クラファン~到着まで約4年「睡眠が快適になるヘッドホン」KOKOON、果たしてその出来栄えは…?


睡眠を快適にするため、ヘッドホンの形状を一から見直し、脳波センサーで睡眠状態を測定できるすごいヘッドホン!という売りで2015年にKickstarterに登場したKOKOONヘッドホン。私は当時出資したのだが、当初の発送予定である2016年2月を大きく通り越し、2019年も末になりようやくリワードが届いたのでご紹介、詳しくレビューしよう。



製品レビューが気になる方は読み飛ばす項目


出資から手に入れるまでの経緯


このヘッドフォンはもともと睡眠を快適にすることを目的にデザインされたもの、と言うのが一番の売りだった。

KOKOONキャンペーンに出資した2015年当時、私は明け方に耳に音が響いて困っていた。多分歯ぎしりがひどいためもあったのであろうが、明け方に家の内外から聞こえてくる様々な音が頭に響き、睡眠の質が低くなり困っていた。幸いなことにノイズキャンセリングヘッドフォンを所有していたので、朝頭に音が響き出すとこれを装着して寝続けるという対策を取っていた(2015年出資当時に書いた投稿はこちらで読むことができる)。しかし大抵のヘッドフォンは「頭につけたまま寝る」ということは設計コンセプトに入っていないのだろう、頭にヘッドフォンをつけたまま寝るというのはあまり心地よい経験ではなかった。

また、長時間着用時の付け心地も問題であった。これには所有するアクティブノイズキャンセリング機能付きヘッドフォンが、耳の上にパッドが当たる「オンイヤー」タイプのものしかなかったことも問題であったろう。パッドにより耳が押さえつけられるため、長時間の着用では耳の付け根あたりが痛く、不快になるのだ。これは長時間フライトでも大きな問題だった。

アクティブノイズキャンセリング機能(以下ANC)を持たず、その代わりにクローズド式(密閉型)であるためにパッシブなノイズキャンセリング機能(耳が塞がれるために音が遮断される)を持つTDKの「TH-HB700BBK」を使っていた時期もあったが、これもまたオンイヤータイプであるため同様の問題があった。




上はキャンペーン当時の動画

そんなときに目にしたKOKOONのキャンペーンでは、「頭につけたまま寝る」ことをアピールしていた。ANC機能を備えるし、ベッドで寝たまま使えて、しかもオーバーイヤーなので耳が押さえつけられることもない!まさに私の求める使い方には完璧とも感じられるものだった。

キャンペーンでは、ノイズキャンセリング機能だけついて少しだけ安いライト版と、BluetoothとEEG脳波センサーによりスマホと同期して睡眠の質をセンサーにより測定することのできるフル版とが存在した。当時私は睡眠の質を腕の動きから判断することができるスマートウォッチPebbleを使用していたのでライト版に出資した。

どちらのバージョンもぱっと見は同じで、着用時のシルエットをなるべく低く、なだらかにして、横を向いて眠ることもできるという。これを可能にするのは、薄いドライバー部。通常のヘッドホンでは電子部品がドライバー部に付いているのだが、KOKOONではヘッドバンド部に電子部品を移動させることでドライバー部を薄くしている。



上は現在KOKOONが公開する動画

しかし、当初の製品発送予定である2016年2月から4年近い長きにわたる開発の間に、支援者数の少ないライト版をわざわざ別個に製造するのはコストがかかりすぎるなどとの判断から、ライト版は製造されず、その代わりライト版出資者には返金もしくはキャンペーン当時の差額を追加で支払うことでフル版にアップグレードするという選択肢が提示された。

