レトロな未来が腕に灯る…ソ連製ニキシー管腕時計ブランドがVFD管と共にパワーアップして帰ってきた!


Sponsored by NIXOID

ウクライナのマイクロブランド、NIXOID。ソ連製のニキシー管や蛍光表示管など、時代の流れの中に消えていった「光を放つチューブ」を用いたレトロフューチャーな腕時計を作るブランドだ。既に当ブログでは2度彼らのキャンペーンを取り上げているが、彼らの日本でのキャンペーンもソーシャルメディアで大きな反響を呼んだようだ。

今回ご紹介するのはKickstarterでキャンペーンが開始されたばかりの最新VFD管腕時計。ぱっと見大きく変わらないように見えるかもしれないが、着実にアップグレードを繰り返しており、以前より望まれていたメタルケースも選べるようになっている。

もくじ

世界でも日本でも成功を収めてきたニキシー管時計
最新作はニキシー管じゃないの?!(浪漫溢れるVFD蛍光表示管だよ!)
新機能:ソフトスタート
丸2桁の魅力:SPACE Watch Watch
長四角の4桁表示:CYBER Watch
その他共通項目/ストレッチゴール
気になるリワード/アーリーバード金額は…?
まとめ:レトロな未来を腕に


世界でも日本でも成功を収めてきたニキシー管時計


Handcrafted Workshop名義で行われる今回のキャンペーンは(2度目のキャンペーンではNIXOID LAB名義だった)、Kickstarterでウクライナ・キエフ時間で5月26日18時から開始され、以後35日間で終了する。

前回彼らがKickstarterで行ったキャンペーンはわずか3時間で目標金額3000ドルを集め、最終的には4万6763ドル(約500万円)を集めた。以前の記事にも記したように、アメリカからの出資に次いで日本からの出資が多かったのも特徴だ。


その後Indiegogoでもキャンペーンが行われ成功させているほか、日本ではCampfireでキャンペーンが行われ、こちらでも600万円以上集める成功を収めている。


最新作はニキシー管じゃないの?!(浪漫溢れるVFD蛍光表示管だよ!)


実はぱっと見それっぽい管なのでタイトルにこそ「ニキシー管」と名が打たれているものの、今回のキャンペーンリワードとなっているのは全て「VFD」こと蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display)のモデルだ。

「なんだニキシー管じゃないのか…」と言ってページを去る前に、もう少し読み進めて欲しい。

ニキシー管はネオンガスの入ったチューブにメッシュ状の陽極と数字の形をした陰極があり、柔らかな光を放つが、「VFD」はカソードとアノードとグリッドが真空チューブに入っており、アノードが光るという仕組み。なのでニキシー管とVFDでは見た目は確かに違う。だがVFDの方もニキシー管と同じくらい浪漫溢れる表示管なのだ。

VFDは実は1966年に日本で発明された技術で、青白くくっきりした光の他、温度変化の影響を受けにくく、信頼性が高いことも特徴だ。なおHandcrafted WorkshopによるとVFDは日本、ソ連の他DDRこと東ドイツなど僅か数カ国でしか生産されていなかった。


70年代には電卓などに良く使われていた他、Handcrafted Workshopによれば、1968年からはソビエト連邦で軍用の生産が開始され、核施設、戦車などの軍用車両、そしてスペースシャトルにも用いられていた。VFDによる表示機構は設計するのは容易ではないが、信頼性は高く、過負荷にも耐えられることから選ばれたようだ。Wikipediaによれば今でも日本では電子看板として使用されたりしているようだ。


しかしVFD管を腕時計のような小型の筐体の中で効率的に機能させるのは難しく、NIXOIDは長年かけて2018年にようやく世界初となるVFD管腕時計を完成させている。

さて、そんなVFD管腕時計彼らの最新キャンペーンプロモーション動画はこちら。



キャンペーンプロモーション動画は映画『ブレードランナー』的なフォントに、ヴァンゲリスが同映画のために作曲した『Blade Runner Blues』が流れる。まさにそんな昔描かれた未来のような腕時計だ。(ちなみに映画中にハリソン・フォード演じるデッカードが付けていた腕時計はWatch HunterによればMicroma PVDというLCDディスプレイ時計で、たまにeBayなどに出品される)。

動画は至ってシンプルなので、これまでの腕時計との違いは金属製ケースだけかと思われる方もおられるだろう。が、実は地味に色々進化しているのだ。詳細を以下で説明していこう。

新機能:ソフトスタート


以下に「SPACE Watch」と「CYBER Watch」を紹介していくが、今回両方に共通して進化した点を記そう。
それは今回の腕時計のために新たに開発された「ソフトスタート」機能だ。先のプロモーション動画を観て戴くとお判りだと思うが、瞬時に明るく点灯するのではなく、段々と(と言っても実際には一瞬だけど)明るさが上がるようになっている。バッテリー残量を問わずこのソフトスタート点灯が行われるようになっており、これによりVFD管の寿命を延ばすことができるとのこと。急激な点灯よりもダメージが少ないのだろう。

