映画館で「ゴゴゴゴゴ」という体の底から感じられる音や、ライブやクラブで腹の奥から感じられる音を経験した人は少なく無いだろう。だがこの世知辛い世の中、周り近所の迷惑を考えずにウーファーでドンドコ鳴らすわけにも行かない。特に低音は離れていても意外に伝わっていたりするのでなおさらだ。
そんな中、(プロジェクトが資金調達完了したのは昨年末のことではあるが)Kickstarterで私の目を引いたのが、この「Woojer」というプロジェクト。「音を感じろ」と名が打たれているこのプロジェクトでは、低音を体に直接伝えるための、ウェアラブルな振動デバイスの製作を目標としていた。それが今年の10月に発送され、今月届いた。
Woojer本体には、背部にクリップが付いており、クリップ部分の形状に沿った形でマグネットをつけることも可能となっている。
使用するには音源からWoojerを介して音声を出力しなくてはいけない。
1:音源からステレオミニプラグを使いWoojer下部右側につなぐ
2:下部左側からスピーカー/ヘッドホン/イヤホンにつなぐ
というふうに。つまりケーブルはWoojerから2本出る。そのイン/アウトの間にはmicroUSBのメス端子があり、そこから充電する。付属品として、音源からWoojerにつなぐ分のステレオミニケーブルがついてくる。(だが、Woojer自体の電源が切れた状態でも、音が聞こえる/パススルーされるので、電源が切れてもすぐにリケーブルする手間はない。)
あと、同じく付属品である充電用のコンセントに繋ぐチャージャーについても後々書くかも。
取り付け位置は、みぞおちの上辺りもしくは、ベルトの後ろ(腰の背中側)のあたりがおすすめされている。両方で試してみたのだが、個人的にはベルトの後ろにクリップで取り付けた時の振動の方が、体の奥に広がる感じで好み。公式では、個人差も大きいので一番いい位置を探してほしいとのこと。
高音ばかり流れる音源ではWoojerも動かないので、なにか低音が手っ取り早く楽しめるものは無いかと思いついたのは『インセプション』の予告編。思った通り、Woojerが振動した。
本体こちらから見て左側面にオン/オフのスライド式スイッチ、右側面には振動強度を三段階に変えることのできるスライド式スイッチがある。
(写真左:オン・オフスイッチ、写真右:振動強度スイッチ)
音源からの音量を上げれば振動も大きくなる。それでも物足りなかったら振動強度を上げていこう。しかし、振動があまりにも強いとWoojerが過熱するので、「振動しすぎ!」を示す本体のLEDにも注意しよう。振動し過ぎると赤く光り、熱くなりすぎるようだったら自動で電源が落ちる仕組みになっているので、腰側につけて振動し過ぎに気づかなくても安心だろう。
なお、Woojerを複数買えばデイジーチェーンもできるとのこと。
これを着用してのゲームはまだ試していないが、音楽も映画も、ただ耳から「音を聴く」だけでなく、体で感じるつまり「体感する」というのは本来の音の持つ力を最大限に感じることのできる方法である。もちろん、ウーファーからの全身を揺らす低音や、生の音と比較すれば物足りなさを感じるのは必然的だろう。だが、携帯できる装置として、周りに迷惑をかけずに、パーソナルな空間で音楽を出来るだけ楽しもうとすれば、Woojerは十分ありえる選択肢だと感じた。
こちらは、映画『パシフィック・リム』の音声をWoojer経由で出してみたところ。Woojerの振動と映画のシーンがリンクして、こういったスケールの大きい映画は(「座席が揺れる映画館」ほどでは無いにせよ)体感できる。
ただ、問題点としては、ケーブルを介さないといけないということで、ケーブルの長さによる制約や、線に絡まったりなど、ワイヤレスヘッドホンを購入してオサラバしたはずの難点の数々がカムバックしたことがある。
これは将来的にはBluetooth内蔵するなどして、ワイヤレス化を図ってもらいたいところ。なお、音源側を多摩電子工業のBluetoothステレオレシーバーにして部分的にBluetooth化することは可能だった。
この場合、音源からBluetoothで多摩電子工業のレシーバーに音を飛ばし、レシーバーからWoojerにはやっぱり有線接続、Woojerからヘッドホン/スピーカーにも有線接続となる。Woojerから出る音もBluetoothトランスミッターに(有線で)つないで音を飛ばせば、レシーバー内蔵のヘッドホン/スピーカーなどから再生することも可能だろうが。
Woojerは公式サイト「Woojer.com」から購入可能で、日本にも発送してくれる。カラーバリエーションも複数ある。
Woojerはまた、骨伝導デバイスなどとはまた違うものではあるが、低音だけであっても振動として感じとることが可能であり、視覚障害者団体とも協力して作り上げたとのこと。聴覚障害者でも音楽、映画、ゲームなどを楽しむことができるデバイスとしても注目されているようだ。
音源からWoojerにつなげることができれば楽しめるWoojerだが、iOSとAndroid用のアプリも用意されている/されるようだ。iOS版はもうストアに出ているそうだが、Android版アプリはまだのよう。
ちなみに、トップの動画に写っている(CGの)ヘッドホンは、ソニーのMDR-1シリーズを元にしたもののようだ。
(abcxyz)
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