Mint Evolutiveが送る腕時計カスタム入門機。道具一式に18通りのカスタムが楽しめるパーツ付きプレミアムキット提供レビュー


お手頃価格で、購入してからストラップを変更できる腕時計なら世の中にごまんとある。最近では自分で注文時にカスタマイズできる時計も多い。そんな中にあってMint Evolutive社の時計は、時計購入時のカスタマイズや購入後のストラップ付け替えは当然ながら、購入後にベゼルの交換や、エンドリンクの有無までMOD(カスタム)可能なものとなっている。

今回はそんなMint Evolutiveのなかでも購入してすぐにカスタマイズが楽しめ、一つの腕時計を様々な異なる見た目にすることのできる「INTELLIGENCER PREMIUM MODDING KIT BLACK 9 IN 1」を提供して戴いたのでレビューしていく。



Mint Evolutive


Mint Evolutiveは香港に拠点を置く新しい時計会社。同社を創設したのはフランスのデザイナー、Alexandre Bessonだ。

彼の父である故Francois Besson(フランソワ・ベッソン)は実は有名な柔道チャンピオンであり、国際柔道連盟スポーツ理事でもある人物だ(公式サイトにはフランソワ・ベッソンと重松義成のツーショット写真も掲載されている)。フランソワ・ベッソンは柔道で功績を残しただけでなく、他にもフランス海軍の特殊部隊、海軍コマンドーでもあったほか、フランスの諜報機関のエージェントでもあった。

そんな父がAlexandre Bessonに遺したのは、70年代と90年代に自ら日本で購入したセイコーのSKX007とSKX031だった。そこからAlexandre BessonのヴィンテージウォッチとModding(カスタマイズ)への情熱が始まり、Mint Evolutiveが生まれたのだ。(セイコーのダイバーズウォッチであるSKX007SKX031はどちらもカスタムが盛んであり、バンド、ベゼル、風防、針、中にはムーブメントを変えてしまう人もいる位、カスタムコミュニティーの間では知られたモデルのようだ。)

こうして生まれたMint Evolutiveの同社初となるコレクションは、柔道家、海軍コマンドー、諜報機関エージェントという父の経歴もあってか、それぞれスポーツ、軍事、外交という3つの要素を基盤にした、「DIVEMASTER」、「DEFENDER」、「INTELLIGENCER」の3モデルが提供されている。


開封



細やかなテクスチャが一面に入った美しい箱。


蓋は磁石で留められており、上向きに開けるてご対面。


上の段にはINTELLIGENCER本体と共に、ずっしり重い金属製の保証カード。ロゴ入りのクロスもついてくる。


説明書もついている。説明書の表面は実はミニポスターになっており、なんとロゴなどが蓄光!


下の段にはカスタム用のダイヤルやストラップ、そして工具達が。工具が並んでいるのを見るとワクワクしてくる。


ケース



ワクワクを抑えながら、まずはINTELLIGENCER本体とケースを見ていこう。


316Lステンレススチール製のケースはシルバー色。初期状態では無垢なシルバーでフォーマルな装いにも合う艶のあるベゼル、Flat Bezelが取り付けられている。後述するが、もちろんこれも付け替え可能だ。


ケース裏はシースルー。テンプの動きを眺めることができるのは喜びだ。ローターにはMint Evolutiveのロゴが刻印されている。ケース裏蓋には「THIS WATCH HAS BEEN DESIGNED TO BE MODIFIED / MAKE IT YOUR OWN」(この腕時計はカスタムするためにデザインされた・自分のモノにせよ)の文字。そしてその外周には「< OPEN ・ CLOSE >」の記し。開閉方向が記してある点も時計カスタマイズファンには嬉しい。なお裏蓋を開封する器具は付属していないが、時計ケースオープナーなどがあれば開けることができる。

ムーブメントはSeiko SIIのNH35A。41時間パワーリザーブ、24石で21,600 bph。


竜頭側面はコインエッジ仕上げ。知らぬうちに竜頭が開いたりしないねじ込み式となっている。自動巻きムーブメントではあるが、竜頭を回して巻き上げることも可能。その際にシースルーの裏蓋をのぞき込めば、カチカチという音と共にラチェットが動く様子も見ることが出来る。