先の動画と以下のレビューを比較すれば、開発の過程でヘッドフォンの形状やセンサーの位置、収納方法やサイズも変わっているのもわかるだろう。


開封



化粧箱の外箱。


化粧箱と小さい封筒。化粧箱は表が磁石で閉じる仕組みのもの。箱そのものは90年代の携帯電話の箱のような雰囲気が漂う。外に製品情報や特徴は別段記されていない。「Kokoon Relax Launch Edition」ローンチ・エディションと記してあるが、もしかしたら出資者向けの限定パッケージであり、だからこそこういう見た目なのかもしれない。


磁石部を開けると蓋内側はクイックスタートガイドになっている。小さい封筒に入っているのは、蓋内側のクイックスタートガイドとは異なる内容の簡易使用法説明にバッカー向けのディスカウントコードが書かれた紙。


中にはしっかりとしたキャリングケース、英語で書かれたマニュアルV1.2(一応オンラインの簡易マニュアルは日本語版も存在する)、「安全に関する重要情報」(これだけは複数言語表記があり、日本語でも書いてある)が。


ケース



ケース表面はテクスチャのある布地で覆われている。どの面もなかなかの厚みがあるため中はしっかり守られそう。


ファスナーにはKOKOONのロゴ入り。


蓋面側にはポケットが付いている。


中から出てきたのはKOKOONヘッドフォン本体と・・・


ケース/ヘッドフォン本体とマッチする色合いの充電用microUSBケーブルと、3.5mmオーディオケーブル。そしてアイマスク!


KOKOONヘッドフォン



大きさは159 x 179 x 94mm、重さは350g。


耳の周りを囲むように合皮に覆われた柔らかなイヤーカップ、そしてそれを更に覆うようにファブリックに覆われたシリコン製イヤーカップ。内側のイヤーカップは耳周囲部分の肌に触れ、外側のカップは顔の頬骨の後ろ(頬骨弓)や下顎骨の顎関節あたりまでをカバーする感じ。

耳周囲をしっかりと覆ってくれるため、ANCオフ状態だけでもある程度の音は遮断される(=パッシブノイズキャンセリング/受動的ノイズ遮断性能を持つ)。


ヘッドバンド部に電子部が入っていることもあり、(ドライバー部に電子部品が集約されているものと比べ)ヘッドバンド部は重め。それでも、ある程度の側圧があることと、イヤーカップの触れる範囲の広さのおかげで、頭全体にうまく重さは分散されているように思う。ヘッドバンドは前後に二分割されているようで、ねじりを加えることもできる。


ヘッドバンド部とドライバー部の間にあるヘッドフォンの長さ調節は、左右それぞれ3.5cm伸ばすことができる、無段階式となっている。ロックするための機構は存在しないが、特に使用中に問題なく設定位置に留まることができる。耐久性がどうかは気になるところだが。


ドライバー部は前方向にも後ろ方向にも90度以上スイングできる(つまりそれぞれ180度以上スイング)。私のこれまで所持してきたヘッドフォンはどれもスイング範囲は狭かったり、前後どちらかの方向にしかスイングできなかったりしたのだが、KOKOONはこのスイング範囲の広さが心地よさにつながっているのかも、とも思った。

長時間の着用で蒸れそうな気もするが、こればかりは乾燥した冬のフィンランドで試してもわからない。一応Kickstarterキャンペーン時にはイヤーカップ内部の通気性にも言及されているが、形状も変わっているため製品版でこの機構は再現できているか不明。


一応外側のカップにはそれらしい穴は見られるものの、合皮で覆われた内側のカップにつながっているわけではないだろうし・・・(それとも繋がっているのだろうか?)。


ドライバー部にはEEG脳波センサーの端子。シリコンに端子が付いているので端子部は触ると簡単に動き、耳に触れても押しつけられる感じはしない。このほかにも加速度計もヘッドホンのどこかに付いている。


ヘッドバンドに機械部が入っているため、電源やボタン類はヘッドバンドに。左後方に電源ボタンと3.5mmヘッドフォンジャック、LED。右後方には充電用microUSBポートとアクションボタン。もちろん機械部の位置からこのような配置になったのだろうが、このおかげでヘッドバンドを一瞥するだけでヘッドホンの正しい左右方向がわかるので個人的には好き。


