ゲームレビュー:子供から大人まで楽しめるロシアの通電プラットフォーマー『ターン・オン』プレビュー



ロシアのペルミ市でゲームを制作しているインディースタジオ「Brainy Studio」の最新作、『TurnOn』のプレスコピーを提供していただいたのでレビューする。



TurnOn Gameplay Trailer from Romin Evgeniy on Vimeo.



この作品は、異星から来た勇敢な主人公が、停電した世界を冒険して電気をつけていくというプラットフォーマー。だが、「プラットフォーマー」といっても、そのプラットフォームは電気の通り道だ。


多くのステージでは、電線や電気ケーブルを伝って、様々な電気製品に電気を通していくことが目的となっている。ステージによってその目的はまちまちで、「音楽を流して、花火を上げてロマンチックなムードを作る」、「停電で暴徒と化した人たちが店を襲うのをどうにかして止める」などといったものや、「止まらなくなった観覧車を止める」なんていうものも。Steam版はすでに日本語化されているが、ロード中に表示される日本語が「ローディング」であったり「積載」であったりと、中途半端な印象だが、このゲームには言語を使った情報はほとんど存在しないのでゲームプレイや世界観の理解には影響はないだろう。




ストーリーは詳しく説明されないが、最初はこの腕の毛とひげ面が印象的なブレイン博士(声はかわいい)を手伝って発電所から出る。その後、プレイヤーの操作する電気の塊みたいな主人公は電気を失ったエレクトロ・シティーを駆け巡り電気を通していく。

左上にある「緑の電気マーク」がライフのような存在だが、序盤はまったく気にしなくてもいい。ステージのそこかしこには「青い電気マーク」が存在し、これをとると電気ポイントがたまるほか、町中の電気をつけていっても別のポイントがたまる。

プラットフォームから落下した場合はセーブポイント(発電機)からやり直すことになるが、特にペナルティーはない。とったポイントもそのまま。




これらのステージの中には町の人々もそこかしこに居て、停電で困っていたり、停電を楽しんでいたりする。こちらは「風と共に去りぬ」を鑑賞する人々。




鳥に囲まれる人。この人が思っているほど実際のバードはアングリーに見えないけど。




恋愛のお手伝いをしたりも…。

船着き場、町中、遊園地、工事現場、ゴルフ場など、様々なステージが楽しめるのだが、それらのメインステージの合間には、「音楽ステージ」が入る。音楽ステージでは、主人公は左右の動きは不可能で、電柱と電柱との間につながれた電線を自動的に右方向へ進んでいく。電線は4本くらいあるのだが、プラットフォームになっている部分と、なっていない部分があり、落ちたらアウト。また、「赤い電気マーク」に触れると、画面左上に3つ存在する「緑の電気マーク」が減り、3つすべてなくなったらそのステージを最初からやり直すことになる。そうなるとそれまでにとった「青い電気マーク」も最初から取り直しとなるが、時折存在する「緑の電気マーク」を取ればライフが回復する(上限は3)。プラットフォームから落下した場合は、ステージのセーブポイント(音楽の流れが変わる部分)からやり直しとなるがこの場合は通常のステージと同じく取った「青い電気マーク」はそのまま所有することとなる。




地獄の音楽ステージ。

タイミングよく音楽にのってプラットフォームを飛んでいくのが私は苦手で、幼いころに遊んだPC版『ピットフォール マヤの大冒険』のトロッコのステージを延々と遊んだ悪夢の思い出が脳裏によみがえりげんなりした。『ターン・オン』は合計3時間プレイしたが、最後の1時間はずっとこの音楽ステージをプレイして先に進めないでいる。一応書いておくと、音楽ステージにはランダムな要素がほぼないので、プラットフォームの位置を覚えることでクリアしやすくなるだろう(が、私はそれも苦手だ)。




音楽ステージはイライラすることこの上なかったが、作品の音楽自体は雰囲気がある曲だったり、軽妙な曲だったりと、バラエティーに富んでいながらどれも聴きごたえがある楽曲ばかりだ。

また、(観覧車の音楽ステージから先が遊べていないので、それ以前のメインステージをプレイした経験から言わせていただくと)メインのステージでは何度かプラットフォームから落下することこそあったが、ストレスを溜めることなくプレイ可能であった。一つのステージには数か所しかセーブポイントが存在しないが、その位置も適度に離れているし、落下してもこれといって不利益もないし、セーブポイントまで素早く戻るためにわざと落ちたりも可能だ。




作品のアイデアは、WWF(世界自然保護基金)のアースアワーからインスパイアされたという。アースアワーは、世界中の人が同日同時刻に電気を消し、地球環境を守る思いを一つにするイベントだ。電気のない街に取り残された人々を傍目に活躍する主人公を操作することで、停電や地震、はたまた戦争などで電気のない生活を送る人々に思いを馳せてみたりすることもできるだろう。キャラクターやプレイのとっつきやすさや(上下左右キーしか使わない)からも、子供から大人まで楽しめる作品となっている。

『ターン・オン』はXbox OneとSteamで6月1日から販売されている。


image: 『Turn On』

(abcxyz)

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