時計は「200 METER WATER RESISTANT」(200m耐水)となっている。水に触れる際にはくれぐれも竜頭のねじ込み忘れがないように。


文字盤



風防はサファイアグラスにARコーティング(無反射コーティング)がされている。


黒いのでわかりづらいだろうが、サンレイダイヤルとなっている。

文字盤内部外側は線路状の1分刻みの仕切りと、各時にローマ数字が記されている。また、3時の位置には日付窓が開いている。


日付窓の位置にある時間インデックスが隠れるため、その部分の表記が省略される時計が多く見られるが、INTELLIGENCERではローマ数字が分を刻む表記と同じほど小さいこともあり、全時刻位置に記してあるのは面白く、統一感を出している。もちろん、インデックスの数字を見るという意味での実用性を考えると、確かに見づらいかも知れないが、分刻みの形の中にあるローマ数字の形状は密度が高いために、それぞれの時間を指し示す形状としての識別は容易だ。また、より見やすくしたいのであれば、ベゼルを後述のThunderbirdにしたり、明確に数字も見えた方がよいという方はDual Timeのものに変更すればよいのだ。

時分秒針の3針は一見シンプルなドーフィネ針に見えるが、時分針はその中心が蓄光する仕様。自動巻きなので秒針はスイープ運針だ。


MOD:ベゼル



ベゼルがついている腕時計で、それに合った別種のベゼルが提供されている場合、ベゼルを交換することができる。しかし、それに必要な道具や交換用のベゼルまでセットになっており、購入直後から好きなように変更可能なのはこの商品の大きなポイントだ。今回付属のベゼルはどれもMint Evolutiveのどのベースモデルにも取り付け可能となっている。なお、ケースに既にセットされているベゼルスプリングの他に、予備のベゼルスプリングもひとつついている。もちろん全て逆回転防止ベゼルとなっており、120クリックで1周する。


ベゼルの交換には、付属のベゼルリムーバー(写真右)を用いる。これをケースとベゼルの間に差し入れるようにすることでベゼルが外れるのだ。


標準装備のSmooth Bezel Silver。ツルツルで印は何も無いベゼルではあるが、実はベゼルをカチカチと回すことは可能だ。小綺麗な雰囲気が好きだが、指紋がつきやすいという難点もある。


付属する中で個人的に一番好きなベゼルがこちら、レトロな美しさのあるThunderbird Bezel Silver。各時間を示す間隔で12個の艶のあるインデックス部があり、それらの間は時計中心から放射線状に伸びるように細かな線の入ったブラッシュドフィニッシュ部分がある。特にインデックス部分はベゼル面の傾斜から盛り上がった形となっている。


インデックスの内一つは2分割されたような形となっており、この部分を12時として使う事もできるし、これをダイビングウォッチのベゼルと同様に時間経過を測る指標とすることもできる。


こちらはDual Time Bezel Black。12時部分には逆三角形があり、その中には丸くスーパールミノバC1蓄光部分がある。1から11まではアラビア数字が書かれており、各数字の間には点が描かれている。


蓄光部分は残念なことに中心から少しずれている。コインエッジで、ベース(ベゼルインサート)はステンレススチール製、インデックス部(ベゼル部)はアルミニウム製。


MOD:エンドリンク



取り外し可能なエンドリンクは、それぞれ二つのネジでつけ外し可能。小さいパーツと侮るなかれ、この有無でも時計の印象はがらりと変わる。


安価な時計のエンドリンクは薄っぺらい素材で作られている場合もあるが、これはしっかりとした一つのパーツ。


上部は中央が鏡面、その脇をバンド方向に向かってヘアライン仕上げがされている。


エンドリンクをつけた状態で真横からケースを見るとネジが見える。しかしエンドリンクがストラップ部を覆うように出ているためにネジが目立つことはないだろう。(*この写真のバンドは付属物ではないが、20mmのバンドであれば他社のものでも好きに付け替えることができる事の好例として)


エンドリンクを外した状態では穴があることは比較的目立つ点は人によって好き嫌いが分かれるところだろう。個人的にはこの程度の穴であれば許容範囲。(*この写真のバンドは付属物ではない)

エンドリンクの取り外しも付属のネジ回しで行う。特に自動巻き腕時計の精密な内部構造は磁気に弱いため、ネジ回しも磁化されていないものとなっている。エンドリンクをケースに取り付ける際には、ネジ回しが磁化されていないことで取り付けが難しいと思われるかも知れない。しかしその際には用意されているピンセットが活躍してくれる。気分は時計職人だ。


MOD:バンド



写真は付属するベルト一覧。時計との取り付け部の幅は20mm。上からレザー+Dバックル、パーロン、シリコン、となっている。


もちろん付け替え可能なバンドだが、クイックリリース式とはなっていない。付属ツールを用いて付け替えするのだ。この場合、ケース横の穴から付属ツールでバネを突いて取り外す仕組み。そのためケース横4箇所には穴が開いている。

