立ちっぱなしじゃ辛い状況の救世主かも…500mlボトルサイズからサッと展開可能な腰掛けSitpack Zen


今回は私が以前Kickstarterで出資したMono+Monoによる折りたたみ式腰掛けSitpack ZEN(-XI)のレビューをお届けしよう。

これは500mlボトルサイズに畳み込める携帯腰掛け。何時間も心地よく座るには適さないが、座るところが無い状況で気軽にササッと展開して腰掛けるには最適のガジェットだ。

なお同ブランドは現在、クラウドファンディングサイトMakuakeにて日本向けに新たなキャンペーンを開始、本記事執筆時点ですでに目標金額の900%を超える900万円以上を集めている。本投稿で興味を持たれた方はそちらも確認するとよいだろう。



Sitpack Zen




(動画はMakuakeキャンペーンより via YouTube

Sitpack ZenはデンマークのMono+Monoによるプロダクト。時をさかのぼること2014年にKickstarterから世に送り出した「Sitpack - The world's most compact foldable seat. Rest easy.」キャンペーンがこの製品の元祖となる。同社は後にこれを改良し、2017年末にKickstarterキャンペーンが行われたこの同社2度目となるキャンペーンでは開始からわずか6.5時間で目標金額を達成、最終的には50万ドル(約540万円)以上を集める大成功を収めている。

この時のキャンペーンでは、フレームがアルミニウム製のSitpack Zen-XIと、カーボンとアルミニウム製フレームのStipack Zen-XIIがリワードとして提供されていた。どちらも150kgまでまでの重量をサポートするが、本体の重さが異なり、XIは460g、XIIは360gとなっている。


今回レビューするものはこのうちXIで、2017年に出資して今年3月ごろに届いたものだが、このときから既に日本での展開も考えていたのか日本語でも免責事項などの説明が既に記されている。


折り畳み状態からの展開



展開・収納はこうしてみると5段階もあって難しそうに見えるかもしれないが、やってみると簡単。


折り畳んだ状態では4.5cm x 4.5cm x 22.2cmの筒状。500mlペットボトルサイズだ。


展開時に座面となる部分はこのように肩掛け式のストラップとなる。


ロック構造は特許取得済み。ツイストして伸ばすと垂直方向に白い線が出てくる。これらの線が揃っていない状態はロックされていない状態で、揃っているとロックされる。また、めいっぱい引き出されたことを示す平行線が存在し、垂直線と接して「T」字状になっている。これらの記しは視覚的にわかりやすい。体重をあずける道具だし、きちんとロックされていないと危ないのでこれがわかりやすく記されているということは重要なことだ。


展開する筒の中で根元に一番近いものは、5cm刻みで三段階調整可能となっており、ここで高さ調整を行う。これにより身長4~7feet(約122cmから213cm)までに対応するとのこと。最大に伸ばした状態では筒が90cmまで伸びる。筆者は身長174cmで、一番長い設定か二番目の設定がちょうどよい(地面の材質/状況や微妙な座る姿勢により調整している)。


地面に触れる部分は円錐型に等高線状に突出部のあるエラストマー製の部材となっており、多少の弾力性と高い摩擦性をつ。この部分の本体側には展開/収納時に用いるコインエッジ状に溝のついた部品がある。

筒の展開はいちいち各パーツをアンロックして伸ばすのではなく、溝のついた部品をつまんで一度に「ガガガガッ」と四つの節をアンロックしてから「スルスルスルスル」っと中を引き出すと手早いし気持ちいい。ロックも同様に好みの長さに伸ばした状態から一度に「ガガガガッ」と可能。でも腰掛ける前に全パーツがロックされているか確認するのを忘れずに。収納時もこの「ガガガガッ」、「スルスルスルスル」、「ガガガガッ」で気持ちよく片付けることが可能。


腰掛ける部分は左右に開くサポート材を展開して、それを座面両端のフック部で固定する仕組み。だがここもよく考えられている。


固定部が外れてしまわないよう、筒の下側からサポート材両端へとわずかな遊び(長さ的な余裕)を持って延びるストラップを、リング状のパーツを上方にスライドさせることにより遊び部分を解消するのだ。


するとストラップ状態では肩掛けパッドとなっていた部分が横幅37cmの座面となって現れる。


座面は前後幅が7.7cm(当初は5.7cmだったがストレッチゴール達成により拡張された)。

初めて展開するには少々時間が掛かるかもしれないが、慣れれば展開に15秒とかからない。


腰掛けてみる



腰掛ける際には、Sitpack ZENが尻の下に来るようにして、脚とSitpack ZENでバランスを取る感じ。一度良い座位置を見つけたら安定する。


ここまでSitpack ZENには「座る」ではなく「腰掛ける」という言葉しか使用していない(尻を置く部分として「座面」、「座位置」という言葉は使ってきたが)。これは、Sitpack ZENが体重を完全に置くための安定した「座る」道具では無く、より一時的に尻を通してもたれかかり体重を分担させるための道具であることを強調しようとしてのことだ。この意味でSitpack ZENは典型的な椅子よりも、「座面がなくポールでできたバス停の腰掛け」と言った存在や、「壁にもたれかかる」行為などに近いだろう。