前側は何もなくすっきりした見た目。金色部分はプラスチック製。


Bluetooth 4.0 Low Energyに対応し、500mAhのリチウムイオンバッテリー搭載、公称13時間のバッテリーの持ち。充電はヘッドバンド右後方にmicroUSBを挿し行う。充電中は左のLEDが点滅。満充電で点灯。オンにした状態では電源ボタンを押すことでバッテリー残量が3段階で判る。


なおヘッドフォンケーブルを接続するとBluetoothはオフになる。ヘッドフォンのバッテリーが無くなった状態でもケーブルを挿せば有線ヘッドフォンとして使うことができる。ケーブルはヘッドバンドの左後ろから伸びるので少し奇妙な感じ。なので第6世代iPod Nanoのような無線機能を持たない音源もOK。

ドライバーは40mm、インピーダンスは32ohm。



音質は個人の意見ではあるが、悪くない。当然ながら携帯性が重視されるHuman Headphonesよりは大分良いし、オンイヤーで密閉型のANCヘッドフォンSONY MDR-ZX750BN(上リンク)よりも好ましく、高音が綺麗に聞こえる気がする。SONY MDR-ZX750BNと同様に、ANCをオンにすると低音が強調される。



残念ながらオーバーイヤーで密閉型の比較対象の持ち合わせはないのだが、同じくオーバーイヤーのSennheiser HD 598(開放型、上リンク)と比べても素人耳にはそこまで劣っているとは思わない。さすがに音の抜けというか、音の開放感は劣る。加えて(これも密閉型タイプのためかもしれないが)、音が重なり合う部分では粗が出る。例えば「Lorde - Tennis Court」のサビのキックドラム的な音と背景の低音は、HD598と比較すると、きれいに鳴り分かれていないような、輪郭が混ざり合ってしまうような感覚がする。「Alpha - Still」の盛り上がる部分も同様に、輪郭が混ざり合う感がでてしまう。

その代わり、音漏れはなかなかしない。外の音もある程度遮断できるので当然だが。Huawei P20Proで音量を半分まであげてダブステップ曲「Nero - Doomsday」などを聞いても、真横にいる妻から音漏れはしないといわれた。さすがに75%まであげると漏れるとのこと。

音質に関しては、Kickstarterキャンペーン当時は日本のオンキヨーと共同で「truly world class audio」(真に世界クラスのオーディオ)を目指すとしていた。オンキヨーとの共同開発がどうなったかは知らないが、音質に関しては満足できる質に落ち着いていると感じる。


アクティブノイズキャンセリング機能



アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能使用時のホワイトノイズは大きめで、気になる人にはこれは問題となるだろう。ANC機能は電源ボタン二度押しでオンオフ切り替え可能。

洗濯機を回しながら手持ちのSONY MDR-ZX750BNのANC機能と比較してみた限りではそう大きく性能差は感じられなかった。ただし、オンイヤーのMDR-ZX750BNとオーバーイヤーのKOKOONの比較はそもそもフェアではないと言うことも考慮すべきだろう(KOKOONは耳をすっぽり覆うため、ANC機能はオフでも着用するだけでノイズを多少軽減できるが、これに比較するとオンイヤーだと耳とイヤーパッドの間に微妙な隙間が生じて音が入り込むようになっている)。

ホワイトノイズに関しては、周囲の音がうるさければ問題ではなくなるはずだし、ANCオフ状態でも外音遮断性がある程度あるため、私は外音が僅かなときにはNC機能をオフにしている。


付け心地と、睡眠時の使用



着用してまず感じたのは付け心地の良さ。手持ちのヘッドフォンで似た形状のものとしてはゼンハイザーHD598(写真のプリンっぽい色のもの)がある。これも付け心地が良いことでも知られているし、やはり350gのKOKOONよりも軽量(246g+太い3mのケーブル…)であることもあり、起床状態での使用ではわずかにHD598のほうが付け心地に勝ると感じた。

