自動巻きで多機能、しかも手頃な価格のトゥールビヨン腕時計。Viginti Octo「VO Tourbillon」ファンディング中


Sponsored by Viginti Octo

機械式腕時計の楽しさを極めた複雑機構トゥールビヨンムーブメント。今回ご紹介する香港Viginti Octoの「VO Tourbillon」はそんなトゥールビヨンを採用した腕時計。最近は手頃な価格のものも増えてきたが、VO Tourbillonはそんな中でも機能が豊富であることが売りとなっている。

現在Kickstarterでキャンペーン中のVO Tourbillonを以下でご紹介していこう。



Viginti Octo



香港をベースに活躍するViginti Octoは、高品質の腕時計を手頃な価格で提供することを目指すマイクロブランド。

2017年から積極的にKickstarterキャンペーンを打ち出してきている。同社のキャンペーンの中には失敗しているものも2つあるが、資金調達に成功しているのも同じく2キャンペーンある。一つはデュアル・テンプにムーンフェイズという複雑機構を持ちながら小売価格745ドルのVO LUNAというもの、そしてもう一つが今回のVO Tourbillonである。


記事執筆時のVO Tourbillonの支援者の8割近くがリピートバッカーであることを考えると、同ブランドのファンが求めているのは複雑な機構を備えた手頃な価格の腕時計と言うことだろう。さて、そんなVO Tourbillonは一体どんな腕時計なのか、以下で詳しく見ていこう。


VO Tourbillon




この腕時計の最も大きな特徴は、その名の通りトゥールビヨン機構を備えていること。

トゥールビヨンは、フランス人時計師アブラアム=ルイ・ブレゲが1800年頃発明したとされる機構で、元々は時計の脱進機が回転することで重力による影響を減らそうと作られた。詳しくはERA Prometheusのレビューをお読み戴ければと思うが、この機構を持った時計は2000年代に入るまでは数千万円のものしか存在しなかったということは、現在のトゥールビヨン腕時計を語る上では欠かせない基礎知識。


実はこのトゥールビヨンという機構を用いた腕時計は最近頻繁に、とは言わないまでも時折クラウドファンディングウェブサイトなどで目にすることがある。安価なトゥールビヨンを目指したそれらの多くは、その目標を実現しているのは、主に中国のメーカーの作るトゥールビヨンムーブメントのお陰だ。安価なトゥールビヨンムーブメントを作る会社にはSeagull、Hangzhou、Shanghai、Peacockなどがあるが、Nicolas & Manfredによれば中でもPeacockのものはローター、ベアリング、ゼンマイ部などが上手く作られ信頼性が高いとされる。


VO Tourbillonで使用されているのはそのPeacock社の自動巻きムーブメント、「Peacock 5216」。美しいコーアクシャル・トゥールビヨン機構の他に、カレンダー機構、サン&ムーンダイヤル付きの24時間GMTスモールハンド、そしてパワーリザーブを備える。クラウドファンディングウェブサイトでトゥールビヨンを採用する腕時計の中でも、ここまで機能が豊富なものは少なくとも私が知る中では初めてだ。

ムーブメントに関してもう少し詳しく記すと、27石、振動数は2万8800vphで、パワーリザーブはたっぷり余裕のある58時間となっている。


ケース



316Lステンレススチール製、手仕上げの艶出しが美しいケースは、ぱっと見シンプルな形状であるが、よく見ればケーストップのベゼルに当たる位置は6箇所でネジ留めされている意匠が施されている。この部分は少々無骨な雰囲気を醸し出しているが、文字盤内の要素もフォーマルさよりも計器的な美しさが強調される物となっているため違和感は無い。


風防は特製のサファイアクリスタルとのこと。ケース径は44mm、厚みは14mmとなっている。

比較のために他のトゥールビヨン腕時計のケースの大きさも示すと、Peacock 5212を使用するWaldhoffのThe Ultramatic(VO Tourbillonの5216と比較すればカレンダー機構が無い)はケース径42.5mmで厚さ13.8mm。ERA TimepiecesのERA Prometheus(手巻き式でパワーリザーブ表示とカレンダー機構はない)は径が44mmで厚さ12.72mmとなっている。この事からもトゥールビヨンかつ、豊富な機能を持ちながらケース径と厚みは抑えられていると言えよう。


ケース側面は「Tourbillon」の文字が浮き出した横に、日付送りのボタン。プッシュ式の日付送りは好みが分かれるところかもしれないが、竜頭の段階的な押し込み/引き出しが苦手な人にとっては嬉しいだろう。また、同じプッシュ式でも突出しているボタンでは間違って押されてしまうこともあるが、この押し込みタイプであればそのような事故も起こらない。


ネジ留め式の裏面はシースルーとなっており内部構造が除き見えるようになっている。Viginti Octoのロゴ入りのオリジナルルーターはスケルトン状となっているためより内部の動きが楽しめるようになっているのも嬉しいポイント。

裏面外周にはブランド名やモデル名、耐水性能10ATMの表記などの他、全ての腕時計にシリアルナンバーが刻印されている。


ケース色は「ローズゴールドケース+ホワイトダイヤル」(トップ画像)、「シルバーケース+ブラックダイヤル」と、クラウドファンディング限定エディションとして「シルバーケース+ブラック&ゴールドダイヤル」(上の写真)が用意されている。個人的にはローズゴールドケース+ホワイトダイヤルが品があって好きだ。