また椅子であっても、3脚の椅子(例えばアルヴァ・アアルトによるArtekのStool 60など)や、座面が丸みを帯びた背が高く背もたれの無いカウンターチェアにはSitpack ZENと通ずるところはある。3脚の椅子では体重を置く方向を間違えると転倒するが、それと同様に、体重を完全に自分の脚とSitpack ZEN-XIに任せてしまうと、傾く方向によってはバランスを崩してしまう。つまり利用に際してある程度自分でバランスを取らなくてはいけない点があるのだ。なのでバランスを取るのが難しい方の使用には注意しないといけないし、(カウンターチェアも同様に)フラフラしてきた時の使用にも注意が必要だろうし、これに腰掛けたまま寝ると倒れてしまうことだろう。

腰掛ける感じとしては先にも例として出した「座面がなくポールでできたバス停の腰掛け」に近いが、堅い金属製で、横向きの円柱状のそれと異なり、Sitpack ZENにはまがりなりにも「座面」が存在するので、腰掛け心地はSitpack ZENの方が格段に優れている。これは座面が柔軟性とある程度の幅を持った生地であり、その分バス停の腰掛けと比べて体重を受ける面積が広いからだろう。

高さの調整に関しては、尻の位置に来るように設定すると良い。あまり地面が滑りやすい状況では使わない方が良いだろうが、例えば我が家の木製フローリングでは角度を持って使うと微妙にSitpack ZENの接地部がずれてくるので、このような状況ではなるべくSitpack ZENが垂直に近い位置で使うようにすると良いかもしれない。


(一番低い設定で座ったところ)
より低い設定でも座れないことはない。


携帯式の椅子とはまた違う



比較する対象としてはやはりアウトドアショップなどで販売されているような一般的な携帯式椅子となることだろう。それらは完全に体重を任せて長時間座るのにも使えることだろう。しかし対するSitpack ZEN、「携帯できる腰掛け」というのは、立つのが疲れる時の助けになる他、携帯式の折り畳み椅子と異なる利点もある。

携帯式の椅子は地面に近い位置に座ることになる。そのため視点が低くなり、行列待ち中などで周囲の人々が立っている状況などでは周りが見えなくなるし、自分の顔が人々の腰あたりに来るといった気まずい状況(例:顔面にオナラされるなど)となることもある。加えてそれらの多くは一般的な椅子よりも座面位置が低いため、混んでいないが開いた席の見つからないような電車内などで(日本の電車内でこれが許容されるかどうかは別として)使用するにも床に座り込むのと同じくらい視点が下がり、変に気まずかったりする。Sitpack Zenがあればどちらの状況でもほぼ立った状態と変わらず、「座り込む」という気まずい動作を伴わない。

また携帯式の椅子では座る際に膝を曲げることとなるため、より広い範囲を使用してしまうことになる。Sitpack ZEN-XIも普段は二本の脚で立つところを傾斜して3脚立ちすることになるため、何も使わず立つのに比べれば広い範囲を取るが、それでも体は全体的に縦方向に位置することになるため、使用角度によっては椅子式のものと比べ使用範囲が狭くすむ場合もあるだろう。


まとめ




旅行やイベント、その他長時間立っていなければいけない様々な状況に何かと便利な腰掛けだ。スタンディングデスクなどで働いていて、たまに足の疲れをどうにかしたいなんて時にも良い。

私はもっぱら室内でスタンディングデスクで脚が疲れてきたときに使っているが、時々バス待ちや、待ち合わせの時になかなか待ち人が来ないときなど「あぁSitpack ZENを持ってくれば良かった…」なんて思ってしまう。それもまあ筆者が面倒くさがりで忘れっぽいだけで、500mlボトルサイズに小さくなるから大抵の外行きバックやバックパックには入るし、バッグに入らなかったら肩掛けできるのも良いところ。

そんな、ちょっと腰掛けたいときに小さく携帯、サッと取り出して使えるのがSitpack ZENだ。


Source: Kickstarter

(abcxyz)

コメント

Sitpack team さんの投稿…
突然のご連絡失礼いたします。Sitpackスタッフでございます。
Sitpack Zenをご支援いただき誠にありがとうございます。またこのような詳細なレビューをしていただき、ありがとうございます。
現在Sitpackは、日本のクラウドファンディングサイトMakuakeにてプロジェクトを実施しております。
こちらのブログ記事をMakuakeのプロジェクトページでシェアさせていただいてもよろしいでしょうか。大変わかりやすく商品の使用感をご紹介していただいているので、ぜひMakuakeの支援者の方々にも読んでいただきたいと思いました。
よろしくお願いいたします
Yu Ando さんの投稿…
Stipackスタッフ様、ご連絡どうもありがとうございます!はいどうぞ!当ブログのレビューをご活用戴ければ私としても嬉しく思います。今後もどうぞよろしくお願いします。