カスタマイズを売りにしていながらクイックリリース式としていないことは興味深いと思われるかも知れない。だが、クイックリリース式のストラップは、バネ棒からツマミを突き出さなければならず、バンドにはその構造が飛び出るための穴を開けなければならない。そのため、クイックリリース式のバンドはバネ棒周りの強度が弱く、そこから壊れていきやすいという難点がある(ツマミがバンドの穴を広げてしまったりする)。

その点、ツールを使っての腕時計カスタムを売りにしているMint Evolutiveは一般的なバネ棒とすることでこのような問題を回避している。もちろん、クイックリリース式のバンドをこの時計につけたければ着けることも可能だ。


まずは標準装備のレザーから見ていこう。レザーバンドはステンレススチール製の観音開きDバックル式になっている。バックルにはMint Evolutiveのロゴ。


Dバックルなので装着時にいちいちベルト穴を探す必要もなく、(写真ではまだ取り付けていない状況だが)一度ベルト穴に取り付ければループ状となるので着脱時に落としづらい。裏にもロゴが刻印。ワニ柄ではあるが、イタリア産の「genuine leather」との表記だが特別アリゲーター側との表記もないし、型押しだろう。


装着するとこんな感じ。


こちらはNATOスタイルのパーロン。バックルにはロゴ入り。私の住むフィンランドでは特に冬場は外でコートの袖口から時計を出すのは辛い気候となるのでNATOバンドはありがたい。


NATOスタイルのストラップであれば、コートの上から腕時計をつけるのに十分な長さのストラップであり、なおかつ腕にそのまま着用する際にはバンドの余剰分が仕舞われるようになっている。そのため冬場でも外ではコートの上にそのまま着用、室内では腕の上に着用、といった使い方ができるのだ。


シリコンストラップもついている。分厚く頑丈そう。


こちらはシリコンストラップ裏面。実は表面に見える四角形の穴の裏面側は末広がりになっている。通気性が良さそうだ。


シリコンストラップのループ2つには残念ながらどちらにも大きなバリがある。


ベースモデル



ベースモデルはダイアルと針の違いによりDIVEMASTER、DEFENDER、そして今回のINTELLIGENCERの3モデルが用意されている。どのモデルも基本構造はおなじであるため、全ての部品に互換性がある。

ベースモデルだけの購入であれば296ドル。ベースモデルも購入時にカスタムすることが可能だ。なお、この価格は時計本体部分と初期付属ベゼルのみで、バンド代金は別途必要。とは言え時計好きであればすでにストラップは余っているだろうし、購入時にオプション購入可能なストラップも15種類ある。

もし時計カスタマイズに必要な道具類を既に持っている方であれば、ベースモデルと共にバラ売りされているカスタマイズ用のパーツを購入すればカスタムが楽しめる。

購入してすぐにカスタムが楽しめる道具とカスタムパーツ付きの今回のセットは通常価格559ドルとなっている。


まとめ



今回の「INTELLIGENCER PREMIUM MODDING KIT BLACK 9 IN 1」では、このセットだけでベゼル3種、バンド3種で9通り、そしてエンドリンクの有無で2 x 9でなんと18通りもの時計を楽しめる製品だ。559ドルで18種の時計を楽しめると思えば格安だし、何よりもカスタム初心者の方には今後の時計カスタムの夢を無限に広げるための入り口としての意味があるだろう。


(March LA.Bのエバータイプのバンドを着けてみたところ。)

まだローンチ間もないこともあってか、荒のある部分も少し見られたが、時計本体に関してはしっかりした作りながらもカスタム可能な箇所が多くあり、そしてどのように変えても様になる優れたデザインともなっている。

道具一式ついていることもあり、カスタマイズに興味があるがまだ手を出していないという人にもよいし、時計カスタムファンにとっても、「カスタム用にデザインされた時計」というのは魅力だろう。また、ダイヤルや針もバラ売りされているため、より知識技術のある人であればベースモデルを一つと別種のダイヤルと針を購入することで、他のベースモデルに変えてしまうこともできる。

今後同社に期待したいのはMOD可能なバリエーションが増えることにつきる。例えばエンドリンクやケース部分のバリエーションが増えれば、今回のような時計とModdingキットのセット購入者がより更なるModding/カスタムに興味を持つことだろう。





なおMint Evolutiveは本日より新色のダイヤルなどと共にKickstarterでキャンペーンを開始している。キャンペーン価格は通常販売価格よりも安価になっているので気になる方は確認してみるとよいだろう。



最後にこの場をお借りして、今回レビューする機会を与えてくれたMint Evolutiveの創設者Alexandre Besson氏に感謝したい。


Source: Mint Evolutive

(abcxyz)

コメント