実際どうなのかは?…フィルターレス空気清浄機Luft Qi提供サンプルレビュー


台湾のTitus & Wayneによるクラウドファンディングプロジェクト「Luft Qi」。ジュース缶ほどの大きさのデバイスで、フィルターは持たず、光触媒の力で臭いや細菌、有害物質を除去することを謳うものだ。果たしてどんなものだろうか?



プロジェクトページには「ナノテクノロジー」という語が大々的に使われているが、詳細を読むと「紫外線LED光触媒」と書いてある。そのため、プロジェクトページの図にもあるように「Volatile organic compounds/揮発性有機化合物」(VOC)やウイルスなどを破壊できるが、フィルター式の空気清浄機とは違いただの小さい粒子である「PM2.5」に代表される粒子状物質は取り除くことができないとしている。


大きさは65 x 65 x 117 mmほど、重さ160gの筐体にはフィルターはおろかバッテリーも搭載していない。バッテリーを搭載していないのも面白いデザインの取捨選択だろう。microUSBポートから給電すればそれだけで稼働する。スイッチも何も無いシンプルな機能で、筐体が軽く仕上がっているのもこのおかげだ。


なるべく閉鎖した環境の中で試そうと思い、段ボール箱の中で計測してみた。計測はIndiegogoで出資入手した大気汚染モニター「ATMOTUBE」だ。ATMOTUBEはVOCと「Carbon monoxide/一酸化炭素」、気温と湿度を計測し、総合的大気スコア(VOCと一酸化炭素の値で割り出されると思われるが詳細は不明、点が大きい方が空気が綺麗)を出す。


箱の中にLuft QiとATMOTUBEをいれ、両デバイスには電源ケーブルをつけて箱の外にケーブルの先を出し、それ以外の部分は箱を閉じてテープで開口部ができないようにした。1週間ほど掛けて何度も試してみたのだが、大抵の場合はLuft Qiを稼働させるとVOCレベルは下がり、Luft Qiを停止させるとVOCレベルは元に戻った。


例えばこんな状況だ。(なおこの箱に入れての実験は数日間掛けて何度も試しているが、実験中に箱を開けることはなかった)

23時測定開始。Luft Qiを作動させる前の段階:

総合得点:79
VOC:0.35ppm
湿度:33%
温度:+32

40分稼働させた状態の数値:

総合得点:82
VOC:0.30ppm
湿度:34%
温度:+31


そのまま8時間Luft Qiを稼働させ、朝8時に計測。ここでLuft Qiを停止させる:

総合得点:87
VOC:0.21ppm
湿度:45%
温度:+30

Luft Qiを停止させて40分後に測定すると値が上昇、箱の中の環境がLuft Qiを稼働させていない状態よりも悪いレベルになった:

総合得点:71
VOC:0.47ppm
湿度:35%
温度:+35

そのままLuft Qiが稼働しない状態で3時間経過した状態で再度ATMOTUBEで計測すると:

総合得点:89
VOC:0.17ppm
湿度:44%
温度:+26

本当にLuft QiがVOCを光触媒で破壊しているのであれば、閉鎖環境で一度下がったVOCの値は戻らないはずだ。

ただ、私の行った「実験」は科学的と言うにはほど遠い。例えば箱の中で常にVOCが放出されているような状況ではこのような結果になることも考えられる。また、後にATMOTUBEに確認を取ったところ、「Atmotube 1.0とAtmotube 2.0ではVOCの値に一酸化炭素の値が含まれる」との回答を得た。使用したのはAtmotube 1.0であるため、VOCの値は正しい値ではなく、一酸化炭素の値を含んだ値になっていることもこの結果の要因だろう。またLuft Qi作動中には風が生じることから、ATMOTUBEの測定口への風の影響(それにより正確な値が計れないなど)もあるだろうし、室温が箱の中のVOC/COの値に影響を与えている可能性もある。

なのでこの中途半端すぎる実験の結果はあまり参考にならないだろうし、これを購買基準にすべきではない。だがそれでもこの無責任な実験結果を公開したのは、Titus & Wayne側からの連絡が途絶えたからだ。

Indiegogoのプロジェクトページで示されている特許「ROC Patent Office No. M540251をインターネットで軽く調べてみたが見つからない」、「ナノリアクターについてもう少し詳しく教えて」、「これはTiO2が紫外線で有機化合物を酸化分解するものなのか」、「青色LEDはUV-Aなのか、そうであれば作動中はLEDの光を見ると危険か」、などのメールを5月末に送り、その後「実験してみたがこんな結果となった。なにかもっと良い実験方法があれば提案して欲しい」と6月頭にメールして以降、7月末の現在に至るまでTitus & Wayne側から返事がいまだ無い。実際にこのレビューを書いたのも5月末のことなのだが、今まで公開しなかったのは彼らからのメールの返事がいつか来るだろうと待っていたため。流石に2ヶ月も経過したので公開することにしたのだ。

モノとしての形状や、デバイスとしての使いやすさに関しては非常に良くできている。品があり、美しく、シンプルだ。しかし肝心の性能について確証、返答が得られないのは非常に残念なことである。

もしも私に返事をくれることに問題が無ければ、特許がネット上で見ることができるものであればリンクを送ってくれれば良いはずだし、例えば同社が「ナノリアクター」と称するモノや、デバイスがVOCを破壊する仕組みについてもう少し詳しく解説したり、私の適当な実験の問題点に関しても指摘できることだろう。

最後にサンプルを提供してくれたTitus & Wayneに感謝したい。(でもこのままだとただ怪しいだけなので今からでも返事を戴けると嬉しいが…)


Source: IndieGogo

(abcxyz)

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