環境と利便性のいいとこ取り。インスタント液体石けんFORGO(泡タイプ)


さて、しばらく前に書いた長い記事『環境に悪い液体石けんと、清潔感の低い(けどちゃんと泡立てれば衛生的らしい)個体石けん。どちらがどういいのか・悪いのか』では、液体石けんと固体石けんの良いとこどりをした「インスタント液体石」を探したところで終った。



そこで見つけたのがスウェーデンのFORGOというブランドのインスタント液体石けん。私としたことが同社のKickstarterでのキャンペーンはすっかり見逃していたが、それで見事製品化されたもののようだ。

日本から購入できるかどうか気になる方もおられるだろうが、尋ねてはみたものの残念ながら今のところ国際発送には対応しておらず、日本へは発送してくれない。しかしFORGOは「直近の計画には入っていないが、近い将来的には対応したい」としているので期待しよう。

本来ならば環境のために新しくものを購入するのは本末転倒であるが、今回は最近引っ越しをしたことでハンドソープディスペンサーが足りなくなっているので(家のトイレの数が増えた)ボトル付きのスターターキットの購入を正当化。

スターターキットには:

・ハンドソープディスペンサー

・3つのインスタント液体石けんのリフィル

が入っている。


もくじ



開封:プラスチック不使用、リサイクル可能パッケージ
インスタント液体石けんの素材
そして粉から液体石けんへ…お湯を入れて混ぜるだけ
初代はポンプに欠点が…新デザインのポンプで解消?
FORGO以外の(日本に発送してくれる)インスタント液体石けんはないの?
まとめ:もっと広まれ、理想に近い石けん!


開封:プラスチック不使用、リサイクル可能パッケージ


ロゴ入りの段ボール箱に入ってやってきた。

 
中にはガラス製ソープディスペンサーとリフィル。パッケージにはプラスチックは含まれていないという。

ディスペンサーのヘッドはメタル製。内部のチューブ部分などはプラスチック製だ。個人的には包装や使い捨てなどに使われるプラスチックは環境に大いに悪いものであると考えるが、長く使う物に使われるプラスチックは許容できる。なおFORGOに聞いてみたところ、「今のところはプラスチックが使われている」と言う物言いだったので、将来的には完全にプラスチックフリーなものを目指すのかもしれない。

なおディスペンサーはポルトガル製。

 
黒い紙を開けると3つのリフィルが。

 
このリフィルのパッケージもリサイクル可能  、コンポスト可能と記してある。生産国はカナダ。


インスタント液体石けんの素材

この石けんの素材には、硫酸塩、シリコンも含まれていない。ヴィーガンフレンドリー(つまり牛乳石けんでは無いと言うこと)であり、99%は植物由来だそうだ。

素材も全て表記されている。

ココイルグルタミン酸Na:表示名称、原料、処方例の検索ができる化粧品技術者のためのデータベースサイトCosmetic-Info.jpによれば、ヤシ油やパーム核油を由来としたもので、洗浄剤として用いられる。FORGOによればこれは果物や植物油由来の成分であり、マイルドクレンザー(Mild cleanser)の役割を果たし、豊かな泡立ちの元となる。

ベンジルアルコール:FORGOによれば、アプリコットやクランベリーなどの一部の果物やお茶などで生じるオーガニックなアルコール。石けんを細菌から守る保存剤として使われている。

デヒドロ酢酸:FORGOによれば、微生物を殺し、その成長と増殖を防ぐことで石けんが悪くなるのを防ぐ。

イヌリン:(ニンニク、ニラ、ゴボウなどに含まれる多糖類) FORGOによれば保湿剤として使われており、肌の保湿作用がある。スキンコンディショナーの役割も担っているので、肌をスベスベ柔らかにするそうだ。

α-グルカンオリゴサッカリドCosmetic-Info.jpによれば皮膚コンディショニング剤に用いられるもので、スクロース(砂糖の主成分)に「Leuconostoc mesenteroides グルコース転移酵素を作用させて調製したもの」だそう。FORGOによれば、これはバイオセレクティブ(特定の生物をターゲットにする性質)で水分結合能を持つ炭水化物分子だ。肌に有益な細菌の繁殖を促すことで、肌の微生物相(microflora)を安定化させる。

・あとは香りと自然の食用色素が1%以下含まれているとのこと。

香りはナチュラル、シトラス、ウッドの3種類。  

香りに関しては、シトラスの匂いが薄いとのレビューがFORGOのサイトにあるが、これはオーガニックシトラスファームの残り物を元に作った自然の香り成分であるからだとしている。ただ、現在より香りが強いものも開発中であるとのことだ。


そして粉から液体石けんへ…お湯を入れて混ぜるだけ

使い方は簡単。入っている粉をディスペンサーに入れて、上写真の3点印の付いているところまで蛇口から出る熱湯を入れる(フィンランドでは50度くらいの熱湯が蛇口から出るようになっている)。そして30秒間混ぜるか振るかするだけ。それだけで250ml分の液体石けんが出来上がりだ。

