3000万円を集めたあのヴィンテージ風ダイバーズ腕時計の最新版。MAEN Watches「Hudson MKIII」プロトタイプモデルレビュー


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オリジナルかつ堅実な、ヴィンテージ・ダイバーズウォッチにインスパイアされたデザイン。上品な38mmケースサイズに、スリムな逆回転防止ベゼル。さらにスイスで組み立て、スイス製ムーブメント採用で6万円程度とお手頃価格。

MAEN Watchesが世に送る魅力的な腕時計コレクション、Hudsonの最新モデルとなるHudson MKIII(ハドソン・マーク3)のプロトタイプレビューをお届けしよう。

*記事中でも各所で記しているが、あくまでもレビュー品はプロトタイプなので細部が製品版と異なる点も少々あるのでその点を念頭に置いてお読みいただきたい。



もくじ


クラファンで3000万円集めた、MAEN Watches - Hudson MKIII
径38mmにスリムベゼル、細部まで魅力の詰まったケース
シンプルで美しい文字盤
(製品版では)ケースとマッチした仕上げにネジピン式のメタルブレスレット
まとめ


クラファンで3000万円集めた、MAEN Watches - Hudson MKIII



簡単に紹介すると、MAEN Watchesはスウェーデンの首都ストックホルムを拠点とするオランダ系スウェーデン腕時計ブランドだ。

今回レビューする「Hudson」(ハドソン)のコレクション名となっているのは、米ニューヨーク州を流れる「ハドソン川」だ。ブランドの名前、そしてコレクション名に秘められた意味と歴史について、詳しくは当ブログでSkymaster 38を紹介した記事に書いているのでご覧いただければ幸いだ。

MAEN WatchesはKickstarterで3回の腕時計プロジェクトを成功させている。今回レビューするモデルのベースとなるモデルは、2018にKickstarterでキャンペーンを行った「Hudson」だ。



*動画はKickstarterでキャンペーン時のもの。レビュー品とは細部が異なるので注意。

その初代「Hudson」はキャンペーン開始から僅かに3分で目標金額達成し、最終的に27万ユーロ(約3170万円)を集めた大成功プロジェクトだった。

これからご紹介するのは同じく「Hudson」コレクションではあるが、それから細やかな進化を遂げてた「Hudson MKIII」(ハドソン・マーク3)のプロトタイプモデルだ。KickstarterリワードのMKI、その後市販されたMKIIに続く、最新版のMKIIIのプロトタイプモデルとなる。


Image courtesy of MAEN Watches

レビュー品は「Jet Black」モデル。バリエーションとしては、「Jet Black White Chapter Ring」(チャプターリングが白い)、「Midnight Blue」(文字盤青、チャプターリング白、ベゼル逆三角形白)、の他に「Jet Black」の日付窓のないモデルも存在する。

*今回はレビューユニットのため化粧箱の紹介/開封の儀式は無し。なお共同創設者のJules氏によれば、Kickstarterプロジェクトページに掲載されている化粧箱からは変更があり、より小さなり環境にも優しく、リサイクル性も配慮したものになっているという。


径38mmにスリムベゼル、細部まで魅力の詰まったケース



ケースは316Lステンレススティール製。径は38mmと小ぶり。


風防はわずかに傾斜したドーム状のサファイアクリスタル。これがボックス風防のようにベゼルから突き出す。しかし、ケース厚は風防からケース裏まで含めても12mmと薄めに仕上げられている。

後の写真でより顕著に判るが、風防には内側に反射防止コーティング(ARコーティング)が二重に施されている。(外部や内外両面にARコーティングを施すものもあるが、外側のコーティングは傷が付いたら剥がれてしまう。)


ベゼルは120回転逆回転防止式。ベゼル幅がスリムなものを採用しており、これが小ぶりなケース径と相まって上品な印象を与える。ベゼルのギアの端からインサート内側までは3.6mmほど。手元にある腕時計の中で回転式ベゼルを持つもの(ケース径が38~44mm)のベゼル外側からインサート内側までは全て5~6mmであったので、これがかなり薄いことがおわかり戴けるだろう。


ベゼルの特徴としては、アルミニウム製のインサートが採用されていることもある。特に最近はセラミックのインサートを用いた腕時計をよく見るが、インサートがアルミニウム製であることでヴィンテージ感が生み出されている。


インサートは黒地に、地色のシルバーでインデックス、12時位置には赤く逆三角形が。これもヴィンテージ感を放つ要素で、ロレックス・ミルガウスref.6541のベゼルと共通するカラーリングだ(Theo and Harrisもこれを指摘している)。


