腕時計の原点回帰を現代的な技術で目指す腕時計「ONNE Watch」


Sponsored by Hans Donner Group

今回は時間を光と影のグラデーションで表すONNE Watchをご紹介しよう。現在Kickstarterでキャンペーン中のONNE Watch(発音はワン・ウォッチ)は、現代のスマートウォッチの技術を用いて作られたデザインウォッチだ。しかし最新スマートウォッチと同じく美しいAMOLED液晶とタッチスクリーンを備えながらも、時間を表示する機能以外を省くことで、禅的な「今」への回帰を目指し、着用者がより生き生きと暮らす時計を目指す。



ONNE Watch




ONNE WatchのデザイナーであるHans Donner氏は、世界で4番目に巨大なプライベート・ネットワークであるGLOBO Networkのビジュアルアイデンティティーを打ち立てた人物。80年代に3D要素を先駆けて取り入れたビジュアル要素で知られ、英米仏などでも彼の仕事が展示されたりするなどもしている。

現在Kickstarterでキャンペーン中のONNE Watchだが、実はこれはDonner氏が今から時を遡ること1986年に考案しているもの。実は彼はその数年後にアナログ版のプロトタイプを作成しているが、これは商品化には至っていない。しかしその後2001年には時計の見本市として世界中に知られるバーゼル・フェア (バーゼル・ワールド)ではアナログ版ONNE Watchがカタログの表紙を飾るなどしている。その後も開発は続けられ、ようやく構想から30年以上経った今になって製品化されるのは、ようやく現在の技術がDonner氏のビジョンを実現させるに十分に成長したからだ。

(なお、ONNE Watchキャンペーンのコメント欄では類似する文字盤の時計に関するコメントが見受けられるが、プロトタイプ版であれどONNE Watchの方が登場が先であり、Hans Donnerは類似品を販売するブランドに著作権問題を指摘している。)


文字盤



ONNE Watchの最大の特徴はタッチスクリーン式の有機ELディスプレイAMOLEDディスプレイが生み出す独特の文字盤と、モダンな技術を用いながらもそれを時刻表示機能にのみ用いていることだ。

そう、この時計はあなたにスマホの通知を知らせたりすることは無い。その代わりにONNE Watchの持つスマートウォッチ時代の先進的なディスプレイがしてくれることは、時間を表示すること。今生きる時間を示してくれる、それこそが腕時計の本来の価値であり、ONNE Watchは現代的な技術を持って作られた腕時計の原点回帰を目指すアート作品とも言えるだろう。

また、文字盤内に光と影のグラデーションしか存在しないのも特徴である。一般的な時計は時間を12もしくは24、そして60に区切り、分割し、現在時間を針で示すものが大半だ。ONNE Watchもそのベースには一般的な12時間と60分/秒の時間の区切り方と円形の文字盤形状を使用しているが、インデックスには時間の区切りは無く、文字情報も針も無い。文字盤内にあるのは光と影のグラデーションのみで、これが美しく円を描く。

これは時間の認識を可能にしながらも、それぞれの時間の区分けという檻からの解放的な意味を持つ。我々の仕事スケジュールこそ細かな時間の枠組みの中に存在しているかもしれないが、本来時間と言うものは流動的であり、人間の認識感覚により長くも短くも感じるものだ。ONNE Watchはその流動性を文字盤デザインの中に落とし込んでいる。

腕時計は人の時間をコントロールするためのデバイスでは無く、絶えず流れゆく時間を示すことで人が時間をコントロールする助けをする。

ONNE Watchのその本質はまさにここにあると言っても良い。これを上手く実現するためにAMOLEDディスプレイといった現代的な技術が用いられているだけで、そのような先進性はこの時間の流動性を光と影のグラデーションに示すための道具にしか過ぎないのだ。


時刻は(ブライトモード状態では)3つの円により表示されており、外から秒、分、時となっている。秒の周は一番細く、そのうちに分と時が同じくらいの太さで存在する。時間の分割を示す点と線はケースに印してあるので、それに文字盤内の表示を照らし合わせて現在時刻を知ることになる。

最近のスマートウォッチによく見られる状態として「ブラックミラー」という状態がある。これは(テクノロジーが牙をむく同名のSFテレビシリーズではなく)、スマートウォッチのバッテリーを持たせるためにそのディスプレイを消灯し、ディスプレイ部がまるで黒い鏡のようになる状態を指す。このような、使用する際にいちいち点灯させないと時間の確認できないスマートウォッチと違い、ONNE Watchは常時時間を表示することが可能だ。

通常表示状態は分秒は記さず時のみが表示されるアンビエントモード表示となり、腕を傾ければ先に述べたブライトモードが表示されるようになる。この状態でバッテリーは24時間もつ。なおディスプレイ常時表示オプションをオンにすると常にブライトモードとなり、この状態ではバッテリーは6時間もつ。6時間しか持たない、という見方もあるだろうが、通常はアンビエントモードが表示される設定にしていれば丸1日バッテリーは持つし、アンビエントモードも時は表示されるが分秒が表示されないという時間の認識をする事が出来るのも面白い。



