ローマ数字xアラビア数字、ギョーシェ彫りにオープンハートのThomas Earnshaw「LONGITUDE」提供レビュー

ローマ数字xアラビア数字、ギョーシェ彫りにオープンハートのThomas Earnshaw「LONGITUDE」提供レビュー


先月に引き続き、今月もイギリスのブランドThomas Earnshawの腕時計のレビューをお届けしよう。今回はローマ数字とアラビア数字を共に配し、ギョーシェ彫りの施された文字盤から心臓部が覗き見える「LONGITUDE」をレビューさせて戴く。価格は520ポンド(約7万4000円)の、同社ミドルレンジの自動巻きモデルだ。

Thomas Earnshawのブランド名に関する話や同社公式ウェブサイトで使用できる30%オフクーポンは前回の「OBSERVATORY」レビュー時にしてあるのでそちらをご参考に戴くとして、今回は早速「LONGITUDE」(ES-8803-03)のレビューをしていこう。



LONGITUDE



image: Public Domain via Wikipedia Commons

今回レビューする「LONGITUDE」もまた、時計に関する歴史から名前が取られている。

Longitudeは「経度」と言う意味で、航海時に海上で自分の位置を知るために緯度と共に重要な役割を果たす存在だ。多くの国々が航海による交易や植民地開拓に勤しんだ大航海時代、各国が国を挙げて正確に経度を知る技術を求めた。

航海時の経度を求める際に重要だったのは、正確な時間を知ること。星の観察などから時間を求める方法も考案されはしたが、ここで精度や利便性の面で有意だったのが時計だ。しかし絶え間なく揺れ、時に嵐にも遭う船内に乗せてなお正確に機能する航海用時計、マリンクロノメーターの開発は困難であり、時計師たちにとって大きな挑戦であった。

まあそんなこんなで「経度」を知ることが時計技術の発展に大きな役割を果たしたのだ(詳しいことはセイコーミュージアムの「大航海時代とマリンクロノメーター」の記事がわかりやすい)。そしてブランド名とも成っているトーマス・アーンショウもまた、このマリンクロノメーターの改良と普及に一躍買った人物なのだ。


開封



前回の物と共通の横長で、日本語を含め他8カ国語が記載された化粧箱。


磁石で閉じられた箱の中に入っているのがLONGITUDEだ。


ケース



ケース径は42mm、ケース厚は13.5mmと、僅かに前回レビューの「OBSERVATORY」よりも小さく薄い。ミネラルガラス製の風防は、マーケティング担当者によれば「青い」コーティングがなされている(角度により風防が青みがかって見える。青い反射防止コーティングのことだと思われる)。風防は中央がわずかにドーム状に突出している。

こちらのモデル(ES-8803-03)はケースはローズゴールド色にイオンプレーティングされている。


竜頭はオニオン型。


竜頭とは反対側の側面にはEARNSHAWの刻印が。


ケース裏蓋のみ色がシルバー。裏蓋にはガラスがはめ込まれており、内部の構造を見ることが出来る。こちらも表面風防と同じくミネラルガラス。耐水性能は5ATM。


使用されているムーブメントはSeiko TMIのNH39。TMIのカタログによれば、24石、21,600vphで、日差-20~+40秒、パワーリザーブは41時間。竜頭を引いて時間合わせ状態にすると秒針が停止する「ストップセコンド」仕様のムーブメントなので、秒までキッチリ時間を合わせられるのも好ましい。こちらもNH70採用の「OBSERVATORY」と同じくローターがどちらの方向に回転してもゼンマイが巻き上げられるマジックレバー機構と共に、竜頭を用いた巻き上げにも対応するムーブメントとなっている。


ボールベアリング式のローターにはブランドロゴの刻印が。


ここでもOBSERVATORYと同じく斜めから見れば白色のムーブメントリングが見えるのは少々残念なところだ。


文字盤



この時計で最も特徴的なのは文字盤だろう。


XI,XII,I,II,III(11,12,1,2,3)のインデックスはローマ数字で、5,6,7,8はアラビア数字の立体的なインデックスが用いられている。


それぞれのインデックスは灰色に近い銀色で、(「5」を除く)各インデックスはケースと同色の板の上に配されている。この板はローマ数字側とアラビア数字側で2分割されているが、文字盤中央を中心としたヘアライン仕上げがなされている。

