人と環境にフェアな腕時計を目指しドイツの職人達が挑む…サステナブルでフェアトレードな「say time watch」


Sponsored by say time watch

エコを謳うプロダクトはこの世にごまんと溢れている。しかし残念なことに結局は消費と購買の促進のために「エコ」、「サステナブル」という言葉を売り文句にしているだけで、本当に環境に配慮しているとは言いがたいような商品が溢れているのも事実だ。

そんな中にあってドイツはハーナウのsay time watchが挑戦するのは、金細工職人と彫刻師の手作業とサステナブル素材とフェアトレード素材を用いることで、真に環境に配慮すると共に、人に取ってもフェアな腕時計とアクセサリ。

say time watchは現在Kickstarterでキャンペーン中で、メインリワードとして腕時計であるType Oneと、サブリワードである腕時計型ブレスレットのBracelet、加えてエッチング版画も提供されている。



say time watch




say time watchは、プロダクトデザインを学んだデザイナーでもある二人の職人、金細工職人のSelina Yanikと、彫刻師Victor Gorelikによるブランドだ。

せわしない現代と、穏やかな美を持つ自然。そのふたつの架け橋として、伝統的な職人技とデザインを掛け合わせ、現代社会にサステナブルな方法で融合させる。技術の正確性と自然素材の威厳とを併せ持った物作りを追い求め、造り出される創作物の中に見られる繊細な表情の中には、詩的な美を見いだす。

近年環境問題が注目を集める中、食や衣類など、一部の分野では既に一般消費者が「サステナビリティーな選択」を行うことが可能となってきている。それでもまだまだそのような「選択肢」は限られているのが現状だし、特に腕時計などの分野でサステナビリティーを目指す企業は未だ珍しく、またその度合いとしても冒頭に述べたような消費中心のプロダクトがほとんど。


この現状に一石投じようとsat time watchの二人が3年の年月を費やし世に送り出そうとしているのが今回のキャンペーンの腕時計、現代のフェアトレード基準に適合する腕時計を目指し造り上げたType Oneだ。

残念ながらフェアトレード基準で造られた腕時計ムーブメントは現在のところ存在しないため、今回のType Oneでは長期に渡って使用できることを念頭に、理論上のバッテリー寿命が約10年(119ヶ月)であるスイスETA製のクオーツ902.002が選ばれている。

さてそんな彼らが一つずつ精魂込めて造り上げるType OneとBraceletを紹介していこう。


手作りのプロセス



image courtesy of: say time watch

Type Oneの制作工程は、伝統的に金属細工の鋳型として用いられる「イカの骨」(カトルボーン)に彫刻を施すところから始まる。これはコウイカ科の体内にある炭酸カルシウムでできたもので、海辺でたまに膨らみを帯びた楕円形の白く脆い(簡単に削ることができる)ものを見つけた経験のある方もおられるだろうが、イカの骨はまさにそれである。このイカの骨はペットショップなどに行けば市販されているが(ペットのカルシウム分補給など用に販売されているのだ)、say time watchはこれを自ら海辺に赴き流れ着くものを集め使用している。これも可能な限りのサステナブルを目指しているためだ。


image courtesy of: say time watch

そこに貴金属を溶かして流し込む。すると写真にも見られるような美しい自然のテクスチャーが現れるのだ。使用されている貴金属は全てフェアトレード素材のもの。フェアトレード認定を受けているFairminedFairtradeの二社のものを使用している。合法、地域紛争を生まず、児童労働も用いず、労働者の権利や安全健康、更には環境への配慮もなされている貴金属だ。

残念なことにイカの骨は一度しか使えないのだが、こうして造られた鋳造物を原型としてシリコンで型取りすることで複製できる。それぞれのシリコン型は100回まで用いられ、100個が一つのコレクションを形成する。


image courtesy of: say time watch

なお、これは今回のキャンペーンのメインである腕時計Type Oneだけでなく、ブレスレットBraceletにも共通する手作りだ。このような工程を経て造られたケース部分は、手作業でねじ込み部分や刻印、ラグのバネ棒を差し込む部分などが加工され、注文に応じた仕上げ処理が施される。


image courtesy of: say time watch

もちろんストラップだって手作りのものだ。say time watchのパートナーであるポルトガルのThe Museu do Relógioによるハンドメイド品だ。その品質の高さでも知られるThe Museu do Relógioの手作りストラップの材質はコルク。ポルトガルは世界のコルクの50~70%を産出している国でもある。