文字盤


インデックスは12時、4時、8時部分にアラビア数字が存在し、トゥールビヨン要素のある5,6,7時部分を除く他の部分には、くさび状の傾斜のついたバーインデックスが配されている。6時インデックスはトゥールビヨンの中心部をその代わりと認識しても良いだろうし、5時と7時の部分にはトゥールビヨン開口部の縁取りを留めるネジの意匠があり、これらもそれらのインデックスの替わりとなると言っても良いだろう。


時分針はクラシカルなアルファ針。付け根は絞られているが、文字盤中心に近い部分は幅広く、切っ先に行くに従い鋭くなっている。また時分針は長さ方向に山折りになっているので、平らな針と比べ様々な方向からの光を反射しやすくなっており、可視性を高めている。

12時位置にはパワーリザーブインジケーター。自動車のガスメーターに似てEmptyの「E」と、Fullの「F」のアルファベット表記があり、その内側に8つの目盛りがある。「E」が赤いのも自動車のガスメーターのようだ。針は矢印形で赤く、矢尻が白となっている。

3時位置に24時間表示のGMT針と、その背景にサン&ムーンダイヤル。こちらも針はパワーリザーブインジケーターと同様に矢印形で赤く、矢尻が白いものとなっている。


文字盤6時に位置するのが目玉のトゥールビヨン。60秒で一回転するのでこれが秒針の役割も兼ねる。Peacockのトゥールビヨンムーブメントはテン輪にチラネジ(金色の輪に刺さっているネジで、精度調整や装飾に用いられる)があることや、カーブを多用したキャリッジ(トゥールビヨンの回転する籠部分)などにより、トゥールビヨン機構を美しく「魅せる」ムーブメントとなっている。


そして9時位置には「刺又」もしくは「月牙鏟」状の針が指し示す日付表示。日付表示部分は、立体的な部品となっており、円となる部分にアラビア数字とドットが交互に並び日付を表している。この部品は円の内周が水平線により繋がり、まるで自動車のハンドルのような形を成している。円内側の水平線の上下の空間には、上にブランド名「Viginti Octo」、下にトゥールビヨン「Tourbillon」と筆記体で印されている。

文字盤外周にはダイヤルリングが備わっている。ダイヤルリングは黒地に白で各分の印しと、5分おきにアラビア数字の表記、そして12時位置には下向きの赤い三角が印されている。


ストラップ



付属ストラップは22mm、黒色で、イタリア製の牛本革に鰐皮風の竹斑が型押しされたもの。クイックリリース式となっているので簡単に取り替え可能だ。

バックルはバタフライバックルとなっており、「VO」と会社の頭文字が刻印されている。緻密な構造のトゥールビヨン腕時計名だけに、着脱時に時計が落ちづらいバタフライバックルであるのは嬉しい。


なおキャンペーン出資者がソーシャルメディア上でキャンペーンをシェアすると無料でブラウン色のストラップが貰えるというお得な特典も行っている。


まとめ



VO Tourbillon、一般販売予定価格は2350米ドル(執筆時レートで約26万円)だが、Kickstarterキャンペーンでは、約18万円で提供されている(記事執筆時点では未だ16.6万円のアーリーバードリワードも残っている)。

懐中時計に対する重力の影響を少なくするという、精度への追求から生まれたトゥールビヨン。今では精度を安価に実現したクオーツという存在に対して精度と値段では太刀打ちできなくなってはしまったが、この優れた発明は機械式腕時計の魅力を魅せつけるという面では、今なおそんじょそこらのオープンハート腕時計が霞んでみえる存在であることは変わりない。

人類の英知が詰まったトゥールビヨン腕時計という存在が安価に楽しめるという点で、VO Tourbillonのような存在は腕時計離れが進む現代に無くてはならないと私は思う。もちろん読者の中には、安いトゥールビヨンムーブメントを見下す方もおられるだろう。だがもし品質の面でより高級で数千万円もするトゥールビヨンが優れていたとしても、それが実際に身近に人の手首に身につけられなければその魅力が伝播されないし、価格が高ければそれだけ身につけることの出来る人が限られる。安価に買えるようになったことでトゥールビヨンムーブメントの価値が下がると考える人もおられるかもしれないが、もしそうであればそもそもどれほどの価値があったのだろうか?それに、クオーツムーブメントにも性能差があるように、一概にトゥールビヨンと言っても性能差や素材、そしてブランドにより値段と品質の差があるのは当然の事実であり、その点で言えば安価な物はトゥールビヨンの入門機的な一本としての価値もある。

更にVO TourbillonはPeacock 5216をムーブメントに採用したことで、安価なトゥールビヨン腕時計の中では私が知る限り機能が最も豊富であるということもポイントだ。


保証は腕時計としても長め、手頃な価格のトゥールビヨンとしても長い3年となっているのは安心できる。なおViginti Octoは、過去2年間で修理に出された同社の腕時計は僅か2本で、修理と発送に掛かった期間は1ヶ月以内だと語っている。

今年6月にはもう生産に入る予定で、11月から発送予定。興味深い点として、2020年1月までに腕時計を受け取ることができなかった場合そのバッカーには100%返金するとの約束もしている。

VO Tourbillonキャンペーンは締め切りまで24日を残し、既に目標金額の180%を超える18万香港ドル(執筆時レートで約250万円)を集めている。




Image courtesy of Viginti Octo

Source: Kickstarter

(abcxyz)

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