ベゼル側面はギアエッジ。小さめの径にスリムベゼルがしっかりとした堅めのクリック感があり、各クリック時の遊びは少ない。


MKIIIではこちらの写真のようにベゼル部分が改善されており、ベゼルのエッジはより鋭く、ギアの溝は深く回転させやすく、そしてベゼルのメカニズムを変更しており、回転時のクリックがよりよくなっているとのことだ。レビュー品のベゼルはは最新版ではないので特にギアの溝部分の違いがお分かりになるだろう。


ねじ込み式の竜頭はMKIIIで一新され、MKIIより回しやすいものになっているとのことで、こちらのプロトタイプ品とは異なるが、とりあえず見ていこう。竜頭頭頂には「M」のブランドイニシャル(これは製品版MKIIIでも同じ)。


異なるのは、プロトタイプでは竜頭側面がコインエッジとなっているのに対して…


Image courtesy of MAEN Watches

製品版MKIIIではこちらの写真のようにギアエッジになっているという点だ。


竜頭の反対側は、ラグからラグまでベゼルに沿ってカーブする鏡面仕上げ。


ラグは、MKIともMKIIとも異なり、MKIIIでよりシャープなものになり、仕上げの質感も向上。


ここではMKIの時から既にラグ上部はヘアライン仕上げ、ケース側面と、その間の面取り部分は鏡面仕上げとなっていたのだが、MKIではヘアライン仕上げの方向が円状であったのに対し、MKIIIではラグの長さ方向の仕上げになっている(比較のためにはKickstarterキャンペーンを参考にするとよいだろう)。


この変更により、ラグ部分とブレスレットとの一体感が増している。


裏蓋はねじ込み式でエキシビションバックとなっている。MKIではエキシビションバックモデルが10ATM、一枚裏蓋モデルは20ATMだったが、MKIIIではエキシビションバックモデルでも20ATMを実現している。大きめのエキシビションバックも表面と同じくサファイアクリスタル製。内部のムーブメントがしっかり堪能できる…がその前に、この裏蓋部分も凝った作りとなっているのでそちらを見よう。


ねじ込み工具を引っかける部分は円周状のヘアライン仕上げ、一段上がったところにコインエッジの部分がありそちらは鏡面仕上げ。この2重の仕上げは裏面に高級感を生んでいる。普段人が目をやらない、そして特に時計がエキシビションバックである場合軽視されることの多い裏蓋のデザインにここまで注目を払っているのは素晴らしい。


この段階構造は時計を薄く見せる効果も持つ。


鏡面仕上げ部には刻印が施され、モデル名、型番、使用ムーブメント、「SWISS MADE」(スイス・メイド)などが記される。(また、この写真では竜頭の根元に僅かに窪みがあるのも見て取れるだろう。)


ローターにもブランド名とイニシャルとが記されている。レビューしているプロトタイプモデルではETA 2824-2が入っているが、MKIIIの内蔵ムーブメントはデコレーションが施されたスイス製STP 1-11 Elaboréとなる。日差は-0/+ 15秒で、5ポジションで確認、レギュレーションされているという。(プロトタイプモデルにETA 2824-2が入っているのは、これが元々MKIの採用したムーブメントであったこともあるかもしれない。)

STP1-11はETA 2824-2をベースとしたSwiss Technology Productionによるムーブメント。両者はほぼ似通っており、28,800 bphである点はどちらも同じだが、ETA 2824-2のパワーリザーブが38時間であるのに対して、STP 1-11は44時間と6時間パワーリザーブが長くなっている。(MAEN Watches共同創設者Jules van Helvoort氏によれば、STP 1-11の方がパワーリザーブが長いだけでなく仕上げも良いとのこと。)


裏の風防は27mm。これまで私がレビューしてきたほとんどの腕時計では、ケース径は38~42mmとばらつきがあっても裏の風防径は26mmだった(唯一の例外はVan Braugeで35mm)。38mmのケース径とのバランスか、それともこのムーブメント内部構造との相性か、いずれにせよ通常より僅か1mm大きいだけの径にもかかわらず、大きく中が見えるように感じる(これには風防とローターの位置がギリギリまで近くに配置されていることもあるかもしれない)。これに裏蓋の仕上げと装飾的要素が加わることで、ムーブメントをフルに堪能できる上に品がある裏面になっている。


シンプルで美しい文字盤



文字盤はシンプルで識時性が高い。文字盤はサンドブラスト加工がなされており、光の反射が抑えられている。


これに風防のARコーティングからくる青い反射が合わさり、見る角度によっては黒い文字盤にも青い文字盤にも見える。


C3スーパールミノバ蓄光を囲む額のような銀色のバー状アプライドインデックスが各時に配されている。12時部分は2本、3時部分は代わりに日付窓がある。


反射の少ないマット地の文字盤に、シルバーのインデックスと針で可視性は高い。


時分針はどちらもエンパイア・ステート・ビルを彷彿とさせるような形状。平たくはなく、台形構造をしている。台形の天面に当たる部分には溝があり、そこに蓄光部がある。その左右は文字盤方向に傾斜しており、各方向からの光を反射する。