腕時計のストラップはレザー、特に牛皮でできたものが多いが、牛材は(牛肉も同様であるが)それを生み出す過程で生じるカーボンフットプリントが大きい。打って変わってコルクは、コルクガシの樹皮であり約10年ごとにコルク材を採取できる。もちろんコルク以外にもエコな(もしくはレザーほど非環境的ではない)ストラップ素材も存在するが、コルクガシの木はCO2も吸収するので環境にポジティブな影響を与えることも忘れてはならない。


Type One - 自分だけの一本を



image courtesy of: say time watch

このようなプロセスにより一つずつ造られていくType Oneの部分。それだけでもユニークな腕時計となることは間違いないが、手作りの少量生産を活かした面白い点として、注文者が細かくカスタマイズ可能であるという点がある。Type Oneはなんと全120ものコンビネーションが可能だ。


image courtesy of: say time watch

まずはストラップから。明るい色のコルクストラップ「0.0.0.1.」か、ダークな「0.0.0.2.」かを選択可能。


image courtesy of: say time watch

続いて時計の文字盤部分。これは6種類の木材から選ぶことができるようになっている。そしてどれもFSC認証(森林管理協議会認証)を受けた木材を用いている。「0.0.1.0.」はオリーブ、「0.0.2.0.」は桜の木、「0.0.3.0.」はブナの木、「0.0.4.0.」はクルミの木、「0.0.5.0.」はナラの木、「0.0.6.0.」はスモーク加工されたナラの木だ。


image courtesy of: say time watch

ケースの素材も複数から選ぶことができるようになっている。大きく分けてシルバー系統とゴールド系統がある。925スターリングシルバーがベースのものでは、925スターリングシルバーそのままの「1.1a.0.0.」、この合金シルバーに酸洗いを施すことで表面に純銀の層を作り白く仕上げ上にコーティングを施した「1.1c.0.0.」、シルバーにロジウムめっきが施された「1.1d.0.0.」、シルバーにブラック・ロジウムめっきが施された「1.1b.0.0.」、の計4種類。ゴールド系統は、14カラットのイエローゴールドのライトイエロー版「1.2e.0.0.」、ディープイエロー版「1.2f.0.0.」に加え、同じく14カラットのローズゴールド「1.2h.0.0」、の計3種類が用意されている。


image courtesy of: say time watch

このように細かく選択して完成するType One。そのケース裏にはブランド名の刻印、上記の各選択要素を表す刻印、そしてシリアルナンバーが刻まれ、あなたのためだけに作られた一本となる。(なお記事中の写真にはケース裏に何も記されていないものもあるが、それらはプロトタイプ版のものであり、この写真が製品版のものとなる。)


Bracelet



image courtesy of: say time watch

価格的にType Oneには手が出ないが/腕時計はもうお気に入りのものがあるのでType Oneは要らないが/腕時計はしないが、とにもかくにも支援したいという方にはBraceletがリワードとなるオプションもある。

こちらもType Oneと同様にイカの骨を用い、フェアトレードされた貴金属と、コルクストラップにより作られたもの。腕時計のムーブメントが入っていない分現状ではBraceletの方がよりサステナブルでフェアなアイテムと言えるだろう。


image courtesy of: say time watch

ブレスレットの貴金属素材はシルバーもしくは酸化加工したシルバーから選択可能。酸化加工してあるものは黒く見える方で、所謂いぶし銀とか酸化銀とも言えるだろう。表面を意図的に酸化させたものだが、Yanik氏によれば酸化させてある層は薄いため、黒い酸化層が次第に削れてその下層の銀色の部分が次第に見えてくるだろうとのこと(*正しくは酸化反応では無く硫化反応であるそうだ)。日本の「わび・さび」にも通ずるような経年変化が味わえるのだ。(なおドイツのハーナウ市と日本の鳥取市は姉妹都市となっており、Yanik氏はこれを通じて鳥取市を訪れ、漆塗りの技術も学んだという。)

