今回は英Thomas EarnshawのOBSERVATORY(ES-8805-01)をレビューさせて戴く。
時計の歴史に名を刻む時計職人の名を冠したこのブランドは、安価なものでは1万円台の腕時計から、ミドルレンジでは数万~10万円ほど、そして40万円のスイス製自動巻きなども販売する。今回レビューするOBSERVATORYは自動巻きの中でも460ポンド(約7万円)で購入できるミドルレンジの自動巻きモデル。ブランド名の歴史と共にご紹介していこう。
また今回Thomas Earnshaw公式ショップの製品が全品30%オフとなるクーポンも戴いて居るのでこちらも最後にご紹介させて戴こう。
Thomas Earnshaw
Thomas Earnshaw / トーマス・アーンショー(1749-1829)はイギリス、ランカシャーのアッシュトン=アンダー=リンに生まれた時計職人。Thomas Earnshawの日本公式サイトによれば、彼は海洋クロノメーターの創設者であり、近代海洋クロノメーターのスタンダードとして使われる「クロノメーター分離型脱進機」、「補正テンプの修正版」を開発。アーンショーの開発したクロノメーターは彼の死後も活躍し、実はチャールズ・ダーウィンが乗船したことでも有名なビーグル号にも搭載された。
「EARNSHAW」のロゴと共に「1805」と記されているのはこの年にアーンショーがクロノメーターを完成に近づけたからだそうだ。
OBSERVATORY
この時計OBSERVATORYは「The Royal Observatory, Greenwich」、つまりグリニッジ天文台の名を冠した時計だ。ロンドン郊外、テムズ川のほとりにあるグリニッジ・パークにあるこの天文台は皆さんご存じのようにグリニッジ標準時で知られる天文台。
image: Public Domain
1675年にイングランド国王チャールズ2世が設立したこのグリニッジ天文台だが、実はトーマス・アーンショーはこの天文台とも関わりがある。1789年、当時の英国王室直属のグリニッジ天文台長に技術を認められて、同天文台の時計修繕を依頼されるようになったのだ。そんなトーマス・アーンショーとグリニッジ天文台との関わりがある中で、この天文台から名付けられた時計、早速見ていこう。
開封
化粧箱表面には8カ国語が印してあり、そのうちの一つは日本語となっている。
「どうぞお受け取りください」。この写真ではわかりにくいかもしれないが、写真中央から左ほどにはうっすらと帆船の柄が描かれている。
付属する縦長の化粧箱は、磁石により蓋が綺麗に閉まる。機械式時計と磁石とは近づけない方が良いと言うが…、まあ磁石のあるのは長辺の両端だし問題無いのであろう。
ケース
ステンレススチール製のケース直径は45mm。厚さは14.5mm。ヘアライン仕上げのラグの表面を除き全て艶あり仕上げで光沢が美しい。風防はミネラルガラス製。5ATMの防水性能。
ラグはケースから数ミリほど出たところから角度を変える形状となっており、ケースに微妙なニュアンスをつけている。
竜頭はオニオン型。この時計のクラシカルな他の要素とマッチする竜頭と言える。
竜頭の反対側はケース本体からすこし出っ張りがあり、そこには「EARNSHAW」と刻印されている。
裏はミネラルガラス製のシースルーとなっており、中にはThomas Earnshawのロゴが印されたボールベアリングのあるローターが見える。ムーブメントは公式サイトでは「MOVEMENT : Japan Automatic Skeleton 3 Hands」と記されている。使用されているのはSeiko TMIのNH70。ローターがどちらの方向に回転してもゼンマイが巻き上げられるマジックレバー機構と共に、竜頭を用いた巻き上げにも対応している。24石で21,600vph。Claiber Cornerによればこのムーブメントは2017年に登場した比較的新しいムーブメントだ。
少々残念なのは裏面を斜めに見ると白色のムーブメントリングが見えるところだが、まあそうマジマジと斜めに眺めるものでもないのでディールブレイカーとは言えないだろう。