時針の先端近くは、蓄光材の代わりに赤い塗装が施してある。秒針にも赤い塗装の入った丸がある(この丸の位置は秒針の先端ではなく、時計中心から秒針の先端の丁度中程にあり、このバランスも好ましい)。


蓄光はこんな感じ。蓄光部分もMKIIIでは改善されているとのことで、このプロトタイプでは針の蓄光よりも明るく光っている。なおMKIIIではインデックス部の蓄光剤も改善しているとのことで、(時分針と比較しても)よく光る。残念なのは赤い部分が蓄光ではないこと(赤紫っぽく見えるのはカメラフォンのセンサー光の反射。非発光時に赤いスーパールミノバも存在する)。


12時下には「MAEN」のプリント。


3時位置には日付窓。マット地の文字盤が光の反射を抑えるため一見分かり辛いが、日付窓の周辺は傾斜している。


裏蓋にもスイス製である旨は書いてあったが、6時インデックスの左右にわたりここにも「SWISS MADE」の表記。この腕時計はスイスはラ・ショー・ド・フォン(La Chaux-de-Fonds)で組み立て、防水テスト、QAなどがなされている。


6時インデックス上には「AUTOMATIC」(自動巻き)、そしてコレクション名「HUDSON」。


チャプターリングは4分の1秒の小さな目盛り、1分おきの目盛り、15分おきに赤い数字(60,15,30,45)、5分おきに灰色の長方形が配されている。


(製品版では)ケースとマッチした仕上げにネジピン式のメタルブレスレット



ブレスレットに関しては、MKIIIでは新規に作成しているとのことだが、今回のプロトタイプ品についているものは古いタイプのものだとのこと。このため当レビューでのブレスレット項目は参考までに留めて欲しい。


例えば製品版とは仕上げの違いがある。5コマ式のステンレススチール製ブレスレットであることには変わりないが、レビュー品はどのコマもブレスレット長さ方向のヘアライン仕上げとなっている。


Image courtesy of MAEN Watches

一方、製品版MKIIIではヘアライン仕上げと鏡面仕上げが組み合わされ、こちらの写真のようになるようだ。


また、この写真と先の写真とを比較してみればお判りになるが、ブレスレット側面の仕上げも製品版では鏡面仕上げとなるようだ(時計部ケース側面も鏡面仕上げなのでそれにマッチするようになるわけだ)。

このほか、レビュー品はブレスレットの長さは割れピンで調整する仕組みになっているが、MKIIIでは豪華にネジ式になるとのこと。


レビュー品のブレスレットはラグ部は20mm幅。徐々にそこから幅が細くなって、バックル部は16mmほどになる。


バックル部分は三つ折れ式で、両サイドにプッシュボタンが付いている。外側には「MAEN」の刻印。マイクロアドジャストも一つ点いている。


16~17cmの手首径の私では、マイクロアドジャストは短い方の設定、コマは最小数+1(あと一つコマを外せる)にすると丁度よい。


品質、デザイン、価格、サイズ、どれも魅力な腕時計



MAEN Watchesが世界中で人気なのもうなずける。

小ぶりなケースデザイン、アルミニウム製のベゼルインサート、突出したドーム型風防とヴィンテージな腕時計を彷彿とさせる要素で構成されている。しかし、多くの新興ブランドが陥るようなオマージュに陥ることもなく、レトロな要素を活かしたオリジナルなデザインとなっているのは高く評価されるべきだろう。


それもただのレトロ要素を継ぎ接ぎしたものではなく、全体として上手く纏められている。シルバーと黒で統一された中に赤がアクセントとなっているのも美しい。


また、ヴィンテージ風の見た目ながらも現代的な技術的が採用されていることも魅力(風防がサファイアクリスタル製なので傷がつきづらいとかエキシビションバックで20ATMとか)。もちろん本物のヴィンテージ腕時計も魅力だが、この部分はやはり現代の腕時計ならでは。


38mmというケース径も(平均手首径が16~17cmとされる)日本人男性の腕にも大きすぎずマッチするのも嬉しいところ。


購入はMAEN Watchesのウェブサイトから可能。価格はどのモデルも499ユーロ(記事執筆時レートで約6万円)と、個性ある良質デザインを持つスイス製オートマチック腕時計として手ごろな値段設定であるのもMAEN Watchesの人気の秘密だろう。現在MKIIIは製造中の段階であり、今注文すると4月末頃の発送となる。全世界送料無料でDHL Standard Shippingで発送してくれるほか、有料でDHL Expressも可能。オプションでNATOストラップを23.20ユーロで追加することができる。


Source: MAEN Watches

(abcxyz)

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