「Ready For?」とか「CAMPFIRE」とか、クラウドファンディングやってみた。

最近PayPalに少額遊んでいるお金(増えもせず、現金化すれば手数料取られるお金)があったので投資に精を出している。最近雨後の竹の子のようにニョキニョキ出てきている、いわゆる「クラウドファンディングサイト」は、一般の人から投資金を募り、プロジェクトを建てようというモノだ。

「投資」と言っても、金銭的な利益を得るためにするものではない。自分が支援したいと思う製品開発やサービス、イベントなどのプロジェクトを実現させるため、資金援助をしようという「投資」である。(ただ、見返りは「プロジェクトの成功」だけというものは少なく、「感謝の手紙」や、投資金額によっては実際の製品なり、名前がクレジットされたりなどの見返りがあるものが多いようだ。)

アメリカには有名な「Kickstarter」があるが、日本では「Ready For?」や「CAMPFIRE」などが有名どころか。KickstarterとReady For?とは違い、CAMPFIREではPayPalが使える。そうじゃなかったらやってなかっただろうな。

Ready For?は日本初のクラウドファンディングサイト。だが、直接カード情報を入力する必要のない安全性を提供するPayPalに対応していないことも含めたサイトの利便性や、現在のプロジェクト数を見る限り、CAMPFIREに少々遅れを取っているようだ。(個人的にはネーミングもちょっと微妙だと思う)今後何らかのリフォームが行われることに期待。

CAMPFIREは「マイクロ・パトロン・プラットフォーム」と名が付いているとおり、アート系のプロジェクトが多いようだ。「アート」といっても、音楽や演劇、写真や映像、パフォーマンスなど幅広く、また、プロダクトやテクノロジー、社会貢献といった分野のプロジェクトもある。

そんな2つのクラウドファンディングサイトから、私が興味を持ったプロジェクトをご紹介しよう。



Ready For?のプロジェクト「バングラデシュで現地の職人さんと新しい手帳を創るプロジェクト

プロジェクト名そのままのプロジェクトであるが、一応説明すると、バングラディシュにて、現地の職人さんたちと共に、「2013年に海外に留学・休学して現地でインターンや旅などをする予定の女子大生・大学院留学などを予定している社会人」向けの新たな手帳を制作するプロジェクト。

面白いプロジェクトだと思うのだが、プロジェクト紹介ビデオが可能性を大幅に狭めていると感じる。というのも、Kickstarterで見る事のできるプロジェクト紹介ビデオと比較になるのだが、非常に日本的なのだ、しかも悪い意味で。ビデオの最初と最後なんかはスタイリッシュ(悪く言えばパソコンに最初に入ってそうな編集ソフトのテンプレートを使ったような)で期待したのだが…

/テンポの悪さ:簡潔で、リズムよくすべき。

/センスの悪さ:横向いてしゃべっているところがあるのだが、カメラ目線で写した映像でも途中で入れるのかとおもいきやそのアングルのみ。悪い意味で新鮮で期待を裏切ってくれる。第一、明後日の方向を向いて支援金くださいなんてお願いするのは失礼だ。

/選曲の悪さ:日本的にはこういう曲が使われるのはおかしくないことなのだろうが、「通例=最適」だと思ったら大間違いだ。シンプルな曲がエンドレス再生される、某リフォーム番組じゃあるまいし。

/消える主題:このプロジェクトの要であろう「現地の職人さんたち」に関する具体的な説明のなさである。商品である手帳と、同等の価値があるであろう、雇用創出の恩恵に授かるはずの「バングラディシュの職人さんたち」についてほとんど説明がなされていないのは致命的だろう。(そもそも大々的にアピールされている劣悪な環境にいるバングラディシュの女性たちはこのプロジェクトの元となるアイデアにつながっただけで、直接的な関わりはナッシングなのか?)