個人的にはまるでレトロな長方形/レクタンギュラー型の腕時計を彷彿させるこのBraceletの形は好きだ。時計好きであれば、なんだかジャガー・ルクルトのReversoみたいに見えなくもないこの形を楽しむこともできるだろうし、「時計に似て非なるもの」という形状をファッションステートメントとして用いることもできる。


まとめ



image courtesy of: say time watch

say time watchの輝かしいファーストタイムピースとなるType One、シルバーケースモデルは、小売価格は1100ユーロ(約14万円)となる予定だが、Kickstarterキャンペーン価格は800ユーロ(約10万円)。14カラットゴールドモデルは小売価格4120ユーロ(約52万円)のところがキャンペーン価格で3800ユーロ(約47万円)。

このキャンペーン価格をしても高いと思われる方もおられるだろう。手作りだから高いのだろうと考える人もおられるかもしれない。しかしこの価格にはそれ以上の価値と意味がある。それがサステナブルな素材選択と、フェアトレードされた素材の選択である。

フィンランドから日本の報道を見る限り、日本の環境意識は一部ヨーロッパ諸国のそれと比べてはるかに低いと言わざるを得ない。少なくともフィンランドでの報道では、日本は環境変動の影響をフィンランドよりも大きく受けているように見受けられる。だが、実際に行動により地球環境変動に歯止めをかけようと真剣に考え動いているのは変動の影響が直接少ないフィンランドの人々であるように個人的に感じている。化石燃料を使用する交通機関や発電に対する反発感はもとより、日常生活の中において一般的に消費される物品がどれだけ環境に優しいのか、はたまた悪いのかは日常的に話題に上る。特に食品に関しては、地産地消の裏にあるのは地域活性化ではなくカーボンフットプリントの小ささであり、ベジタリアニズムの裏にあるのも個人の環境ではなく環境意識である(無論別の理由でそれを選択する人も居ないわけではないが)。

このような中にあって腕時計という存在にも環境をより意識した選択肢があって然るべきだと考えるのは当然のことであり、Type Oneの登場は喜ばしいことである。

say time watchのプロダクトにおいて、環境への配慮とは異なる、しかし消費者意識として重要な軸として存在するのはフェアトレードされた素材だ。金銀を含む貴金属はその採掘や売買を巡り、採掘国で紛争を引き起こすものもある。我々が日々使用するスマートフォンも含め、知らぬ間に消費と価格競争の狭間に非人道的な扱いを受け、生活に苦しみ、命を落とす人々が居ることも忘れてはならない。目に見えないだけで確実に存在するこの状況を改善するためには、購買者として意識的な選択を行う必要がある。それがフェアトレードされた素材の選択だ。確かに安価ではないかもしれないが、逆に安い素材こそが非人道的な環境に人を追い込むことにより達せられる歪んだ価格であることも考慮すべきだ。


image courtesy of: say time watch

自然環境のみならず、素材を生み出す人々へのフェアさも考えられたsay time watchの作品群には、価格以上の価値があり、値段以上の存在意義がある。もちろん、彼らの活動を支援したいがType Oneに出資するほど金銭的な余裕がない人も少なからず居るだろうし、応援したいがムーブメント部分に妥協があるじゃないか、という声もあるかもしれない。リワード無しで好きな金額を出資することもできるし、なにか手に残るもの、支援の証が欲しいという方には時計機能は無いものの、腕時計を彷彿とさせる形状に自然のテクスチャーが浮かび上がるBraceletに出資するのもありだろう。また、今回の腕時計やその制作工程をエッチングにより味わい深く表現した版画もリワードとして存在する。

say time watchにとってこのキャンペーン、そしてType Oneは旅の幕開けだ。彼らの目指す完全にフェアな腕時計を完成させる日が遠くないことを願うと共に、彼らの活動を心から応援していきたい。




top image courtesy of: say time watch

Source: Say Time Watch, Cork Link, ETA

(abcxyz)

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