ONNE Watchのディスプレイは400x400解像度の1.39インチ。スマートウォッチのような通知機能は無いことは先にも述べたが、タッチスクリーンを備えているため面白い機能が存在する。そのうちの一つは文字盤の色設定機能。画面9時方向から3時方向へとスワイプすることにより、文字盤の色を8色から選び、設定することが可能だ。気分や服に合わせコーディネートすることができ、一つの時計を長く楽しめることだろう。

6時方向から12時方向へのスワイプでは日・月・年が表示される。3時方向から9時方向へのスワイプでは設定画面が表示され、スクリーン照度や、画面の常時表示機能のオンオフ変更、腕の動きでの表示オンオフ、日付時刻設定などが可能。

12時方向から6時方向へとスワイプすれば、バッテリー残量が表示される。バッテリーは350mAhのリチウムイオン電池。充電は専用の端子が付いたUSBケーブルを本体裏につけて行う仕組みで、磁石が付いているためケーブル端子を取り付けるのは容易だ。45分で満充電できる。また、USBケーブル経由のファームウェアアップデートも可能となっているため、将来的にアップデートが行われる際にもこれが使用できる。


ケース・ストラップ



特に機械式時計や文字盤の大きさにより100gを超すものも少なくないが、ONNE Watchの重さは僅か56g。つけていることを忘れるような軽さである点も、腕時計に人生や時間をコントロールされず、人が時間の主導権を持つというコンセプトに合致する。

文字盤の外側、ケースの部分には時刻を表す印しが12個。12,3,6,9時部分には線、それ以外の時には点が彫られている。3時の位置には竜頭ではなく電源ボタンが存在する。風防はミネラルクリスタルグラス製となっている。


ケース径は48mmで、シリコン製ストラップが22mmケースと融合した形となっている。ストラップは文字盤を囲うケースからそのままラグのようにカーブを描き伸びると共にそのままストラップとして伸びていく。ストラップの長さ調整は穴にステンレススチール製のバックルを留める仕組みで、余分のケーブル部分はストラップの内側に入れ込むタイプ。

防塵防水性能はiPhone7と同じくIP67。日新産業株式会社のIP表記を参考にすれば、防塵性能は最大級の6で、粉塵が内部に侵入しない。防水性能は7級で、規定の圧力と時間で水中に浸漬しても製品が有害な影響を受けないレベルとなっている。


まとめ



元々腕時計がもっていたのは手元に存在し、必要なときに時間を示すという役割であった。時間を決められた枠の中に入れ込み、それを共有することで人々は共に計画し、働き、愛し合って、そうして人類が発展してきた。

経済が伸びゆく忙しない80年代に元々のアイデアが生まれた当初のONNE Watchは、そうして築き上げられた時間の枠組みが檻へと置き換わり、今を生きることを忘れた人々への戒めとも言えただろう。

しかしそんなONNE Watchのコンセプトは現在更にその重要性を増している。共有する時間の確認となるよう作られてきたはずの時計達は今やメッセージの受信を知らせ、まだ今日一日6000歩歩かないと目標を達成できないとせっつき、電話が鳴れば一緒に鳴り騒ぎ、物を調べたいときに話しかけるデバイスに成り代わった。

現代のスマートウォッチは多数の機能を備えながらも、時間を示す役割よりも人の生活をより制限する、手綱のような役割になってしまっている。常に通知が腕を揺らし、そのたびにスマートウォッチの画面に目を見やる。そして通知が来ていなくても手元が気になるようになり、時間を示すためにもともと身につけていたはずのデバイスが時間を操り、時間を奪うというおかしな現象が起きている。

電話をかけて受信するために存在したはずの携帯電話が、スマートフォンの登場した今現在、何でもこなす事ができると共に必要以上に人が時間を浪費するデバイスになっているという指摘は暫く前から行われている。それと同時に腕時計を持たなくなり、時間をスマートフォンで確認する人も増えてきたが、これもまた、時間を確認すると共にメールを確認し、ついでに通知の来ていた新しいネコ動画を確認し…と、ただ時間を知りたいがための行為が時間を奪う行為に至る現象が起きている。

時間を確認するためのデバイスが、逆に人々から時間を奪っていることが認識され始めた今こそ、ONNE Watchは重要な意味を持つ腕時計だと言えるだろう。「今」への回帰を目指し、人が時間の手綱を取り戻し、流れる時間の中に上手く生きるためのONNE Watchプロジェクトの今後を応援したい。




Image courtesy of Hans Donner Group

Source: Onne Watch, Kickstarter

(abcxyz)

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