と、ちょっとキツく批判はしたものの、これは将来の日本への愛と希望あっての批判。

今後このようなクラウドファンディングに注目が集まるに連れ、必然的にプレゼン能力の高いプロジェクトにファンドが集まり、それによりプレゼンの大切さに人々の目が向けられることだろう。世界に通用するレベルのそれを日本人(日本企業、日本の団体、日本のプロジェクトランナー)が手にするまでにはしばらく時間がかかることだろう。

そうなる日への期待も抱き、そして純粋にこのプロジェクトは面白いと思ったので支援した。

国際的な視野を持つ人材は、今(そして今後さらに)資源も飯も、そして人間自体も少なくなっていく日本には必要不可欠だ。その上で、私の周囲を見渡した限り、そして周囲の教育者たちによれば、ビデオの中で言われていることとは裏腹に、若者は海外へ行こうという意思を失いつつある。そんななかで、もしこのプロジェクトが成功し、手帳を手にとった若者(のうちの幾人か)が海外に行こうと決断し、実際に(その内の何人かが)海外へと飛び出て、日本に帰ってくる(帰ってこないのも当然出てくるだろうが)。そんな少数の人達が、少しずつでも国内の若者、そして若くない者たちを刺激し、より幅広い視野を提供し、また、海外へと日本の魅力を伝え、日本へ来る者を増やす。

実際その現状に接している人なら(そこから利益を得ているものを除き)同意してくれるであろうが、そうやって少しずつ現代日本がまだ誇らしげに(もしくは空虚な笑みをたたえつつ)持っている、悪い意味で閉鎖的で、悪い意味で非生産的な価値観を変えていってくれることへ期待している。それら、どうにかして日本文化に入り込み巣食ってきた要素も文化ではあるが、そんなのは歴史の本や何かに残るだけで結構じゃないか。そんな日本を変えるプロジェクトは今後も応援していきたい。



CAMPFIREの「一匹狼の漁師が手を取り合って、漁業復興を目指す定置網プロジェクト

こちらのプロジェクト紹介ビデオはアマチュア感満々だし、編集だって一昔前のパソコンに標準インストールされているソフトでやってるのだろう。テンポも悪いが、その分このビデオには主役であるはずの手と手を取り合い復興を目指しているはずの漁師たちがインタビューされる形式になっており、そのプレゼン能力のなさというか、普通に頼み込まれている感があり、自分には批判しようという気もおこらない。ビデオの唐突な終わり方もなんか「まあ言いたいこと言ったしこれでいいか」といった感じで、なんだか素敵に感じてしまう始末。下手なプレゼンも効果的になりうる証明となるものといえるだろう。

そして「仲間になるくらいなら喧嘩しろ」という現地のありがたい言い伝えに背きも、ここはオープンになり皆で協力せねばどうしようもない、と行動に移している彼らの姿は日本のあるべき将来の姿であり、前述の「閉鎖的で非生産的」な日本的文化からの脱皮のひとつの例であろう。

Ready For?にしろCAMPFIREにしろ、2011年の東北大震災関連のプロジェクトが多く存在するようだ。復興支援として、クラウドファンディングは素晴らしい。例えば「義援金募集」なんかしているところに募金するよりも、具体的に用途が示されているプロジェクトに対して、多くの場合そのプロジェクトの進行状況も示され、募金する側にはお金の使い道が実際に見える点が素晴らしい。また、プロジェクトによっては、人々の賛同を得られずに資金が目標額に達成できずにキャンセルされる点も良いだろう(だがこれは、実際のプロジェクトの良し悪しではなく、プレゼン能力に左右されるところも多い)。



はっきり言ってどうでもいいのだが、変わりどころだと、Kotakuでも紹介されていた『Kinect巨乳』ワールドカップなんかがCAMPFIREで予算を募っている。「どこまで本気で アホなことが出来るか」と名のついたこのワールドカップ、「今回のイベントは『巨乳』という名を含むためなのか、なかなかスポンサーが集まらず、ほぼ持ち寄りの資金で運営しております」だそうだ。資金を集めて「AR巨乳」じゃない本物の巨乳グラビアアイドルを呼びたいそうだが…。まあ私は興味が無いのでどうでもいいが、支援したいという方はこちらのリンクからCAMPFIREのプロジェクトページに行ける: 世界初!Kinectの世界大会「Kinect 巨乳 WORLD CUP 2012」開催!
世界に日本がどこまでアホになれるか見せてやるのも、良いのか悪いのか…

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