個性を手首に。デカさ目を惹くファッション性、エストニアAEGAONの「Tabula Rasa 44」


Sponsored by AEGAON

デカく、シンプルでいて個性的。そんな腕時計を生み出すブランドがバルト三国のエストニアに存在する。その名もAEGAON(アエガオン)。

今回はAEGAONの大きめサイズに「Tabula Rasa 44」コレクションより、二つとして同じものはない不思議な色合いが魅力的なカメレオンモデルをレビューしていく。



AEGAON-エストニア初のウォッチメイカー



じつは私がAEGAONに出会ったのは2019年夏にフィンランドのトゥルクにてKultaViljaset主催で行われた時計イベント「Kellojen Kevät」でのこと。

AEGAONは設立は2012年と比較的最近ではあるものの、エストニア初のウォッチメイカーだ*。そのインスピレーションの元となったのは、エルビス・プレスリーが「Allways on My Mind」と言う曲の動画中に腕につけている巨大な腕時計(Hamilton Venturaではない)。

それもあってかAEGAONの生み出す腕時計はビッグで個性的だ。

Image courtesy of AEGAON

AEGAONにとって最初のコレクションは65mm、53mmで展開される大ぶりな自動巻き腕時計「Peacemaker」だ。このコレクションはスケルトンダイヤルとなっており、地版に細やかな装飾が施されたもの。これはクラウドファンディングサイトIndiegogoで2万3000ユーロ近く(約272万円)を集めて成功している。そしてその数年後には今回レビューすることとなる「Tabula Rasa」が生み出された。


Image courtesy of AEGAON

(おや?Tabula Rasaを手首に纏うこのハンサムな紳士は・・・?そう、エストニア出身の元力士の把瑠都/バルトことカイド・ホーヴェルソン/Kaido Höövelsonだ!実は彼は日本で一番有名なエストニア人だ。)

AEGAONの目を惹く個性は注目を集め、世界25カ国以上から購入されている。世界からの注目もさることながら、エストニア国内での活躍ぶりもすごい。信用格付けAAの優良企業とつけられているほか、エストニアの大企業が勤続記念に社員に贈ったり、政府の大臣が寄贈用に大口オーダーしたり、はたまたエストニアの大統領がラトビアの大統領に贈呈したりと言った国際外交にまでAEGAONの腕時計が用いられるのだ。(そして、公人達がAEGAONの腕時計を贈り合うなんて、なんてファッショナブルなお国柄だろうか!)

*エストニアでの腕時計の歴史的には、じつは第二次大戦以前にエストニアの街の名前である「HAAPASALU」(ハーパサル)と、ブランド名とおぼしきM.RIIMASTEと記された女性向けの腕時計が確認されている。こちらは名の知られた金細工師でありスイス製腕時計の販売も行っていたMari Riimaste女史の名ではあるが、AEGAONは女史の今も生きる唯一の親戚に会い話を聞いており、この女史の孫の話すところによると、女史は時計をデザインしたり組み立てたことはなく、スイスで腕時計にブランド名と街の名をプリントさせたものを販売していたとのこと(当時はやりのマーケティング手法だったそうだ)。このほかにもエストニアとつながりがありそうな腕時計としては「Eltoona」というブランド(?)の腕時計も存在するのだが、それ以上の情報はなく、ムーブメント部にも特段情報が記されていないため、名称的にエストニアっぽい雰囲気であるということと、このブランドのヴィンテージ時計がエストニア近辺でよく取引されているという以外は謎。そもそもエストニアのブランドなのか、そしてエストニアで作られたものなのか、以上の二点が不明であるためこれが覆されるまではAEGAONが暫定初のエストニアのウォッチメイカーと言うわけだ。


開封



黒いレザー調の化粧箱を開けると…

出てきたのは玉虫色の腕時計。これがカメレオンカラーのTabula Rasa 44だ。


Tabula Rasaコレクションでは、形状的な装飾要素を極力廃し、ブランドの特色でもある大ぶりなケースに時計の基本的な形状美を出すことで個性を強調し、色使いで遊ぶコレクションとなっている。

