポでも同様に文字盤最外周にダブルロゴが配されていた。

今回レビューのソロテンポST37Sは、2010年代に製造されたクオーツ時計だ。


ケース:シンプルながら細やかな美しさ(そして隠されたダブルロゴ!)


37mm径ステンレススチール製のケースは一見するとシンプルなのだが、シンプルな中に結構な拘りが見て取れる。ラグ先から反対側のラグ先までは46mm。 


ベゼル部分はケースと一体化した作りで、風防はサファイアクリスタル。

ラグはぱっと見セイコー・プレサージュ・カクテルタイムのように、ケースの左右端からではなく、2時と10時、4時と8時のあたりから上下にすこし内向きの角度を持って伸びる(ラグの内側はまっすぐ伸びている)。角度を持って伸びるラグの外側の線は直線のように見えて実は、先端付近でラグ内側と水平になるように線の向きが変えてある。この微妙な線の変化はさりげなく、品がある。


ベゼル部は傾斜している。ケースは側面は横向きのヘアライン仕上げで、それ以外は鏡面仕上げ。


ラグの付け根上部を横から見るとベゼル部分から緩やかなカーブを描いて一段下がり、そこから伸びているのが判る。ここにも優雅さが漂う。


ラグの下部も、ケース下部から緩やかにカーブを描き、ラグの一番低くなっているところまで伸びており、ラグ上の線とラグ下の線が交わるところのみ鋭角となる。


本体側面のブレスレットの丁度上にBVLGARIのロゴが。12時側にも6時側にもあるので、ケースにもBVLGARIのダブルロゴが付いていることになる。隠れたところに憎い演出。


竜頭天面は僅かに膨らむ鏡面仕上げ。側面はコインエッジ。 


裏蓋はこんな感じでネジ止めされている。外周部は傾斜して鏡面仕上げ、中はレコード上のヘアライン仕上げとなっている。上から「BVLGARI」、「Solotempo」、型番である「ST 37 S」、シリアル番号、そして「FABRIQUE EN SUISSE」(スイス製)との刻印。


最初私は一瞥して、「ただの平べったい刻印だけ入った裏蓋か、安っぽいな」なんて思っていたのだが、よく見れば縁はエンドリンクにあわせた形状になっていたり、竜頭用の切れ込みが入っていたりと凝った作りになっている。


文字盤:ダブルロゴが印象的、実用性も品も兼ね備えた文字盤


白字の「ブルガリ・ブルガリ」のダブルロゴが艶のあるプリントとして文字盤最外周のインナーベゼルというか、チャプターリング部分に配されている。


この部品はとても僅かにすり鉢状に傾斜が掛かっている。


黒部分には艶があり、光を浴びると反射して艶が見えるのだが、それと同時に光の反射はそこまで強くない。


文字盤背景部分は黒で、縦方向に立体的に溝が入っている。こちらも同様に艶はあるものの反射が抑えられている。12時下では「BVLGARI」のロゴが白色でプリントされていると共にその部分のみ溝が途切れるようになっている。 


12と6はアラビア数字で、それ以外はバー状のインデックス。6時インデックスの下には極小の文字で「SWISS MADE」と記されている。 他のブランドの時計などを見ると、この数字とバーのバランスをとるのは難しいと思うのだが、この時計ではとても上手くそのバランスがとれていると感じる。なお3時と9時のバーインデックスは他の物より長くなっている。 


よくよく見れば全てのインデックスには非常に細かな縦方向の溝が。注意して見ないと気付かない部分であるため、手元に着ける人だけが判る愉しみと言えるだろう。

これはただの意匠では無く、この溝が入っていることで(垂直の溝に対して水平方向に)幅広い方向からの光を反射できるようになっているため、輝きの鋭さこそ平坦でまっさらな鏡面仕上げの針より劣るが、識時性を高める事に繋がっている。 


針は秒針なしの2針。どちらも綺麗な鏡面仕上げの平坦なペンシル針。どちらも文字盤全体の大きさと比較すると短く感じる。他の腕時計からこれに付け替えると一瞬「あれれ、針が小さいな」と感じる。だが、黒い文字盤に銀色の針とインデックスであるため、一度針の短さに慣れれば識時性には問題無い。