上の写真からは文字盤の外側には黒色のレイルウェイ目盛りで、5分刻みに僅かにレール幅をはみ出す菱形が記されていることも見て取れるだろう。


そしてインデックスの載る板に囲まれるようにして、文字盤ベースの中央部分にはギョーシェ彫りが施されている。中央部ほど細やかな立体感を持った彫りで、サンバースト仕上げのように中心部から放射線状に光を反射する。


この時計には時分秒針の3針に加えて、24時間表示のスモールダイヤルもついている。これらはどれも青く、時分針はブレゲ針となっている。本来のブレゲ針は丸くなった部分は穴となっているが、こちらは丸部分に蓄光塗料が塗られている。


蓄光性能や蓄光時間持ちは確実なことが言えないが(筆者はフィンランド在住であり、今も日照時間が短いこの時期に蓄光やソーラー発電はあまり効果が無いのだ)、十分蓄光できれば暗い中で時刻の確認もできる。


10時と11時の間に位置する24時間表示スモールダイヤルの後ろから顔を覗かせるようにして9時方向に位置するのはオープンハート。

オープンハート部からは衝撃吸収スプリングの中に納められた人工ルビー、そして銀色の地板が覗き見え、その向こうにはリズミカルに時を刻むテンプとアンクルが見える。このモデルはローズゴールド色が特徴だが、オープンハート部から銀の地板の奥に見える金色のテンプと、オープンハート部を囲むローズゴールド色の部品が同心円状にその輝きを見せるのは調和感があり美しい。


ストラップ



ストラップは四角くクロコダイルの柄がスタンプされている竹符仕上げのもの。バックルの付いたストラップ裏には「EARNSHAW」と、もう一方のストラップ裏には「GENUINE LEATHER」の刻印がなされている。


ストラップの幅は22mm。私の手首は16~17cmほどだが、一番短い穴で丁度良い長さだ。


ストラップのバックルはやはりThomas Earnshawのロゴを彷彿とさせるユニークな「E」形状をしているもの。こちらもケースと同色のローズゴールド色となっている。


まとめ



ローマ数字とアラビア数字を合わせたユニークなインデックス、美しいギョーシェ彫り、着用しながら機械式の心臓部を覗き見ることのできるオープンハートの楽しさ。OBSERVATORYと同じく背面から斜めに覗いてじっくり見れば白色のムーブメントリングが見えるのが少し残念ではあるものの、それ以外の点は完成度が高い。

特に個人的にはオープンハート部の、ローズゴールド色の部材に縁取られた開口部と、その中に見える金色のテンプが織りなす調和感、そしてギョーシェ彫りが気に入っている。購入はThomas Earnshaw公式ウェブサイトから可能となっている。なおLONGITUDEの「ES-8006」シリーズにはこのローズゴールド色ケースにシルバーダイヤルモデルの他にも、シルバーケースにブルーダイヤルシルバーケースにブラックダイヤルローズゴールドケースにブルーダイヤルのものが存在し、どれも今回レビューモデルよりも20英ポンド安価である。

今回レビューした「ES-8006-07」の価格は520ポンド、記事執筆時の通貨レートだと日本円で7万3000円ほどだ。この価格を安いか高いかと言うのは難しいところだが、日本製ムーブメントは信頼が置けるし、全体的なデザインの完成度で言えばOBSERVATORYよりも加工に手間が掛かっており、高級感があるのも事実だろう。このユニークな文字盤が気に入ったのであれば購入を検討されるのも良いかもしれない。なお、Thomas Earnshaw公式ウェブサイトで30%オフとなるクーポンコードをOBSERVATORYの記事の最後に記しているので購入ご検討の方はそちらもご確認されたし。

トーマス・アーンショウ日本公式サイトからも「LONGITUDE」モデルは購入できるが、そちらは型番やデザイン、機能も異なるものとなっている。日本のアーンショウの方がより全体的に安価であるが、これは日本公式の方が薄利で販売する方針だからではないかと思う。日本で販売されているものと同一のモデルも英公式で販売されているが、同一モデルを購入する場合は、販売価格と通貨レート(英公式で30%オフクーポン適応してもなおクーポンを使用できない日本サイトで購入した方が特)、保証のどの点を考えても日本公式から購入した方が良いだろう。)


Source: TMI, セイコーミュージアム

(abcxyz)

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