なお、コレクション名ともなっている「Tabula Rasa」(タブラ・ラーサ)はラテン語で、何も記されていない書字版、つまり「白紙状態」の意。人は生まれたときにはタブラ・ラーサ/白紙状態であり、知識などは後に経験や知覚などから概念などを手に入れるといったような考え方だ。

その意味合いを知った上でこのコレクションを見ても「どこがタブラ・ラーサなの?」と思われる方もおられるかもしれない。ここはやはりTabula Rasaに先んじるAEGAONのコレクション、Peacemakerの繊細な文字盤装飾というコンテキストあっての「タブラ・ラーサ」だろう。


ケース



何よりも独特の色合いと、大きめの44mmの径が目を惹くケースはエストニア製。カメレオン色はステンレススチール製のケースにPVDコーティングを行うことによって生み出しており、ふたつとして同じ色味表情のものはない。


Image courtesy of AEGAON

例えばこちらはAEGAONウェブサイトに掲載されている私のレビューするものと同一モデルの写真だが、その与える印象は大きく違うのがおわかりだろう。

G-ShockのMT-Gライン20周年記念モデルMTG-B1000RB-2AJRも同じようなケース色となっているが、腕時計としてのスタイルもスタンスも(価格も)全然違う。


ケースの仕上げは、ベゼル部は鏡面仕上げで、ケース本体からラグにかけてはヘアライン仕上げが施されている。こうしてみると各部の仕上げ違いでカメレオンがまた違った風合いを出しているのがよくわかる。


ラグ横のネジ部は鏡面。


竜頭部は鏡面、ヘアライン、つや消しが細かく使い分けられている。


ケース高は10.5mmと、(特にケース径を考慮すると)分厚すぎることはないもののしっかりと存在感を感じさせる厚み。ケースを横から見れば、ケーストップが中心向きに傾斜しているのがわかるだろう。このため盤面の大きさを強調している割には袖などにも引っかかりにくい。


まるでフランケンシュタインの怪物の頭から突き出たネジのごとく(良い意味で)印象的にでっかく突き出た竜頭は、ケースの左側、10時位置についている。そのため手首に竜頭が突き刺さることはない。右手につけた場合も10時位置=右前方に向けてに斜めに竜頭が飛び出るので、手首左側にある手根骨に突き刺さりづらい。ケース径が大きめのダイバーズウォッチなどではたまに見られる仕様だが、ファッションに重きを置いた時計でありながらも使用感にも気を配っていることの表れだろう。加えて、大きめに飛び出しているために竜頭の操作もしやすい。

[追記]レビュー用に提供いただいたのは古いモデルなので竜頭はねじ込み式となっていないが、最新モデルはねじ込み式となるとのこと。


裏蓋はねじ込み式。裏蓋の表記は「AEGAON WATCH COMPANY」、「ESTONIA」、「SAPPHIRE」、「5ATM WATERRESISTANT」、そしてモデル名の「TABULA RASA」。

使用するムーブメントはスイス製Ronda 715。シンプルな3針+日付のクオーツムーブメントで、5石、バッテリータイプは371。Rondaによればバッテリーは約60ヶ月(約5年!)と長く持つのが特徴。


文字盤



カメレオンケースの内側を飾るのは、緑のサンレイダイヤルに、金色のインデックスと針達。これら要素の色合いはどれもカメレオンの中に見て取ることのできる色合いであり、うまく色合いのバランスがとれている。

風防は傷のつきづらいサファイアクリスタル製で、反射防止コーティングもなされている。風防だけで直径38mmと、小ぶりな時計なら中に収まってしまう大きさ。この風防/文字盤径の大きさのおかげもあり、時刻は大きく見やすい。


12時位置には「AEGAON」の表記、この部分の色は金~黄土色で、盤面の他の要素よりも控えめ。艶のあるバー状のアプライドインデックスが各自位置に配され、3時位置にはカレンダー窓。


