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今回はKickstarterプロジェクト「The Port Series: The Most Innovative Leather Portfolio Ever」をご紹介。プロジェクトクリエイターのSatchel & Page社よりPort 13"レビュー用のサンプル品を預かったのでそちらをレビューする。
「最も革新的な革製ポートフォリオ」と謳うPortシリーズ。この「ポートフォリオ」というのはわかりやすく言えば書類カバン。Satchel & Pageはほとんどの革製書類カバンのデザインが1987年以降変わっていないことに飽き飽きして同シリーズを生み出すに至ったと言う。従来型の革の書類カバンは、まあ読んで字のごとくただ単純に書類を入れるもので、便せんのような形をしたものや、表紙付きのクリップボードのようなもの、そして(第二次大戦時の)マップケースのようなものがほとんどだ。だが、この現代において、実際のところ「書類カバン」に入れられるのは書類だけに限らない。
仕事は書類だけで終わらせるものではなくなり、スマートホンとラップトップパソコンがその必需品となった。そんな現代に生きる人のための革製ポートフォリオ、それがPortシリーズだ。
サイズは5種類あり、タブレット用の「Port Tablet」、あとは内蔵できるラップトップのスクリーンサイズにより「Port 11"」、「Port 13"」、「Port 14"」、「Port 15"」が存在する。なお、Port 14"は12.5万ドルでアンロックされたストレッチゴールだ。
Port 13"
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それでは、今回提供いただいたサンプルを見ていこう。
*なお、今回レビューするものはあくまでもプレ・プロダクション段階のサンプル品であり、使用されているレザーとジッパーは製品版とは異なる。
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まずは外側。片面は装飾を排したシンプルなデザイン。背面にはロゴがある。ロゴと被ってしまうが、ここには中に入らないものを収納可能な小さなポーチが取り付け可能。ポーチにはACアダプタなどを入れることが想定されている。取っ手もしっかりしていて持ちやすい。
取っ手両横のDリングには、ショルダーストラップや、アドオンのroller-board strap(後述)などを取り付け可能。なお、ショルダーストラップはサンプルには含まれていないものの、全てのPortシリーズについてくる。
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内側の写真。2枚あるのは中央に取り付けているスリーブの両面を見せるため。本体の、写真で言うと右側にはラップトップパソコンを収納するためのスペースがある。もちろんそこに書類を入れたって良いだろうが、書類用のスペースは左側にも確保されている。他にも右側にはスマホやモバイルバッテリー、ファブレットを入れることのできるスペースがある。左側にはパスポートの入るサイズのスリーブ、鍵やイヤホン、ケーブル類を取り付けることのできるボタン式のクリップ、アダプタなどをゴムバンドで固定できる部分、そしてペンやカード類の収納部分がある。
Portシリーズで斬新だと思うのは、取り外せるインサートが用意されているところ。どのモデルにもついてくる「Venture」(上写真で中央に取り付けられている)は、パスポートやノート、ペンケースにチャック付きポケットやケーブルを留める部分がついている。
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Image: Kickstarter
こちらの「Artist」はノートの他にたくさんペン類をつけられるようになっている(こちらは10万ドルのストレッチゴールで登場したオプション品)。これらの付け替えは磁石により可能になっている。
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持ち運ぶものをこれで簡単に入れ替えることができるわけだ。磁石が露見せずレザーに隠れているのは、レザーによる見た目の統一感を保つ上でも美しい(写真で丸く見える部分が磁石)。でもせっかく付け替えることができるのだから、もっといろんな種類のインサートがあっても良かっただろう。
ポータブル・オフィス
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いろいろ入れてみたところ。あまり分厚いものを入れることはあまりお勧めしない(革には柔軟性があるので実際には分厚めのものを入れてジッパーを閉めることはできるのだが、Portの側面が出っ張ったりして美しくなくなってしまう)。とりあえず、13インチのMacBook Air、スマホを2台、Kindle Voyage、Sharp WG-S30、Rhodiaのメモ帳、第6世代iPod Nano・・・
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・・・モバイルバッテリーも兼ねたスピーカーharman/kardon ESQUIRE Mini、Power Practical Sparkr Miniライター、Victorinox十徳ナイフ、パスポートにカードにペン、USBアダプタに地図に書類を入れたクリアファイル・・・。仕事に必要な物は全て入る感じだ。MacBook Air用の電源アダプタが見当たらない?
