これで6万円台って元取れてるの?500m防水に細やかな拘りAxios Watchesの自動巻きダイバーズウォッチ「Ironclad」


Sponsored by Axios Watches

今回はシンガポールの新たなマイクロブランド、Axios Watchesが送るファーストコレクション「Ironclad」のレビューをお届けしよう。

このコレクションは今年8月にKickstarterキャンペーンが行われているが、僅か3分で目標金額を達成、最終的に30万シンガポールドル(約2400万円)を集めてキャンペーンを成功させている。

今回はAxios Watchesから「Ironclad - Northern Sky」のプロトタイプサンプルをお借りしてのレビューとなる。もしかしたら製品版とは細部が異なる可能性があることをあらかじめお断りしておく。



Axios Watches - Ironclad




Axios Watchesは、ダイバーズウォッチをコレクションすることに情熱を持つという共通点を持つ創設者たち、Justin Chiam、Elshan Tang、Stuart Hoの3人によって生み出された。

多国籍企業で働いていたStuart HoとJustin Chiamは、腕時計を作るという夢に没頭するため、安定したフルタイムの職を辞めた。それだけAxios Watchesに本気で挑んでいるのだ。そんな彼らの力強い味方となるもう一人の創設Elshan Tangは、Zelos、Ventus、Vilhelmといった名だたる腕時計マイクロブランドの創設者でもある、マイクロブランド界では一目置かれる存在だ。

ギリシャ語で「価値ある」という意味の「Axios」と名付けられたこのブランドが目指すのは、何よりも素晴らしい腕時計かつ、手頃な価格、そして素晴らしいカスタマーエクスペリエンスを提供できるもの。

Axios Watches初のコレクションとなるIroncladは、創設者達が情熱を込めたダイバーズウォッチ。40mmのケースに、高性能なダイバーズウォッチ要素を詰め込み手頃価格に収めた腕時計だ。

今回レビューするのはそんなIroncladの中でも、文字盤とセラミック製ベゼルが緑色という所謂「ハルク」モデルである「Northern Sky」となる。


開封


今回はプロトタイプレビューであるため化粧箱はない。


ケース



ケースの形は、今やダイバーズウォッチの典型形とも言えるロレックスサブマリーナ-に似る。ケース径は40mmで、上面は文字盤上下方向にヘアライン仕上げ、側面は艶出し仕上げ。

ケース材質は316Lステンレススチール製。それは取り立てて言うほどのことでは無いものの、ただの316Lステンレススチール製ケース異なるのはAxios Watchesはこれに3.0ミクロンの耐スクラッチコーティングを施していると言うこと。このコーティングはブレスレットにもなされており、硬度を215-225 HVから900-1100 HVまで上げると共に美しいステンレススチールに傷がつきにくくしているわけだ。


ケース厚は13mm、ドーム風防も含めれば13.8mm。ドーム状の風防はベゼルの傾斜から連続するような傾斜を帯びており、美しい。


風防は内側に反射防止コーティングを施した、ダブルドーム・サファイアクリスタル製。ダブルドームは、風防の上面だけで無く、下面も同様にドームを描いているもの。安価なドーム風防だと上面しかドーム状になっていないが、そのような風防はレンズ効果を生むため、角度により文字盤が見えづらくなる。しかしダブルドームだと両側をドーム状に加工しているためこの効果が打ち消され(るとは言うものの水平方向に近くなればレンズ効果は生まれるのでダブルドームも完全では無いものの)、ドームのスタイルはそのままにどの方向からもよりクリアに文字盤を見ることが出来る。


ベゼルは120クリックの逆回転防止ベゼル。上面と側面の合わさる角部分に斜めに刻み/ノッチが入っており、誤回転しなさそうながっしりとした堅さを持ってクリックする。


ベゼルインサートはセラミック製で、個人的には「抹茶色」と呼びたくなるような深緑。ベゼルに10分おきに配されているのはスーパールミノバC3X1蓄光、そして各分ごとに配されたドットはスーパールミノバBGW9蓄光。そう、ここではなんと2種類の蓄光材が使い分けられているのだ!ベゼルの蓄光具合は文字盤の蓄光と共に少し後でご紹介しよう。


写真では判りづらいが、BGW9は非蓄光時も仄かながらクリームがかった薄緑に見えるため、ベゼル全体の色印象が面白く、個人的には(良い意味で)抹茶オーレを連想する。


竜頭はねじ込み式で両サイドにはケースからせり出た竜頭ガードに守られる。


側部はコインエッジ仕上げで、頭頂部にはAxios Watchesのロゴが彫り込まれている。


ケース側面、竜頭の反対側は何も無いシンプルなつくり。


ケース裏はねじ込み式で、防水性能はなんと500mを実現している。ケースの裏面は円周方向にヘアライン仕上げで、裏蓋も外周部分は同様の仕上げ。裏蓋中央にはコレクション名ともなる「Ironclad/装甲艦」が彫り込まれている。後は海軍少将ジョン・A・ダールグレン(1809-1870)による、木造戦艦の時代が終わり、これからは鉄の(装甲艦の)時代だと放った文言「Now comes the reign of iron」も記される。