文字盤
シンプルで実用的な時分秒針の3針。しかしその中でも秒針は特徴的は形状をしている。秒針の後ろにロゴの形状がついているのだ。時分針はリーフ針。
インデックスは黒字の中にシルバーの輝きを放つローマ数字が立体的にせり上がる。その外周は白色のレイルウェイ目盛り。なお多くの時計では5分刻みの軌条部分は他の軌条に比べ太くなっているだけであるが、このOBSERVATORYでは5分刻みに僅かにレール幅をはみ出す菱形になっているという芸の細かさ。
インデックスの内側はスケルトンとなっており、中のムーブメントの動きが見える。このスケルトン部分はただ単に透明というわけではなくグレーがかっており、スケルトンでありながらも文字盤内の他の要素より控えめな存在感。スケルトンを通し見える内部構造も、テンプやアンクルの動きはしっかり見えるつくりであるが、その手前に地板が位置しており見せすぎない上品さがある。スケルトン上には立体的に艶のある黒色で「EARNSHAW」の文字。
表面からは、竜頭に繋がるキチ車が見えるのも面白いところ(3時インデックス左に側面を見せる歯車がそれだ)。時計を着用した状態でもゼンマイを巻くときにここが動く様子を見ることができるのだ。キチ車は竜頭を使ってゼンマイを巻き上げる際に回転する部品だが、キチ車は竜頭で時刻合わせをする際にはゼンマイを巻き上げる際に噛み合う丸穴車から離れるために回転しない。
バンド
バンドはクロコダイル風の型押しがなされた黒いレザー。
バンド幅は22mm。私の手首は16~17cmほどだが、一番短いバンド穴で丁度良い長さ。
バンドのバックルもThomas Earnshawのロゴを彷彿とさせるユニークな「E」形状をしている。
バンド裏にも「EARNSHAW」と、もう一方のバンド裏には「GENUINE LEATHER」の刻印。
まとめ
価格は460ポンド(約7万円)。送料は無料で2年間の国際保証もついてくる。
最近登場した腕時計ブランドからは、より価格帯が低い腕時計にも風防が傷の付きにくいサファイアクリスタル製のものを採用しているところは少なくない。その点この価格でサファイアクリスタル製の風防を使わないのは良くも悪くも古風な感じ。
好意的な見方をすれば、現代少なくとも若い時計会社が放つ腕時計においてミネラルガラス製のものが少なくなってきている中で、意図的にミネラルガラスを採用することでレトロな雰囲気を出していると言うことはできる。風防に付く傷すらも、その腕時計が生きてきた歴史を語る存在であるという見方もできるからだ。だがケース裏から垣間見ることができるムーブメントリングなどの荒からすれば、これはそのようなデザイン的な決断によりなされたものではないであろうことも感じさせなくはない。
その一方で、歴史あるブランドと製品名、そして時計内部の構造が見えるということも相まり、時計の歴史を感じさせる1本であることも事実だろう。全体をシルバーとブラックで統一させたクラッシーさ、そして浮き出たローマ数字にレイルウェイ目盛りのインデックスは品格を感じさせる。そしてロゴを配した特徴的な秒針やバックルもユニークだ。
値段が少々お高く感じる方は、30%ディスカウントクーポンをお使い戴くと良いだろう。
30%オフクーポン
Thomas Earnshawから本ブログ読者の皆さんへとご提供戴いたのは、30%ディスカウントクーポン。
クーポンコードは「THXPALM30」。
残念ながら日本のThomas Earnshawでは使えないが、Thomas-Earnshaw.comで利用可能。安価な製品でも機械式のものもあるし、スタイルのバリエーションも豊富、また時計の内部機構をモチーフにしたカフリンクス。クーポンは割引されているモデルには使用できないことにご注意。また、このコードは当ブログのアフィリエイトコードともなっている。
Source: Thomas-Earnshaw, TMI, Claiber Corner
(abcxyz)
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