このソフトスタートのお陰で寿命が延びるだけでなく、点灯の瞬間がより美しさを増したのも嬉しいところだ。

丸2桁の魅力:SPACE Watch


まずは丸いケースに2本の大柄なチューブが入った「SPACE Watch」。この2本はIV-6というVFD管であり、数字を表示させるようになっている。SPACE WatchにはこのほかにもIV-15というVFD管も2本入っている。こちらはAM/PM表示と秒通知の機能を担っている。

風防はサファイアクリスタル製。普通のミネラルガラスよりも傷が付きにくく高価な素材だ。


ケース径は54.9mm、厚みは16.7mmと存在感溢れる大きさ。その一方で重さ(メタルケース版)はかなり軽量であり、本体だけだと僅か26g。


この軽さを実現しているのはメタルケースの材質、アルミニウム合金。通常腕時計のケースに用いられるステンレススチールと異なり、遙かに軽量なのだ。しかもステンレススチールよりも軽量なことで知られるチタニウムよりも軽い。そのためここまでデカいのに軽くすることができているというわけだ。

なおメタルブレスレットはステンレススチール製で、ブレスレットを含めると146gとなる。

バッテリーの持ちは、満充電から800回以上ボタンを押すことができるほど。なので一日80回押すと仮定して10日間の使用が可能。なお未使用時(点灯させない場合)のバッテリーの持ちは1ヶ月以上だという。


メタルケースのカラーバリエーションは二つ。CNCにより削り出した艶出し仕上げのシルバーか、陽極酸化処理を行ったブラックバージョンだ。

なお、メタルケースでなくても良いからより安価にこのレトロフューチャーな腕時計を手に入れたいという方には、プラスチックケース版も用意されている。プラスチックケースは黒色だが、ストラップは黒と白から選択可能。

価格は記事の最後にまとめて記そう。

長方形の4桁表示:CYBER Watch


こちらはより大きなVFD管、IVL 2-7/5が使用されている。見た目からも判るように管は4本使用されており、メタルブレスレットから左右にはみ出る感じがある。手の甲に突き刺さりそうな感じがあるが、SPACE Watchと違って一度に「時:分」を表示できるのは利点となっている。

かなりの明るさがあるので、暗所ではライトとしても使用できるとか。


画面部右下の黒い部分は「ゲッター」と呼ばれるもので、管内のガスを吸収する機能を持つ。もし管が割れてしまった場合には個々が変色するのですぐに判る。このゲッター部は銀色のものも多いが、TecSolによれば、黒いゲッターは銀色のものよりもガス吸着能力が高い。



寸法は横74mm x 縦36mm x 厚み11.8mm。厚みは普通の自動巻き腕時計と比較できる厚さとなっているのは凄い。

ステンレススチール製ブレスレットを含めた重さは148g。


こちらはその形状からより大きなバッテリーを入れることができたとのことで、満充電からは900回以上のボタンプッシュが可能。



こちらもメタルケースのカラバリは艶出しシルバーと、陽極酸化処理のブラックがある。また、安価なプラスチックケース版も用意されている。こちらもプラケースは黒で、白と黒のストラップから選択可能となっている。


その他の共通項目/ストレッチゴール


二つの腕時計で共通する点としては、ボタンを押したときのみ時間が点灯すること、ボタン長押しでのバッテリー残量表示、充電中(赤)と満充電(緑)を示す二つのインディケーターなどがある。また、腕時計のバッテリー充電は共通してmicro USBにより行う。


時間フォーマットは前回のプロジェクトと同じく出荷時にファームウェアーで決定する仕組みで、注文時に時間表示を12時間か24時間か選択する仕様。


付属品としては、「NIXOID」のロゴ入り化粧箱、micro-USBケーブル、取扱説明書がある。


なお、ストレッチゴールも複数設定されている。

1万ドル:SPACE Watchと後述のVFD LIGHT WATCHのプラスチックケース版に新たに青、緑、赤のストラップカラーオプションが追加
2万ドル:メタルケースに新カラー「スペースブルー」追加
4万ドル:レーザー刻印でシリアルナンバーとモデルナンバーがケース裏に刻印される
7万ドル:メタルケース版に加速度計追加

最後の加速度計は、手首を捻る動作で自動点灯する機能を追加するもの(プロトタイプ版が機能する様子はキャンペーンページ内の動画で見ることが出来る)。なおこの機能はマグネットを使ってオン・オフが可能であり、もしストレッチゴールが達成された場合には加速度計が時計内部に追加されるだけでなく、付属品としてマグネットも追加される。


気になるリワード/アーリーバード金額は…?