Axios Watchesによればこの刻印図は特定の装甲艦というわけではないとのことだが、見た目は「Ironclad」と呼ばれるタイプの戦艦の中でも、アメリカの南北戦争に用いられたシティ級砲艦(City-class gunboat、例えばUSSカイロなど)に似ている。これも以外と細かく彫ってあり、各砲塔がしっかりと彫り分けられている。)

使用されているムーブメントは裏蓋刻印に「SW200」とあることからも判るようにワークホースとして知られるETA 2824互換ムーブメントことSellitaのSW200-1が採用されている。2万8800bph、パワーリザーブ38時間のスイス製ムーブメントだ。


文字盤



各時のインデックスは、典型的なダイバーズウォッチといった感じの丸いものの他、12時、3時、9時位置には台形状のものが使用されている。それぞれ光沢のある銀色のアプライドインデックスとなっており、内部にはスーパールミノバC3X1蓄光が付加されている。


注意しないと見逃してしまうが、実は台形インデックス部分は細くなっている部分が途中から銀色部分も蓄光部分も傾斜している。細かい部分だが、このような細部に見えるこだわりは腕時計を魅力的にすると私は思う。


文字盤はサンレイ仕上げ。文字盤の緑はベゼルよりも少々深い緑に見える。


12時インデックスの下には艶のあるAxios Watchesのロゴがアプライドされている。このロゴの形状も、日付窓の位置も、文字盤内要素が全て左右対称になるように上手く作られている。


6時位置には傾斜と共に長方形の開口部が設けられており、これが日付窓となっている。日付ディスク背景色も文字盤色と同じく緑色となっている。多くのブランドで日付ディスクの色は軽視されているように思うし、日付ディスクと文字盤色を近いものにしようという意思が見えるブランドで会っても、「暗い色合いの文字盤=黒背景ディスク」で止まってしまう。そんな中でわざわざ文字盤色と同色のディスクを用いているのは個人的に大いに評価したいところ。


日付ディスクの上には白字で「Automatic」、赤字で「500m/1640ft」の表記。


針はとてもユニーク。時分秒針の蓄光付き3針である点は特に特徴的では無いし、ぱっと見秒針が艶のある赤である以外特にこれと言って気付く点が無いかもしれない。時分針はプランジャー(Plongeur、フランス語で「ダイバー」の意味)スタイルと呼ばれるものに似ているが、しかしよく見れば中央長さ方向に存在する蓄光用の切り抜きの両脇に細く切り抜きが存在し、まるで鉛筆か水晶化のような見た目になっている。これは芸が細かい。


さて、お待ちかねの蓄光。


蓄光材はふんだんに使われているようで、ご覧の通り数分窓辺で日光を浴びた状態だと、明るい室内でも日光の外に出ただけでほのかに光る感じが判るし、暗い部屋に行ったら近くにあるものを照らせる程度に光る。


ベゼル部分は二つの蓄光材が使われていると前述したが、C3X1は緑色に(ベゼルのアワーマーク)、BGW9は青く蓄光する(ベゼルの各分のドット)。これも言われて初めて気付く程度のことかもしれないが、細やかな拘りは所有欲を満たしてくれる要素の一つ。電気を消して寝る前などにじっくり眺めたりして楽しめるだろう。


ストラップ



ラグ幅は20mm、上下ラグ間隔は46mm。ステンレススチール製3連の、所謂オイスターブレスレット。

安物の腕時計であればエンドリンク/弓カンはもとより、各コマも薄い金属板を曲げて作ってあったりするものだが、Ironcladはブレスレットまで手を抜かずにしっかりした物が用いられている。


使われているのはエンドリンクも各コマも切り出されたソリッドな部品で、エンドリンクとの合わせも、仕上げもバッチリだ。


仕上げは表、裏、側面全てにヘアライン仕上げが施されている。


バックルは三つ折れ両サイドプッシュの二重ロック式。バックル部分は角の面取り部分と両サイドのプッシュボタンが艶出し仕上げとなっている。


バックルにもAxios Watchesのロゴが刻印されている。


調整できる6コマの他、6段階の微調整/マイクロアジャストが可能と、かなり調整域が広い。


16~17cmの手首周りの私の場合、3コマ外してマイクロアジャストの調整は小さい方から3番目にしたらピッタリだった。そのため、私の手首径よりも小さい人でも大きい人でも安心して購入できるだろう。


まとめ



10万円以下で300m防水の自動巻き腕時計を探すのは難しいとされる中、防水性能500mを7万円以下で実現していることだけでも凄いが、これだけの性能に細やかなこだわりを備えて、Axios WatchesのIroncladは通常販売価格が599ドル(記事執筆時レートで約6万5000円)と言う価格は流石に驚き。


使用ムーブメントにしても、マイクロブランドの多くがより安価なSII NH35を使用するのに対し(あまり参考にならない価格かも知れないが、eBayなら25ドル程度で買える)、Sellita SW200(eBayなら80ドルから)を採用しているし、スーパールミノバ蓄光をわざわざ2種類使い分けたセラミックベゼル、独特の時分針、文字盤と色の合う日付ダイアル、などなど、これで10万円と言われても全然驚きでは無い。

しかも現在なら予約価格として割引がなされ、469米ドル(約5万円)で予約購入可能だ。発送は2020年3月が予定されている。予約はAxios Watchesのウェブサイトから可能となっている。




Source: Axios Watches

(abcxyz)

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