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外に付けたポーチの中にちゃんと入っている。ノマドワークに必要な物は一式入る。
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ただし、この外付けポーチはボタン二つで留めてあるだけなので、何かにポーチが引っかかった場合などに外れることがあった。なので貴重品をここに入れるのはあまりよいアイデアでは無いかもしれない。上写真はポーチの裏側を写したもので、二つのボタンが見えている。ここのボタンは両側二つの四つずつであればより安心感があっただろう。
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Portの中に話を戻そう。写真では左からNokia Lumia 930とJolla Phone、Kindle Voyageを入れているが、実はこの真ん中部分は専用のモバイルバッテリーがピッタリ収まるようになっている。
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Image: Kickstarter
こちらが、アドオンで購入可能な専用バッテリーとケーブルを使用する場合の画像。バッテリーを収納する中央のポケット上部には二つのケーブルを通す部品が出ている。ケーブルはこのモバイルバッテリースペースから、その横にあるスマホ/タブレット用のスペースにちょうど届くようになっていて、カバンの中でケーブルが絡まること無くスマートに充電できるというわけだ。専用のモバイルバッテリーはPortシリーズのためにデザインされたとされており、Satchel & Pageのロゴ入りで、5000 mAhでUSBポートが二つついている。プロジェクトページから見る限り、一つのポートは2.4A、もう一つは1.5Aのようだ。Portシリーズに合うようにデザインされたApple Lightningケーブルも用意されており、これもケーブルはレザーで包まれており、端子付近は木製というこだわりよう。もちろんLightningケーブルはMFi認証されたものだ。このスペースに合うモバイルバッテリーが見つかれば、専用バッテリーがなくたって良いだろうが、この充電スペースを有効活用したいならアドオンも検討しても良いかもしれない。
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ゴムバンドで留める部分はサイズが2種類。ゴムバンドが緩くならないか心配だが(Cocoon社のGrid-Itですら緩くなるからね)、ゴムバンドは簡単に様々なサイズのものを保持できるシステムとしては優秀だ。
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このシンプルなボタンクリップが実は一番好きな点だ。こんなに単純な構造なのに、ケーブル、イヤホン、キーホルダーなどを、お互いに絡ませること無く保持できる。ケーブルは現代の必需品、必要悪となっている。ACアダプタ以外からの充電が必要な機器とバッテリーを持ち歩けば、ケーブルから逃げることはできない(結局Qiだってそんなに流行ってないし、AirPowerでAppleが参加することで今後変わるかもしれないが)。ケーブルを美しくしまうことができるものというのは価値を持つ。
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ラップトップ、書類、バッテリー、ACアダプタ、イヤホンにケーブル類、Satchel & Pageが語る通り、Portシリーズは「モバイル・オフィス」の名にふさわしい収納力がある。
細部へのこだわり
Satchel & Pageの名前をどこかですでに聞いたことがあるという方もおられるだろう。それもそのはず、Satchel & Pageは2013年から、Kickstarter上で、様々な、レザープロジェクトを成功させている(ある意味このPortは前回のプロジェクトで登場したPortfolioの進化版と言えるかもしれない)。
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実は私もレザーでいろいろ作るのだが、長年レザー製品を作り続けているSatchel & Pageの細部へのこだわりには感心する。使用されている糸は蝋引きポリエステル277糸。多くのレザー品はナイロン製の糸が用いられているが、ポリエステルの方が紫外線と白カビへの耐性が強いのでこれが使われている。
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細部まで美しい。Dリングやクリップ部分はソリッド・ブラス(メッキを施していない真鍮)にアンティーク加工を施したもの。リベットは銅でできている。
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見えないところまで美しい。写真左はラップトップ収納部分の内側、柔らかなスエード素材だ。写真中央のカード入れ部分も、右のジッパー付きポケットも内側はスエード。一生保証がついているのも素敵な点だ。
プレ・プロダクションと製品版の違い
繰り返しになるが、今回のレビューはプレ・プロダクション段階のサンプル品であり、使用されているレザーとジッパーは製品版とは異なる。製品版では、イタリアの植物タンニンなめしされたフルグレイン・レザー(full-grain, vegetable tanned leather)が用いられる。製品版で使われるレザーはイタリア、トスカーナ地方に三代続く家族経営の植物タンニンなめし工場からのもので、Portシリーズ全てに証明書もついてくると言う。
「植物タンニンなめしってなんぞや?」という人のために説明すると、これは植物由来のタンニンを使用した皮なめしのこと。これには手間と時間がかかり、安価なレザーは大抵「クロムなめし」という塩基性硫酸クロムを用いたなめしを行っているが、これは安く早いが環境によくない。なお、この「なめし」の工程を行わない皮は素材としては使い物にならない。「フルグレイン」は皮の表面の毛を除去しただけの状態のもので、日本では銀付き革とも呼ばれる。これも高価な素材だ。
使用される革以外にプレ・プロダクションと違う点としては、製品版ではジッパーは日本が誇る信頼のYKK製が用いられている。
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Image: Kickstarter
また、製品版にはレザー製のショルダーストラップも付属する。肩パッド部分もレザーでできており、使い込めば使用者の肩の形になじんでいく。
終わりに
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このPort 13"を短く形容するならば、「レザーの美しさに、優れた収納性」だろう。太古の昔より使われてきたレザーの強度、味わい、美しさ。そこに収納性が加わる。ボタンを活用したケーブル留め部分や、専用バッテリーからの充電を快適にする仕組み、磁石により付け替え可能なスリーブ、外付けのポーチなど、収納には様々な工夫が施されている。だが基本的なポートフォリオ/カバンとしての機能も妥協無く、細部へのこだわりも忘れられていない。
Satchel & Pageは長年のKickstarterでの歴史があるためもあってか、今回の「The Port Series: The Most Innovative Leather Portfolio Ever」キャンペーンも開始僅か20分で目標金額達成している。プロジェクト日数は残り僅かとなっているが、現在までに集まっている資金は目標金額の2000%以上。ストレッチゴールも各種あり、前述した14"と「Artist」のインサートがアンロックされている他、どのサイズのPortにも取り付け可能なroller-board strap(スーツケースの取っ手にPortを固定できるストラップ)のストレッチゴールも20万ドルでアンロックされている。次のストレッチゴールは30万ドルで新たなインサートが予定されている。
また、最後にレビュー用にPort 13"のプレ・プロダクション品を送ってくれたSatchel & Pageに感謝を述べたい。
Source: Kickstarter
(abcxyz)
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