しかしKOKOONの付け心地が他のヘッドホンに勝るのは、ヘッドレストに頭をもたげたり、枕に頭をしずめる時だ。7時間ほど着用したまま寝てみたりもしたが、外耳を押さえないオーバーイヤー形状であるため耳が痛くならなかった。これには満足。

KOKOONは睡眠時の使用には柔らかく深い枕の使用を推薦、メモリーフォームやシリコンピローは避けるべきとしている。

当初私はこれに気づかずにメモリーフォームピローで使用していたが、上を向いて寝るぶんには問題なかった。問題は寝返りを打つ/姿勢を横向きに変えるときで、仰向け状態から横を向こうとすると、いくらドライバー部が薄いと言ってもその盛り上がりのせいで頭の位置が上がり、首を横方向にかしげた様子になってしまう。また、頭を枕に沈める動作などで枕とヘッドフォンが触れ合ったりするとイヤーパッドの位置が微妙にずれた。

このような問題は、時間をかけて重さに合わせた形状に変わっていくメモリーフォームピローの性質も原因で、ふかふかの枕に変えると改善された。多分ホテルのベッドにあるようなふかふかのものなんかが最適なんだろう。

とは言ってもKOKOONは完璧というわけではなく、例えば右を向いて寝ている状態から、左を向こうとすると、枕と頭の間に位置する右ドライバーが両者に挟まれる形となり、この部分が固定されて回転軸となり、反対側の左ドライバー部がずれ動いてしまう。結果として寝返りを打った後に左側の耳がちゃんとパッド内に収まるように調整しないといけないし、これを防ぐためには手でヘッドフォンを支えながら寝返りを打たなくてはならない。どちらにしてもウトウトしながら簡単にできることではない。

なので私は寝返りを打ちたくなった時点でまだウトウトしていなかったらきちんとKOKOONを装着し直し、ウトウトしていたらもうそのまま外してしまうという使い方に落ち着いた。

対してゼンハイザーHD598はどうかというと、(通気性こそいいが、ANC機能もパッシブノイズキャンセリング性能もないし音がだだ洩れであることを無視しても)寝ようとする際には向かない。これもKOKOONと同様に特にドライバー部分が滑らかな形になっており、(電子部品が入っているわけでは無いが)ヘッドバンドが大きく、つけ心地が良い。しかしやはりドライバー部は大きく張り出すし、枕や椅子のヘッドレストに頭をもたれかけさせるとなるとKOKOONの方が心地が良い。特に横向きになったときはそれがよくわかる。


こちらの写真を見て戴くと、ドライバーの張り出しはわかりずらいが、ドライバーとヘッドバンドが繋がる部分が外向きに出っ張っているのが判るだろうし、ドライバーの外側部分もHD598の方が出っ張りが多いことがおわかり戴けるだろう。これに加えて、KOKOONはイヤーパッドが柔らかいだけでは無く(HD598は起毛した表面仕上げの固形イヤーパッド)イヤーパッドの外側部分もシリコン製で柔軟性を持っている部分があるのだ。


写真は該当部分を爪で持ち上げているところ。

KOKOONの寝心地に関しては、欲を言えばヘッドバンド部分もドライバー部のように頭の形に添ったなだらかな傾斜を持っていれば、より付け心地と睡眠時の付け心地/寝心地が良くなったのではないかと思う。

また、KOKOONと言う製品に使用する枕を決められるのは癪だと思う方もおられるだろうが、もし入眠が問題だというのであればKOKOONと、推薦される枕の組み合わせを試してみてもいいのではと思う。


