美しい文字盤と豊富なストラップオプションが魅力、Galvin Watch Company「Alku」レビュー


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昨年、「豪州に渡ったフィンランド人女性時計師が立ち上げたマイクロブランド」としてGalvin Watch Companyをご紹介したのを覚えておられるだろうか?

今回はクラウドファンディングで大きな成功を収めたGalvin Watch CompanyのAlkuコレクションから、「Alku Peach」と「Alku Blue」をお借りしてレビューしよう。


もくじ

開封:ブラックで統一された上品な化粧箱
ケース:風防との一体感が美しい
文字盤:シンプルな要素が輝く
ストラップ:サイズもバックルも、豊富なオプション
まとめ


開封:ブラックで統一された上品な化粧箱

ロゴ入りシールが張られた包装紙と青い気泡緩衝材に包まれた直方体の化粧箱。

艶消しブラックの化粧箱カバーには、艶のある黒でロゴが印刷されて上品だ。スライドさせると中から化粧箱が出てくる。


こちらはレザー調の細かなテクスチャーのある黒い箱。ロゴの他にGalvin Watch Companyの文字もプリントされている。


ロゴがスタンプされたクロスと24ヶ月有効な国際保障カードも付いてくる。化粧箱からクロスまで黒で統一されているのは美しい。

中から出てきたのは美しいAlku Peach、そして別の箱から出てきたのはAlku Blueだ。


ケース:風防との一体感が美しい


316Lステンレススチール製、38.65のケース。上から見るとケースはシンプルだ。ラグは僅かに山折れとなっており、陰影を付ける。


ケースはどの角も比較的角が緩やかになるように仕上げられている。


厚さは12.45mm。横から見るとドーム状のサファイアクリスタル製風防(反射防止コーティングつき)とベゼル部分が一体感を持ったカーブを描いていることが判る。製品写真ではケースを真上から見下ろした写真が多いため判りにくいが、この一体感はこの時計の大きな魅力の一つとなっている。

竜頭は小ぶりで側部はコインエッジ。頭頂にはロゴが浮き彫りされている。


裏面はフラットなサファイアクリスタル製風防がはめ込まれたエキシビションバック。防水性能は50m/5ATMだ。


使用するムーブメントはローターに社名を刻印したMiyota 9039。ミヨタのプレミアム・オートマチックに分類される薄型3針ムーブメントで、24石、28800振動/時、パワーリザーブ42時間、公称制度は-10~+30 秒/日。


文字盤:シンプルな要素が輝く

Alku Blueモデルは深い青色。

Alku Peachはサーモンもといピーチ色の文字盤。

どちらもサンレイダイヤルとなっており、光を反射して美しい色を出す。


とても細いアプライドインデックスが各時を示し、その間に各時インデックスとほぼ同幅だが短いプリントがある。

12字のインデックスは僅かに他の時インデックスよりも太くなっており、中央が窪んでいるのがおわかりいただけるだろうか。


綺麗に切り取られた平たいリーフ状時分針は鏡のように磨き上げられている。時分針にはカウンターバランスがないのも美しい。秒針はそれらと比較すると僅かに縁が丸みを帯びる。

こちらは時針に反射する棚の上のペンギンのぬいぐるみを写したところ。この写真で見るよりも鏡のように綺麗に景色が映り込む。


なかなか写すのは難しいのだが、実は文字盤もドーム状のものが使用されており、縁が僅かに傾斜しているのが見て取れる。

12時下にはロゴと社名のプリント、6時上には「Automatic」(自動巻き)のプリントが成されている。Automaticのプリントは筆記体風のフォントで書かれており新鮮だ(この部分はサンセリフフォントで書いてある場合が多いのだ)。

なんと言っても全体としてみたときの北欧デザインらしさのある文字盤のシンプルさが新鮮だ。このようなシンプルさをもった自動巻きのマイクロブランド製腕時計はそうそうお目に掛かることがないからだ(クオーツであればないことはないが)。


ストラップ:サイズもバックルも、豊富なオプション

今回のレビュー用に届いたのは右のスエードストラップ「Tanned Suede」と、左のネイビー・ブルー「Navy Blue」。(なおレザー・ストラップのほか、メタルブレスレットのオプションも存在する。)