また製品詳細を探してもなかなかでてこないのだが、どうも風防には反射防止コーティングがなされているようで、日の当たる場所での可視性も高い。


ブレスレット:ユニーク、高級感あり、付け心地良し


ブレスレットはユニークで、これも細部が面白い。


バックルは観音開き式のダブルプッシュボタン式。


バックルの片側に「BVLGARI」の刻印。


横から見ると、それぞれのコマが「 ) 」形で始まり「 ) 」で終っており、それが連なる形となっている。 


横3コマなのだが、両端のコマはブレスレット方向にヘアライン仕上げ(側面は鏡面仕上げ)、中のコマは鏡面仕上げとなっている。中のコマは、コマの中ほどに大きめの突起があり、前後が反り返った並のような形で、中程の突起から前(時計部に近い側)までが短く、後ろまでは長い複雑な形をしている。 


(写真左はセイコーSARB035のもの、右がブルガリ・ソロテンポ)

それぞれのコマが小さめであるため着け心地もとても良いし、毛が挟まりにくい。その理由はコマの端が「)」型になっているためだろう。通常の駒を「口」型と形容すると、コマが連なった場所「口口」が45度ほど傾斜するだけで「口◇」もしくは「◇◇」のようになってしまい、その間で毛が挟まれる。だがこの時計ではこのような毛を挟むほどコマ同士が接近する状況が起こり得るのは、コマが接する別のコマに対してほぼ90度になるときだけ。などと最初は考えたのだが、もしかしたら「)」型であることでそもそもコマとコマの隙間に毛が入り込みづらいのでは無いかという結論に自分の中で至った。

メタルブレスによってはそれぞれのコマがぶつかり合うため平らに置くことができないものもあるが、このソロテンポはコマが小さいためか平たく置くこともできる。


それよりも興味深いのは、これまで私が使用してきたどのメタルブレスと異なり、少々手首周りに余裕を持たせたコマ設定でも時計部が手首を回転しない(手首の内側に時計部が回り込むことがない)という点。いつの手首をやんわり押さえつけるほどのキツさ設定にして、手首周りが不快になって後悔するのだが、ここまで緩くても時計が回らないのは嬉しい点だ。


あと、「やっぱり高級腕時計だな」と感じたのはエンドリンク(ブレスレットのコマの一番時計部に近い部分)。ここがちゃんとブレスレットの他の部分と同様に3コマの別々の部品で作ってあるのだ。

このような横に複数コマが並んだブレスレットでも手頃な価格帯の腕時計のものだと、エンドリンク部分はただ凹凸を付けることによって複数コマがあるように見せるようになっているものが多い(中には数百万円もするけどそのようなものもあるにはあるが)。個人的にはこれが安っぽく見えるので好きではない。(その一方で、一部の腕時計は、ラグ部分を特殊な形状とすることで、この問題を解決している。)


エンドリンクが3コマになっているせいかもしれないが、ラグ穴に並ぶようにして、エンドリンクにも穴が開いている。 


ブレスレットの内側は3コマともヘアライン仕上げ。エンドリンクにいちばん近い中のコマには「PM 3.06」との刻印がある。


まとめ:流石高級ブランド


実は当初ぱっと見で「どうせブランドものであると言うだけで面白くない時計だろう」と思っていたのだが、よくよく見ると魅力がジワジワと滲み出てきて、かなり好きになってしまった。

文字盤とケース横のダブルロゴ、12と6がアラビア数字のアイコニックな文字盤、そして決して目立つことのない細部仕上げの拘り。確かに高級ジュエリーブランドが出す高価な時計だけのことはある。自分じゃお金がないから買えないけど、この細かい拘りに魅力を感じて30万円出す気になる人が居るのも判る。

現在見つかる物では新品だとこの程度の値段になるが:

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BVLGARI ST37BSSブルガリ腕時計ブルガリ ソロテンポ
価格:341000円(税込、送料無料) (2020/9/19時点)


新品であることにこだわらない人であればeBayなどでは大体1600ドル、約17万円で購入できるようだ。

類似する別モデルではBB33SSというのもある:



自動巻きのDG40BSSD、BB38BSSD、BB41C11BSDなども雰囲気的には近いだろう:



なお、ケース径30mmのレディースモデルST30Sには3時位置に日付窓がついているようだ。こちらは中古価格10万円程度となっている。 

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