アプリ



アプリはAndroid版とiOS版が用意されており、睡眠トラッキング情報を示すことができるほか、専用の睡眠導入コンテンツ(英語)も用意されている。


このアプリだけでも独立して販売されても良さそうな内容に仕上がっているが、使用にはKOKOONヘッドホンが必要。また、アカウントの作成も必要となっている。


初回起動時にはどのような使い方(旅行に使う、睡眠のためでは無くリラックスのために使いたい、など)を意図しているかが尋ねられる。


簡易オンラインマニュアルには日本語も用意されている。


睡眠導入コンテンツは、「雨音」、「草原の音」、「川の流れる音」、「たき火の音」などのリラックス音源、ガイド付きメディテーション/リラクゼーション音源、リラックス音楽。

「ガイド付きメディテーション/リラクゼーション」は各18分、全8種の「Guided Sleep」(ガイド付き睡眠)のほか、より短く10分程度の「Guided Relaxation Shorts」(ガイド付きリラクゼーション・ショート)が5種ある。Androidアプリで言えば「Headspace」のようなもので、落ち着く感じの男性の声のガイドに従ってリラックスするもの。例えば深呼吸の指導だったり、「指先の筋肉に集中して・・・その感覚一つ一つに意識を集中させて・・・」と言ったようなの。こうして書くと怪しそうに見えるが、別に宗教的なものなどではなく、れっきとしたリラクゼーションの手法。だだ単に「リラックスして/瞑想して」なんて言われても難しいが、そのための行動手順を細かくガイドしていくもので、最終的にはガイド音声なしでもリラックスするための方法を身につけるというものだ。

これらに加えて、KOKOONの使い方の説明とガイド付きメディテーション/リラクゼーションが合わさった「Meet Kokoon」というコンテンツがある。これは5回に分けてKOKOONの使い方を説明すると共に、短時間でリラックスしたり、よりよい睡眠を実現するためのコンテンツ。


リラックス音源はただ聞いているだけで安らぐ、各20分程度のオーディオ。面白いのはガイド付き音源の背景音としてこれらを流すことができるほか、リラックス音源の背景音としてリラックス音源を用いることもできる(波音プラスたき火の音とか)。

リラックス音楽は、John Sampson、Rhys Copeland、Ross Sampson、John Dixの4人の作曲家から、各3、4曲ずつ提供されている。

ガイド付きメディテーション/リラクゼーションのコンテンツとしての質もいいし、「波の音」などの音源も、リラックス音楽も良く、リラックスするための音を集めたアプリとしても成立すると思う。また、音源は今後どんどん追加される予定だそうだ。


しかしアプリの神髄はKOKOONのEEGセンサーとの同期した睡眠トラッキングにある。まだ部分実装しかされていないのか、完全には機能していないようだが、2.5時間以上の睡眠を記録した場合、「覚醒、REM睡眠、浅い睡眠、深い睡眠」、と睡眠を3段階に分けて表示できるものがある(上画像がそれだが、現時点では「Example Data」参考データしか表示されず)。この2.5時間というのは、その程度の時間のデータがないと、どのセンサー反応がどの常態化を把握するのが難しいためのよう。



より短時間のデータであれば単純に、覚醒と睡眠のみが記されることとなる。



ただし、一応2.5時間というのは目安のようで、機能としては既に存在はしているよう。こちらの実例では、35分のデータで詳細情報が表示できた。


このほか、EEGセンサーにより睡眠状態を認識し、先に述べた各種音源を聞きながら入眠した際に、どれだけ効果的に入眠できたのかを10段階で評価可能となっており、どのような種類のコンテンツが入眠に最適かを知ることができる。


ただ、現時点ではきちんと機能していないのか、音源の最後まで起きていて、アプリ側でも音源再生中の「覚醒状態:100%、睡眠状態:0%」と表示しているのに10段階評価で10になっていたり、寝ていないのに睡眠が記録されていたりと完璧ではない。サポートに連絡したところ、これは開発側もすでにバグとして認識していて、改善を約束している。