バックルはスエードのものがデプロイアント・クラスプ、ネイビー・ブルーのものはピンバックルとなっている。バックルは注文時に好きなものを選ぶことができるようになっている。一般的で、腕時計を平らにおくことのできるピンバックルと、脱着時にも腕から落ちにくく、ストラップ部が劣化しづらいデプロイアント・クラスプと、個々人の時計の使い方に合せて選択できるのは嬉しい。


デプロイアント・クラスプは両側にボタンが付いているもの。写真に写るストラップ一を固定するための部品はシンプルな仕組みだが、しっかりストラップを固定できる。

ただし、固定される側=ストラップ・ホールがついている側が、着用時に内側に来ることに注意(デプロイアント・クラスプでも固定される側が外側に来るものもある)。


デプロイアント・クラスプを選択した場合でも、ベースとなるストラップ部はピンバックルと共通しているためか、バックルにいちばん近い側のストラップ・ループは無意味になってしまうと言う点がある。


裏面はどちらのストラップもロゴの刻印がなされている。

購入時にレザーストラップの長さが3種類から選択できるのもGalvin Watch Companyの特徴だ。サイズは:

S - 16.5cm 以下
M - 16.5cm ~ 18.5cm
L - 18.5cm 以上

となっており、今回レビュー用にお借りしたものでは、スエードストラップがM、ネイビー・ブルーのものがSとなっている。


このようにストラップホールのついている側の長さが異なるのだ。

これにより、手首が小さいため「付属のストラップで腕時計を付けることができたが、ストラップが余りすぎる」とか、逆に手首が大きいため「ストラップが余らなさすぎてふたつめのストラップループまでとどかない」ということがなくなる…というのが理想なのだが、手首径が16~17cmほどの筆者が着用したところ、Mでは一番小さい設定のストラップホールにして丁度よく、Sでは小さい方から3番目のストラップホールで丁度よい設定であった。

これまでレビューしてきた腕時計のほとんどで「小さい方から3番目」が丁度良かったので、このストラップのSサイズは平均的な腕時計ストラップと同じと思って戴いて構わないだろう。

つまり言い換えれば、MやLは手首径が大きめの人のためのオプションであり、一般的な腕時計ストラップのサイズで特段問題はないという人はSを選べばよいというわけだ。


とは言えSでもMでも私の手首径に丁度よく着用できるので着用感は良好。


やはり着用するとこの腕時計の魅力であるドーム状風防と文字盤が存分に楽しめる。光の反射が風防によりカーブを描くのがいい。


ここまで風防が出っ張っても厚みが12.45mmというのも嬉しい。ケースだけだと9mmほどなので実に3mmも突き出しているわけだ。

例えばセイコー・ブレザージュ・カクテルタイム「オールドファッションド」も美しく突き出した風防が魅力の一つだが(ハードレックス製、ボックス型)、あちらは14.4mmとダイバーズウォッチなみの分厚さであった。

Alkuがここまで分厚い風防を使いながら厚みを抑えられたのは、薄型ムーブメントMiyota 9039を採用したおかげだろう。


個人的にはこの深みのある青の文字盤が光を受けて明るくなるところが好きだ。


まとめ


創業者であるSusan Galvin氏が北欧フィンランド出身であることは以前の記事に記した。氏のデザインするAlkuはそのシンプルな見た目から北欧デザインなどと呼ばれることが多いが、ただシンプルさを追求しただけではなく、ストラップのサイズの選択肢をも提供しているあたりは評価できる点であると同時に他のシンプルなスタイルの腕時計との差別化にも繋がるだろう。


そして、フィンランドに見られる実用主義、ひいてはアルヴァ・アールトに代表されるフィンランドの機能主義的な要素だとも言えるかもしれない。


無論機能主義一直線だと自動巻きではなくてクオーツの時計を作るのだろうが、そこにはやはり自動巻き腕時計の持つ人間性というか、着用者との繋がり、感情に訴えるエモーショナルデザインとしての自動巻きムーブメントがあるだろう。


そしてMiyota 9039というムーブメントの選択により、ふくよかなドーム状風防を持ちながらも比較的薄くまとまっている点も良い。加えて、これは日付表示機構がないムーブメントだが、日付窓がないことで腕時計全体のすっきりとシンプルな見た目に統一感があるというのもこのムーブメントを選んだ結果だ。
価格は日本円にして5万3000円ほど。購入はGalvin Watch Company公式サイトから、日本への発送も行っている。

コレクション名であるAlkuはフィンランド語で「始まり/始め」という意味だが、この先にどのようなコレクションが待ち受けているのかにも期待したいところだ。

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