各プラケース版。左からVFD LIGHT WATCH, CYBER Watch, SPACE Watch。

さて、今回のKickstarterキャンペーンで提供されるリワード金額は以下の通り:

SPACE Watch(丸い方)
アーリーバード・プラスチックケース版:250ドル
アーリーバード・メタルケース版:340ドル
通常リワード・プラスチックケース版:269ドル
通常リワード・メタルケース版:350ドル

CYBER Watch(長四角の方)
アーリーバード・プラスチックケース版:230ドル
アーリーバード・メタルケース版:330ドル
通常リワード・プラスチックケース版:259ドル
通常リワード・メタルケース版:340ドル

なお、今回はこのほか「SPACE Watchの小さい版」とも言える「VFD LIGHT WATCH」(上の写真の左のもの)というものも特別に提供されている。こちらはプラスチックケース版のみのリワードとなるが、2桁のVFD管による時間表示、サファイアグラス、 AM/PM表示はドットで示すようになっている。こちらは寸法は径50mm、厚み17.1mm、重さ60gとのこと。

VFD LIGHT WATCH(小さめの丸いの)
アーリーバード:190ドル
通常リワード:199ドル

なお、メタルケース版のSPACE WatchとCYBER Watch両方手に入れたいという場合は、両方別に頼むよりも安価なセットも用意されている。

SPACE + CYBERセット
アーリーバード:655ドル
通常リワード:660ドル


「腕時計はいらないが浪漫溢れるレトロウォッチを作り続ける彼らを支援したい!」という方は、10ドルの支援でVFD管の形状にNIXOIDロゴとKickstarterロゴをあしらったカーフレグランス(匂いはバニラ、レモン、トゥッティ・フルッティから選択可能)が貰えるようだ。腕時計もカーフレグランスも欲しい方は、腕時計リワードの金額に10ドル上乗せするか、メタルケースの腕時計を二つリワードとして選択すれば貰えると言うことだ。


まとめ:レトロな未来を腕に



レトロな未来を腕につけられるNIXOID/Handcrafted Workshopの腕時計、好きな人にはやっぱりたまらないだろう。



一度に時分両方表示されるCYBER Watchの利便性も良いが、個人的には非点灯時も細やかでレトロで優雅な部品の数々が愉しめるSPACE Watch文字盤の情報量の多さが気になる。

以前はプラスチックケース版しか存在しなかったが、「金属製ケースなら買ったのに…」という声もたまに耳にすることがあった。そんなファンからの声を受けて金属製ケースが登場しただけでなく、より安価に手に入れる事のできるプラスチックケース版(やその中でも安価なVFD LIGHT WATCHまで)提供してくれているのは嬉しいところ。

NIXOIDから日本の読者にコメントを求めたところ、このような裏話を聞くことができた:


「時計も表示部も5倍の過負荷テストを行ったがそれでも焼損はありませんでした。」(写真はその時のもの) 
「スタジオで写真撮影をしているとき、すべてのプロトタイプを箱に入れてたのですが、CYBERモデルが横面を下にして落ちてしまい、ボタンが押されっぱなしになってしまいました。40分以上連続点灯して熱くなっていましたが、これに私たちが気付いた時にはバッテリーが4%しか残ってなかったのです。でも時間が無かったためそのままの状態で撮影しなければなりませんでした。なのでCYBERモデルのすべての写真はバッテリー残量4%で撮影したものとなっています。」

とのこと。流石に高い信頼性が認められて軍隊やスペースシャトルに使われていただけあり、負荷が高くとも、落としても、ちょっとやそっとでは壊れないし、バッテリー残量が僅かになっていてもきちんと点灯してくれるようだ。


「(メタル)ケースは手で磨いていますし、腕時計は手で組み上げています。」
とも語っている。大々的にアピールはされていないが、実はケースも時計組み立ても全て手作業で行われているのだ。小さな工房でソ連製のチューブを手で磨き上げた腕時計ケースに一つ一つ組み込んでいるところを想像するだけでワクワクしてきそうだ。


気になった方は開始から30分もしないうちに既に20%達成しているKickstarterキャンペーンページへどうぞ。なお発送は2020年9月が予定されている。



なお、「どうしてもニキシー管じゃなきゃやだ!」という方はNIXOIDの公式ウェブショップからニキシー管腕時計を購入することが可能だ。あと、2018年に告知されていたニキシー管付きフラッシュドライブ(データ移動時に数字が変わる)も発売されているのでニキシー管沼に入って出られない方はそちらもどうぞ。

Image courtesy of Handcrafted Workshop

Source: Kickstarter

(abcxyz)

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