カレンダーディスクは黒背景に白フォントのものとなっており、文字盤と調和がとれている。

時分秒針はどれもシンプルなバー状だが、時分針は先端方向に中抜きが施されており、カメレオン文字盤が最大限楽しめる。


ストラップ



このモデルに付属のストラップはドイツ製の特注品で、ブラウンカラーの本革。幅は24mm。


手首に触れる内側はきめ細かい革材で、目に触れる外側は、軽い起伏のテクスチャーのある力強い革材。


「AEGAON」の刻印のあるバックルもケースと同様にカメレオンPVD加工がなされており、時計全体としての統一感を出している。


腕に着けるとこんな感じ。デカさが新鮮。


大きさを生かして(フィアットの名誉会長などとして知られるジァンニ・アニェッリなどのように)シャツの袖の上から着用するのもおしゃれだろう。このような着用法をおしゃれだと思わない方も少なくないのは知っているが、「美は見る者の目に宿る」の格言通りファッション性は他者の言うことなど気にせずに己の美を追求すべきだ。それに機能的な点からしても時計部が袖に隠れないので、NATOストラップをジャケットの上から着用するのと同じく便利だ。


袖上着用の場合は別として、少々残念な点としては、16~17cmほどの私の手首に直接着用する場合、ストラップ穴がちょうど1つ足りないことが挙げられる。幸いなことに時計部が大きいためか、手首の手のひら側に回ったり、手首をぐるぐる回転したりはしづらい(全くしないというわけではない)。それでも手のひら周りに余裕があるため、手の甲側方向や腕側方向には動いてしまうことがある。日本市場向けにはもう一つ二つはストラップ穴がほしいところ。ただしこの点についてはAEGAONは、日本展開の際にはストラップホールを加えるとしている。



Image courtesy of AEGAON

AEGAON公式ストアではストラップやメタルブレスレットの販売も行われているため、別途ストラップを購入して付け替える楽しみもできる。その際にはストラップのスプリングバーを外すための道具が必要となるが、時計ファンならすでに意図せず複数個所持していることだろう。万が一持っていないという場合はAEGAON公式ストアで購入可能だ。

実はAEGAONによれば、過去彼らの腕時計にはクイックリリースストラップを採用していた時期があったそうだ。しかし、クイックリリース式のものはその利便性の代償として耐久性が失われるという特徴がある。クイックなリリースを実現するためにストラップバーから突き出た部分が、バー周囲を覆う薄いレザーに当たり、ストラップそのものにダメージを与える(その周囲が破けてくる)のだ。これだけ大きな時計部を持った腕時計であればなおさらこの部分に耐久性が求められることだろうことも想像に難しくない。AEGAONは時計部に関してもできるだけ上質なパーツを用い、孫の世代でも使えるような時計作りを目指しているとしており、そういうわけで付け替えの用意さよりも末永く使えることに重きを置き、伝統的なスプリングバー式のストラップを用いているのだ。


まとめ



ふとした拍子に手首から覗く(あるいは袖の上から存在感を与える)、大柄でカラフルなTabula Rasa 44。自動巻きじゃないとだめだという人には受け入れられないかもしれない。だが、手元を飾り、自らの個性を強調するファッションアイテムとしての腕時計を求める方にとっても、手首が大きいのでケースの小さな腕時計が似合わないが「大きな時計も探せばあるけど、どれもゴツいばかりでファッション性がない」と嘆く方にとっても、これまでなかった新しい、ユニークな装飾の選択肢となるだろう。


ケース径と文字盤が大きいことの利点としては、あまり接写の得意でないスマホでの撮影でも綺麗に時計が写るということも挙げられるだろう。インスタ映えする腕時計だ。

エストニアと聞いて元力士の把瑠都しか頭に思い浮かばなかったという方もおられたかもしれないが、実はエストニアは今デザインの面で大いに注目されている国でもあり、年々日本から観光客はもとより、デザインの買い付けに訪れる人も増加している。海を挟んだ隣国フィンランド在住の筆者としても、フィンランドとはまた異なるエストニアとその個性あふれるデザインには注目しているところだ。


AEGAONはこれから日本にも進出しようとしているところ。またまだ情報公開はできないものの、今後も興味深いタイムピースを作る計画があるとのこと。これを機に皆さんもエストニアのウォッチメイカーAEGAONにご注目あれ。

AEGAONが日本で正式展開するのが待ちきれないという方は、AEGAONのウェブサイトからご購入いただける。


Source: AEGAON

(abcxyz)

コメント