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ドイツはベルリンからのKickstarterプロジェクト「Rollgut: Bring your thoughts to roll」。これは筒状の本体の中に筆記用具を入れ、なおかつその周りにノート紙を巻き付けることによりミニマムに持ち運ぶことの出来る筆記用具だ。
Rollgutがデザインにより解決した3つの事柄
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ご存じないかもしれないが、筆者はアーティストとしても活動している(instagramにはお遊びで作ったファンアートの方が多いが)。出歩く際には必ずスケッチブックとペンを持って出て、カフェや旅行先でも絵を描く。上の写真が今の私のEDC創作セットだ。そんな私が出資したこのRollgut。なぜ私がこれを素晴らしいと考えるのか、アーティストとして、そしてデザインを学んだ者としてここに記そう。
このRollgutは、私がこれまで悩んでいた、ノマドなアーティストとしての道具の悩みを優れたデザインにより解決した。Rollgutが解決した3点の問題を記そう。
1点目:スケッチブックの表紙と裏表紙は、どちらもその中に閉じてあるページを保護するためにある。しかし、表面と裏面、二枚の保護面は本当に必要だろうか?内面を保護するために必要な最低の面積は、もっと小さくすることが可能だ。
2点目:大抵大きな紙で描く場合は、持ち運びの際に(ポスターなどと同じように)丸めて、筒状の容器に入れて持ち運ぶ(参考まで、にこんなのだ)。このような筒状の容器に入れるのは、紙を折り曲げることが無いようにするため。雑誌を手で丸めたような形を想像してもらうと良いだろう。これは1点目の問題の解決法でもある。だが、この筒状の形には、スペース的に無駄が大きいことがおわかりだろうか?つまり、筒の中心は空なのだ。
3点目:スケッチブックは、ページが糊で留められているか、リングで留められているものがほとんど。これらは一度切り離すと、スケッチブックにひっつけ直すことが困難だ。
私が日頃考えていたこの3点の問題をRollgutのデザインは解決した。1点目は、筒状の容器に紙を収納することによって。2点目は、その筒の中心部にペンを入れる空間を設けることによって。3点目は、クリップ式にすることによって。
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また、Rollgutのデザインが可能にした利点も挙げよう。
このデザインは、スクラッチペーパー(片面印刷だけされている紙など、裏面がまだ使える紙)の再活用にもよい。私はそういった紙がたくさんある。例えば他人に説明するためにスケッチブックから切り離したページや、一冊のスケッチブックを書き終えてから気づいた空白のページを切り離したもの、書類の裏など、たくさん家にあるのだが、これらを効率的に持ち運び、再活用できる。
Rollgutの仕組み
さて、そんなRollgut、軸部分には鉛筆が8本収まるほか、軸内部にはマグネットも入っており、鉄製のもの(例えばクリップや鍵など)を保持できる。軸部分にはまた、スライド式のスリーブがあり、Rollgut展開時に中のペン類が飛び出すのを防ぐことができる。
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軸に内蔵されたクリップは、A5サイズの紙を50枚まで挟むことができる。DIN(ドイツ工業規格)A5の紙10枚をRollgutに挟み込めば、直径が約4.3cm、25枚で約4.6cm、50枚で約5.3cmとなっている。
この動画ではA5=A4の半分ということで、A4を二つ折りして切り、A5の紙を2枚作る様子も。クリップ部分は、煮ても焼いてもクリップなので、別にノート用の紙以外にもお札も挟めますよ、と。
留め金の部分は、巻いた側に爪のように差し込むスタイル。これも中央にゴム部分が帯のように来て、留め金がその両脇から出てゴムの両側から差し込むから、左右にぶれることが無い。小さい点ながらも重要なデザインのポイントがしっかり考えられている。
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Rollgutは、軸部分の木と、ロール部分の材質の異なる3種類と、限定のアートラップエディションが用意されている。軸の木部分は全て、適切に管理された森林資源を使用していることを示す国際基準であるFSC認証されている。全ての部品はEU製で、エコを考えて作られている他、動物に起因した材料は用いられていない。
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「Creator」はBeechwood(ブナ属の木)に、染められた繊維によって編まれたカラフルな柄のロールカバー、防水レイヤーもあり、手縫い。
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「Explorer」はServiceberry(バラ科ザイフリボク属の木)に、耐水性能、耐引裂き性能もあるヴィーガン・レザーで、手縫い。
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「Strategy」はOlivewood(オリーブの木)に、100%コットンの帆布、防水レイヤーもあり、手縫い。
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なお、「Explorer」に用いられているこの「ヴィーガン・レザー」という素材は、ドイツ、バイエルン州で作られたもので、動物由来の素材を使用しない、エシカルで環境に優しいものだ。セルロースから作られ(もしかしたら以前私がギズモード・ジャパンで訳したこの記事中のものののようなものかも)、ラテックスで補強されており、水や摩擦に強いという。
(当初「ヴィーガン・レザー」と聞いたときには、私はこれはただの「合皮」かと思った。そういう合皮は、安いのだが数年すれば劣化してしまう。これまでにも、お気に入りだったヘッドフォンやおじいちゃんとの思いでも詰まったヘッドフォン、お気に入りのヒップバッグなどがボロボロになり、合皮には散々な思いをさせられてきた。ただ素材がだめになるだけで無くて、ボロボロと分解されて剥がれ落ちてしまうので大変なのだ。合皮だったら嫌なのでRollgutの制作者に連絡したところ上記の回答をプロジェクトアップデートで行ってくれた。)
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デジタルガジェットを愛し、デジタルで創作もする私だが、技術が進んできた現代にあってもやはりアナログな入力にかなうアウトプットは無い。もちろん、デジタル機器に置き換えることでほぼ無限のノートと、ペンの種類を、小さな機器の中に持ち運ぶことは今でも可能だ。しかし、そこで失われる物理性は耐えがたく、セルラーネットワークと電源という「グリッド」の目に見えない檻に捕らわれてしまうという現実もまたそこにはある。
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ただの白い紙の中に存在する無限の世界を今一度認識する、物理的な道具の数々。それらをデザインの力によって効率的に小さくしたRollgut。私はそのプロジェクトの成功を願って止まない。
Image: Rollgut
(abcxyz)
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