袋から粉状態のインスタント液体石けんをディスペンサーに入れたところ。

なおフィンランドの蛇口からは熱湯が出るが、これは飲料に適さないとされている。どうやら熱い方の水道管は銅でできているため、熱湯の中に金属が入っていたり、あと温度が50度程度であるため、雑菌などが繁殖したりする可能性があるためのようだ(殺菌するには少なくとも60度以上が必要なはずだ)。

入れただけで粉が溶けて色が付いてきた。

蓋を閉めて30秒ほど振ったあとがこちら。

泡立ちはこんな感じ。化学物質が使ってある泡タイプ液体ソープと比べると泡立ちが悪いが、普通に手を洗うには十分だろう。

最初に入れたのはウッドの香りのリフィル。針葉樹の香りと妻。(3種類全て使ったあとの感想では一番「ニュートラル」の香りが好きとのことだった。)

FORGOによればこのウッドの香りは3種類存在するリフィルのなかで一番匂いが強いものとのことだが、丁度よいほんのりとした香り。フィンランドで一般的に販売されているハンドソープの中には匂いが強すぎるものがあってキモいのだが、そんなこともなくて良かった。

公式サイトでは、一包のインスタント液体石けんは2人暮らしで約1ヶ月持つと書いてあった。我が家にはトイレが二つあるので正確な数え方ではないし、大人2人+幼児ではあるが、頻繁に使用する方の手洗い場に置いた状態で約1ヶ月もった。


初代はポンプに欠点が…新デザインのポンプで解消?


(写真上が初代プッシュポンプ、下が改良版)

実はFORGOがローンチしたのは5月に入ってからであり、私が購入したのはどうやらローンチ前の製品なのだが(普通に公式サイトで買えたのだけれども)、この最初の製品にはプッシュポンプに問題があった。それは、ポンプが押された状態で戻らなくなるというもの。加えて、ボトルの底までチューブが届かず、最後まで石けんを使い終われないという問題も生じていた。

ポンプ式の石けんとしては致命的なものだが、使用開始1ヶ月ほど経った頃に私の購入したものでも発生してしまった。押されたままのポンプは手で引っ張れば戻ってくるが、使いづらい。FORGOに連絡すると、熱いお湯やお酢で直る場合もあるが、不良品も存在するということは認識しているとのことで、新デザインのポンプを開発中とのことだった。4週間ほど経てば新デザインのポンプを送ることができるが、待てなければ既存のポンプを送るとのことだったので新デザインのものを待つことに。


こうして送られてきた新デザインのものは、バネをより強力なものにしたほか、チューブ部分の長さも改善。僅かに初代ポンプよりも取り付け部が太くなっているのもわかる。

まだ替えのポンプが手元に届いてから1週間ほどしか使用していないが、今のところは最初のモデルで起きたような不具合が起こりそうな気配はない。

何はともあれ問題を認知して改善品を無料で送ってくれたことは喜ばしい。また、改良ポンプの発送時には、「もし他に購入したいものがあれば一緒に送るが」と尋ねてくれたのも嬉しかった。どうせ送られるのだからと一緒に追加の粉石けんを、実質送料無料で購入することができた。


また、ポンプだけで無く、粉石けんパッケージに使用する紙を変更し、以前のもののように濡れた手で触るとインクがにじみ手に付くという問題を解消。変更されたパッケージもやはり100%再生紙が使用されているとのこと。


FORGO以外の(日本に発送してくれる)インスタント液体石けんはないの?


本当にFORGO以外にインスタント液体石けんはないのかと思って色々調べてみた。

意外にも他にはそれらしいものを見つけることができなかったのだが(見つけられたら是非教えて欲しい)、唯一見つけたのがEtsyショップisavibeShopが販売するインスタント液体石けん。こちらも泡タイプのソープディスペンサーであればどれでも使える。こちらはタフデントとかみたいなタブレット状のものだが、これもお湯に入れて溶かすタイプで250ml用。

他に同ショップはガラスクリーナーバスルームクリーナーも同様のタブレットタイプの物を販売している。

これなら国際発送対応しているそうなので日本からも注文できるだろう。

このショップはカナダはモントリオールにあるとのこと。FORGOもインスタント液体石けんリフィルはカナダで作っているので、もしかしたらカナダはこういう系の技術・工場が発達しているとかなのかもしれない。


まとめ:もっと広まれ、理想に近い石けん!


遂に「インスタント麺と同様に、製品に水が含まれないため輸送・保管時に掛かるエネルギーもスペースも少なくて済み、使う前(もしくはボトルに入れる時に)水を加えて液体石けん化する」理想の石けんを手に入れることができた。

パッケージは完全にリサイクル可能で、製品にも無駄にプラスチックを使わず、サステナビリティーを追求した製品と言えよう。将来的にはもっと本拠地のあるスウェーデンで石けん部の製造から容器まで作れるようにしたらよりカーボンフットプリントが低くなることだろう。

もっとこのような製品が世に知られるべきだし、もっと他社からもこのような製品が出るべきだと感じてこの記事(と前の記事)を書くに至った。

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