ほかにアプリを通じたセンサー関連の項目としては、寝落ちしたらX分後(設定可能)に音源をフェードアウト、寝落ちしたらホワイトノイズ再生、などのオプションや、ヘッドホンが外されたことを認識し外して5分後に音源停止、外して15分後にヘッドホンをオフなどが可能(これらは時間設定を変えることができないが、オフにすることは可)。

現状ではEEGセンサーからスマホアプリへのデータのシンクロナイズも特に長時間のデータでうまくいっていない部分があるが、次期アップデートで改善予定となっている。

加えて将来追加される機能として、睡眠の浅いときにアラームが始動する「スマートアラーム」なども(Pebbleにもあったが)予告されている。


まとめ



*この写真でmicroUSBポートについているのはVOLTA 2.0

個人的には現状のKOKOOにANCヘッドフォンとして満足しているし、アプリも併せて入眠/リラックス用のデバイスとして好感が持てる。頭をも垂れかけることのできるリクライニングチェアや、長時間の移動に際して従来のヘッドフォンがしっくりこなかったという方にはもってこいだろう。

私は特に入眠に問題は持っていないが、アプリで提供されている音源も実際聞きながらリラックスしたり、入眠することができた。もちろんKOKOONアプリを使用せずとも普通のBluetoothヘッドフォンとして使えるので、横になった状態でも心地よく使えるヘッドフォンという用法もある(なので、KOKOONアプリ以外の好みのリラックス/瞑想アプリを使用することだってもちろん可能だ)。その一方で、少なくとも私の(頭の形その他の)環境では、KOKOONは寝返りを打つとずれることは問題と感じた。

私自身の使い方としては、主にフィンランド~日本の約10時間のフライトや、長距離電車・バスなどでヘッドレストに頭をもたげながらの活用や、時折自宅で寝る時間帯に謎の低音が聞こえて気になって寝づらい時などに寝落ちまで使用するのがメインの用法となるだろう。

売りであるはずのEEG脳波センサーに関しては今後アップデートされていかないとなんとも言えず。深い/浅い睡眠の測定や、スマートアラームに関しては加速度計しか搭載されていないPebbleですらできたのに(精度に関してはなんとも言えないが)、と思うと今後もきちんと頑張ってほしいところ。

購入したい方はKOKOONの公式ウェブサイトから可能。(一応書いておくと技適マークは付いていないので日本でのBluetooth使用はグレーかもしれない。筆者はフィンランド在住なので技適は関係ない。)

一番残念な部分はやはりKickstarterキャンペーンの出資者として、これが届くまでにこれだけの時間がかかってしまったと言うこと。特に寝ながらのノイズキャンセリング機能に関しては2016年の自分が最も必要としていたものであり、当時これが手に入らなかったことは悔やまれる。

まあこれだけ長く時間がかかったおかげで、ほかに気になるヘッドフォンが出てきても「いやいやこれからKOKOONが届くはずなんだし、まずはKOKOONが届いてから気にし始めよう」と考えることでヘッドフォンに対する物欲を抑えることができたと言う点もあるが(Human Headphonesへの出資を除けば…あれは2016年出資で2019年9月に届いたモノだった)。そしてこれだけ時間をかけても集めた資金を浪費して破綻しなかったこと、あきらめずに出資者に製品を届けたことは凄いことである。

正直に言えば、今後もKOKOONがアップデートされていくかどうかは少々心配ではある。これはまず先に出資者向けに発送をすべきところを、それが終わる前に新たな予約を受け付けると共にSNS広告を出し始めたことから推測される、現時点で資金不足なのではと言う心配だ。

そうはいっても、このKOKOONは快適な睡眠を可能にするヘッドフォンというユニークな製品であるのは事実なので、今後のプロモーション次第で流行ることも十分あり得ると考えられる。今後頑張って人々の睡眠をもっと快適にしていってもらいたい。


Source: KOKOON

(abcxyz)

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